
散財、それは素晴らしき人生の想ひ出
この春は明らかに服を買い過ぎている。
ライダースジャケット、グリーンのジャケット、ワンピース、カットソー、スカート、デニム、チノパン、Tシャツ三枚。こうして書き出してやっと把握したが、全部で11着!!合計金額は、恐ろしすぎてここには書けない…。しかしこんなことは人生で初めてで、自分でも驚いている。私は元来、「一緒にショッピングに行ってもなかなか服を買わない女」として、友人たちの間でもちょっとした有名人なのだ。
今回は、この春起きた前代未聞の散財について書き残そうと思う。
私事で恐縮だが、私は昨年3月、娘を出産した。
産前産後は体型もライフスタイルも恐ろしく特異な時期なので、洋服をほとんど買わなかったいや、変わってしまった体型とライフスタイルに合わせて結構買ったわ…。
でも、でもですね、産前産後に買ったお洋服ってーのは、所詮その場しのぎの品なのよ。
本当は細身のシルエットが好きなのに、お腹が膨らんでとても着られないから、ゆったりした服が必要。
本当は首が詰まったブラウスが好きなのに、授乳のために前開きのブラウスが必要。
本当はスカートが好きなのに、子供と遊ぶためには動きやすいパンツが必要。
本当はハンドバッグが好きなのに、子供を抱えて機敏に動き回るためにボディバッグが必要。
…みたいな感じ。元々好みじゃないものを必要に駆られて支度しているわけ。いや〜今から思い返すとよく頑張ったよな。本来絶対自分では買うことのない、前開きの服にお金を払う屈辱よ。産後のはずなのに一向に凹まないお腹を恨みながら、この後体型が戻って履かなくなるであろうゆったりボトムスを買う勿体なさよ………。
つまり、私に限った話じゃないが、女性が妊娠してから次に思いのままに服を買えるようになるのは、個人差はあるものの約2年ほど未来の話になってしまうということだ!今春に起こった私史上最大の散財は、通算1年10ヶ月に及ぶ禁欲期間の反動と言えよう。
…といかにも理論的〜!な感じで言い訳してみたが、そうは言っても、チョットやりすぎたかも…と思わんこともない。金額がね、とにかくすごいから。恐ろしすぎてここには書けない…(2回目)。
でもさ、やっちまったものは仕方ないじゃないか。せっかく楽しく欲望のまま買い物したってのに、後から後悔して嫌な気持ちになることほどもったいないことってないんじゃないかな?と本気で思っている。だから私は後悔しない。この史上最大の贅沢の悦びを味わい尽くすつもりだ。
またまた話が逸れるけど、これまでの私は成人式だとか結婚だとか、一般的に人生の節目となる重要イベントを、全く大切にしてこなかった。それってつまり、自分の人生、ひいては自分自身を大切にできてなかったんだよなぁと、今は何となく感じている。
そんな私にとって、初めて人生の大切な大切な1ページと感じられたのが出産、そして娘に会えたことなのだ。産んですぐそう感じたわけじゃない。最初はお食い初めも、お宮参りも月齢フォトも、何もかも「そんなん、フォトジェニックのためだけにやる意味あるん〜?(笑)」とすっ飛ばしていた(娘よ、こんな母親で本当にすまない。)。
でもな、母ちゃんが言うにはな、娘と過ごすうちにどんどん、この子の成長を祝い、記録に残しておきたいと、自然に思うようになったらしいねん。
成長を祝い、記録に残す…ほなイベントやないかい。
何を言いたいのか自分でもよく分からなくなってきたが、この度の散財も、人生の中の一つのイベントだな、と思うのだ。最近の自分は、清濁合わせて、失敗も成功も併せて、「あの時の自分、空回りも多かったけど、頑張ってたな〜!(笑)」とか、そんな感じで、自分の人生を俯瞰できるようになってきた気がするのだ。いや〜大人になってきてるわ。
「あの時なーんであんなに散財したんだろう?(笑)」
「おい!!もっと節約しろ!!!(笑)あんたのせいで今お金ないぞ!!(笑)」
って未来の自分に怒られるかもね(笑)。でもその時はその時ってことで。プンプン役も未来の自分先輩に任せようではないか。
きっとこの春の戦利品たちを着るたび、これから先も思い出す。今のこの気持ち。娘を産んで一緒に過ごして、私なりに全部一生懸命だったこと、全力だったこと… 卒乳で、いよいよ体が自分だけのものに戻る、元に戻る、この開放感、安堵。そして娘の1歳の節目に、新たに始まる生活への不安、期待。
あぁ、こんな風に感じられる日が来るとは。毎日希死念慮に苛まれていた数年前のことはもう思い出せない。我ながらいい人生だ。
そう思わせてくれたのは、間違いなく娘と、夫だ。
さて、縁も竹縄ではございますがこのへんで。お二人への感謝の念を持ちまして、大散財の長い長い言い訳を終わらせていただきます。 〜終〜