臨床倫理の原則
本当に久しぶりにゆっくり時間がとれ、最近読んだけど振りかえりができていなかった本たちをザーッと振り替える時間がとれました。こういう時間大事ですね。
臨床倫理について、少し深めていきたいと思います。
症例はこんな症例でした。
論点の例
考えてきてください、といわれても、、、という方もいらっしゃると思います。まずは、「あなた」だったらどうしたいですか?
すこし論点の例を挙げてみます。
これをガイドに、まずご自身の考えをまとめてみてください。その上で、以下を読み進めて頂ければと思っています。
臨床倫理とは?
いろいろな考え方があると思いますが、私はまず「自分はこうしてあげたい」という気持ち・感情は大切にしたいと思っています。「自分」は医療者としての私、一人の人間としての私、親である私、子である私、ひるがえって、実際の親御さんの親御さんとしての「自分」、、様々な立場があるでしょうが、その感情は大事にすべきだと思っています。
ただ、このような状況では、ご家族も失意と混乱の中にありますので、正常な判断ができる状態にないことも多いと思っています。われわれ医療者もご家族の感情に引っ張られがちです。
一定のガイドを持って、話し合いを重ねる必要があり、「臨床倫理」はそのようなときに、ガイドを提供してくれます。
臨床倫理の4原則
臨床倫理の四原則として、
① 自律性の尊重
② 与益(善行)
③ 無危害
④ 正義(公正)
が挙げられます。これは、医師のパターナリスティック(父権的医療)が主流であった中、米国を中心に生命倫理学(bioethics)が発展し確立されてきたものです。
この中でも「自律性の尊重」は特に重視され、
「患者は自分自身に関する医療情報を得て、治療に関して自分で決定する。すなわち「自己決定」することが保証されるべきであり、それがなされずに医師が患者の情報を一元的に保持して医療に関する方針を決定すれば、それは患者の「自己決定権」の侵害に相当する(文献1より引用)
という考え方がなされるようになりました。では今回の症例で「自己決定権」はどのように考えたらいいのでしょうか?
また、皆さんが出された「結論」は、臨床倫理の原則にかなったものでしょうか?
明日はこのあたりから議論を進めたいと思います。
【参考文献】
清水哲郎/会田薫子 編 『医療・介護のための死生学入門』 東京大学出版