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髪を切る


明日、美容室の予約を入れている。

元々毛量が多いうえに、ショートカットにしていることもあって
定期的なメンテナンスが必要であるのだが、美容室に行くのは正直めんどくさい。ブルーな気分だ。
美容室自体もお洒落な空間であるし、美容師もやはりお洒落である。
ちょっとおしゃれをしていかねばならないような気がするのがめんどくささの大きな理由であろう。
だが、他にもブルーになる小さな理由がある。

まず、前提として、私は髪型にたいしてこだわりがない。
こめかみまで刈り上げられても、謎のカットを提案されても、別に構わないし、むしろ受け入れる。新しい刺激として面白いと思い快諾することが多い人生だった。
(モヒカンなどよほど仕事に支障が出そうなものを提案されたらさすがに断るとは思うが)

今の担当美容師さんカットはかなり気に入っている。
だが、こだわりがない私とは合わないのかなと思うこともある。
担当美容師さんは必ずどうしたいか、と聞くのだが
(とても真っ当な質問で、こんなはずじゃなかったを避けるために大切なことだとは分かっている)
私にはせいぜい「毛量を減らしたい、パーマをかけたい」ぐらいしか要望がない。
毎回毎回、何も考えてない私が10000%悪いのだが「どうしたいか」と聞かれることがめんどくさくて行きたくない気持ちがちょっとあるのだ。
どうでもいい、は言葉として投げやりすぎるかもしれないが
正直二か月に一回の美容室訪問で変えたい髪型を考えることが私には難しい。

その髪型を考える能力の低さは
元来のこだわりのなさに加えて数年前の担当美容師さんの影響もあるのかもしれない。
今とは別の地に住んでいるときに出会ったその過去の担当美容師さんは何も考えていない私に毎回『楽しそうに』あれこれと提案をしてくれた。
かなり時間がかかりすぎるのはネックだったが毎回違う髪型にしてくれたのは私にとって刺激的で楽しかったのだ。
美容室に行くことが楽しみで仕方なかった。
しかし、もうあの土地に戻ることもないのでどうにもならない。

もしかしたら同じようなマインドを持つ美容師さんもこの土地のどこかにいるのかもしれないが
それを探すために美容室を流浪するより
二か月に一度のささやかなめんどくささを安定したカットを求めてしまう。
怠惰が極まっていくのを感じる。


そして私は明日。
多少のブルーな気持ちを胸に秘めて、一張羅を着て美容室に行くのである。

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