究極の母への愛
世の中に無数の楽曲がある中で、好きな歌詞というのも、人の数だけあるかと思います。本日は私にとって【好き】を通り越して衝撃的だった歌詞をご紹介しようと思います。
PIERROT(発表当時は「Pierrot」表記)というバンドの「MOTHER scene ||」という楽曲です。
マザーというタイトル通り、母親へのメッセージソングなのですが・・、
普通、母親へ向けた曲というと、
・故郷にいる母親を思って
・亡くなってしまった母親の事を思って
だったりを思い浮かべるかと思います。
(実際そういう曲で素晴らしい曲はたくさんあると思います。)
しかし、この曲は
【生まれて来る事ができなかった胎児】から母親へ向けたメッセージソングなのです。
歌詞の内容を説明しますと、
・胎児である【私】は生まれて来ることができなかった。
(曲中では流産か中絶かは触れられていませんが、やむをえない事情があった。)
・【私】の弟もしくは妹は生まれて来ることができた。
・その事で母親は罪の意識を持っている。
・【私】は母親に罪の意識など持ってほしくはなく、母親の憂鬱を何とかして消してあげたいと、死後の世界から願っている。
(私の解釈・考察になりますが、概ねこういう風に捉える方が多いかと思います。)
歌詞の一部です。
「管を断ち切った子宮は再生する そしてまた新しい生命を宿す」
「この世界はあまりに冷えるから ここまで来るようなことだけはしないで」
「確かな肉体がもし僕にあったなら 貴方の憂鬱を今すぐに消せるのに」
(引用:「MOTHER scene ||」 作詞 キリト)
自分は生まれて来る事ができなかったのに、現実を生きている母親への究極の愛を歌っています。
もちろん現実的に考えて、胎児に自我はないであろうし、愛という概念も存在しないはずです。
だから胎児である【私】の気持ちはありえない想像だし、フィクションです。
ですがこの曲によって救われた母親(もしくは母親になれなかった人)もいると思います。
発表から20年以上経っても、
世間一般での知名度がなくても、
名曲というものは色褪せないものです。
(※流産・中絶には、やむをえない場合だけでなく、様々なケースが含まれるかと思います。ここではそれ自体の善悪を語る事はいたしません。)