脳圧を規定する因子
さて、といいつつ、記事を書く時間が確保できないまま当直に突入し、結局予約機能なんて使い始められてない今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?
本日は脳圧について少し理解を深めてみます。
auto regulation とは?
そもそも、生体には、脳、腎臓など生命維持にとって重要な臓器に対して優先的に血液を集める仕組みが備わっています。これを auto regulation (自動能)といます。
血圧が 50 - 150 mmHg 位までは、血圧の値によらず、脳血流量は一定に保たれています。ところが、脳に障害が起こると、この自動能は破綻し、平均血圧に依存して増減するようになります。
閉鎖空間での圧
外傷などを契機に脳圧が既にあがってしまっている状態を考えましょう。
容積が小さい段階で、多少容積が増えても、圧の変化はごくわずかですが、すでに頭蓋内の容積が増え、頭蓋内圧が上昇した状態では、わずかな体積変化が、大きな圧の変化になます。つまり、ごく少量の再出血などが致死的な脳圧の変化を起こしうる、ということになります。
脳圧のモニタリング
重症頭部外傷において、脳圧モニター(ICPモニター)の挿入して患者の管理を行うことが生命予後を変えるという明確なエビデンスはありませんが、いくつかの研究で、ICP モニターを挿入し、CPP をターゲットにした治療を行うことが患者の予後を改善する可能性が示されています。
これを受けて、重症頭部外傷のガイドラインでは、弱い推奨となっています。
ICU モニターの先端は留置する場所によって区別されています。
脳実質内や脳室内、くも膜下におく場合などがあります。実際に挿入されている図を供覧しておきます。
【参考文献】
Pediatr Crit Care Med 2019; 20:S1–S82
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン