![スライド011](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12910064/rectangle_large_type_2_6a5bedf1b74f33aeedb4b278bd177f7b.jpeg?width=1200)
小児科×救急
「重篤な小児」はどれくらい発生しているか?
「小児救急」というと、「時間外にたくさん押し寄せる軽症患者をどうさばくか」という議論になりがちです。実際、全緊急搬送数に占める15歳以下の小児の割合は非常に小さく、小児搬送患者の中でも、「重篤」と判定される割合はさらに小さいことがわかっています。
一人の医師の経験、一病院の経験という角度から診ると、重篤な小児が目の前に現れる確率は非常に低く、仮に亡くなってしまったとしても、それが防ぎ得た死なのかどうかを検証することは非常に難しいと言わざるをえません。「このこどもは本当に死ななければならなかったのか?」「助ける方法はなかったのか?」そんな疑問に、私が研修を始めた頃の小児医療は答えることができませんでした。
経験の蓄積が重要
少し古いデータになりますが、重篤な小児が入室する小児集中治療室においても、入室数が500~1500人/年程度の中〜大規模の集中治療室で死亡率が一番低くなると言われています。(Marcin JP et al: PCCM 2005; 6: 136 - 141)重篤な小児を適切に救命していくためには、集約化し経験を蓄積していくことが重要ということになります。
小児 × 救急、、、そのジレンマ
「重篤な小児の発生頻度は非常に小さく、個人で経験の蓄積は困難」
「小児集中治療室での救命率向上には、一定数の症例の集積が必要」
近年日本でも小児集中治療室、小児救命救急センターが整備されてきており、私が研修を始めた頃とは随分景色が変わってきています。とはいえ、全ての小児科医、救急医が小児救命救急センター、小児集中治療室の研修を経験するわけではありませんし、研修受入のためのキャパシティ、制度が整えられているわけではありません。
「運が悪かった」と言わない。言わせない。
現状を嘆いても仕方がありません。「助かるべき命」を確実に助けたい、そんな想いを共有できる方々が、重症度・緊急度の高いこどもたちを適切な医療につなげられるよう、議論を深めていきたいと思います。
医療に関わる方はもちろん、保育士、スポーツインストラクターなど、こどもに関わる職業の方にもお役に立てる情報が提供できればなと考えています。
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