見出し画像

フロートの多目的利用1.赤道反流フロートを利用した10億㌧ 単位のCO2水中貯蔵と再利用

本文中アンダーラインを引いてあるところは出典を明らかにしたり、詳細な内容や関連事項の説明をするために外部にリンクしていることを示しています。ご利用ください。

《日経2020.11.11より引用》                     欧州連合(EU)が19年に先行して2050年実質ゼロの目標を打ち出し、現在は120以上の国・地域が賛同している。日本も追いかける形で10月、菅義偉首相が同様の目標を表明した。米国大統領選で当選を確実にしたバイデン氏も同様の目標を掲げる。世界最大の温暖化ガス排出国、中国も60年までの実質ゼロを目標にしてている。世界各国の政府が目標として掲げることで、企業に取り組みを促している。《引用終わり》

画像1

上図の出典 産経新聞2017.7.30                       脱炭素社会を目指すに当って、問題解決の最優先課題に挙げられているのが、発電所(特に石炭火力発電所)から排出されるCO2です。地球温暖化の防止のためにドイツやフランスなど欧州諸国の一部では2030年までに石炭火力発電所の全廃が決定されていますが、日本ではそう簡単にはいきません。石炭火力発電が総発電量の30%以上を占めているからです。天然ガス発電のCO2排出量は石炭火力発電の60%とされていますから、石炭火力を天然ガスに切り替えたところで問題は解決しません。化石燃料による発電とは化石燃料を燃焼させてCO2を生産し、その際に生じる熱量を利用しているわけですから化石燃料で発電している限りCO2の発生を防ぐことは出来ません。そこで排出されたCO2を回収して地中に貯蔵したらどうだろう?というアイディアが出てきます。CO2やその他の有害物質NOxやSOxを排出しなければ、自然再生エネルギーと同じになります。貯蔵するにはその場所が必要ですが候補に上がっているのは石炭や石油、天然ガスの坑道です。坑道があれば穴を掘る必要がありませんし、もともと化石燃料が人類が掘り出すまで気が遠くなるほどの時間ずっと地中にあったのですから、空気よりずっと重いCO2が漏れ出すことはないでしょう。油田や天然ガス田ではCO2を注入することで残っている原油やガスが採取できる可能性もあります。      <画像>日経2020.11.18


画像2

日本でもCCSについての実証試験が行われていますが、紹介記事(東洋経済2018.04)にもあるとおり、CCSの弱点はCO2を貯蔵してもそれだけでは利益が得られないことです。それでいて何もない所に貯蔵のための穴を掘るのでは費用がかかり過ぎます。現行の実証試験も国内に貯留場所を作ることではなく、将来の技術輸出を念頭に置いた技術とデータ取得が目的であろうと思われます。

前置きが長くなりましたが、赤道反流上のフロート下の水中にエアバッグに注入したCO2を保存する方法は既存のCO2貯留に関わる諸問題(充填場所の制約;CO2の取出しと輸送費用;貯蔵設備費用;貯蔵可能量;安全性;産業化など)を一挙に解決することが出来ます。

①フロートまでのCO2の運搬は発電所や製鉄所などで排出されるCO2をそのまま自然冷却し最終的にドライアイスにして運びます。自然冷却の過程では排出ガスを水中に通して水溶性の不純物を除去しますが、中には原料価値を持つ成分もあります。このアイディアのポイントはCO2やその他の生成物を熱処理しないで取り出すことです。自然冷却とは冷却の過程で温室栽培や養殖をしたり、寒冷地であれば融雪設備など民生用の地域暖房のインフラを作るといったことの熱エネルギーとして再利用することを指します。        
②このような設備を持った石炭/LNG火力発電所を作ることは技術的に難しいことは何もありません。立地条件を選んで簡単にCO2フリーの発電所を作ることが出来ます。また、従来の発電施設でもCO2やその他の廃棄物を回収して処分できれば、燃料が石炭であってもLNGであっても、自然再生エネルギーと同等になります。燃料コストは石炭がベストですから、そのことはCO2の再利用コストにお金をかけられることを意味します。発電所を新設するのであれば、H2やNH3の混焼など技術的な改良を加えて更に経済性を向上させることもできます。   
③地中貯蔵の場合、CO2の発生場所と貯蔵場所が離れているとCO2の輸送コストも問題になります。たしかに、CO2の陸上輸送はH2やCH4のように爆発の危険もないし、比重も重いのでタンクローリーで運んで運べないことはありませんが、ただでさえ利益を生まないCO2を運んでもいいことは何もありません。そのことはCO2ニュートラルの発電所でも同じに見えますが、新しい発電所であればCO2輸送にコストのかからない立地を選んで建設することが出来ます。要は海岸まで敷設したパイプラインから再生CH4タンカーやNH3タンカーにCO2を直接的に充填できる立地条件ならいいのです。環境を大きく変えることなく沖合いの海中にまでパイプラインを延ばせれば、CO2を充填できる場所はかなり広がります。                          ④本構想によれば、赤道反流上で生産されたH2はフロート上で再生メタンやアンモニアの形でタンカーによって需要地までシャトルで運ばれます。現状のタンカーによる天然ガス輸送では、片道は空荷になるので船のバランスをとるための水を積んで航行することになります。ですから、そこに合成メタンの原料になるCO2(ドライアイス)を積めればCO2を排出する側もそれを引き受けるタンカー側もWIN=WINの関係になります。非常に都合のいいことにCO2はー80℃でドライアイスになりますが、メタンの液化温度はー160℃ですから、既存のタンカーの冷却能力には充分な余裕があります。アンモニアタンカーにはそこ(ー80℃)までの冷却能力は必要ありませんが、冷却能力をー80℃まで強化することは簡単に出来ます。
CO2の排出削減は何も発電所に限ったことではありません。 高熱が必要な鉄鉱石などの精錬や硝子の製造は産業規模が大きいだけに熱源として多量の石炭や天然ガス(CH4)を消費します。(つまり大量のCO2を排出します。)
これらの産業には港湾が必須であることから工場は沿岸地域に設置されていることが多いので、排出されるCO2を固体化しドライアイスとして天然ガスのタンカーに積み込んでプレートにシャトルするのはコスト的に好都合です。排出されるCO2は燃焼させるCH4の3倍近い(4/11倍)重量になってしまうので、この方法で処理できるCO2は排出量の1/3にしかなりませんが、同時にフロートと港湾をシャトルするアンモニアタンカー                          ⑤そして、このことがCO2貯留の切り札になることですが、フロートの水面下はそのままCO2の理想的な貯留場所になります。フロートの4m上にはソーラーパネルが敷き詰められますが、その下の水面部分はほとんどが未利用になります。電解設備やメタンやアンモニア合成プラント他さまざまな用途で利用するとは言っても、完成すれば茨城県ほどの広さを持つフロートはそんなことで使いきれるものではありません。その水面下にCO2を軽く圧縮した筒状のエアバッグを沈めていけばいいだけの話です。ソーラーパネル以外の設備を置かない大多数のセル(20m×30m=600㎡)の重量は躯体とパネルを合わせても100㌧程度とされるので一つのセルに対しては100㎥の排水量を作ればフロートは沈みません。600㎡全面に敷き詰めたとすると厚さは20cmも要らないことになります。CO2の重さは常温でだいたい2㎏/㎥ですから100㎥の体積であれば200㎏、10気圧であれば2㌧を貯蔵できることになります。今、10,000個のセル(20m×30m×10,000)に10気圧のCO2を充填すれば200万㌧を貯蔵することになります。もしエアバッグの体積を膨らませればそれだけ多くのCO2を貯蔵できます。その場合浮力が付きすぎるのでフロートを重くしなければなりません。これも水を積めばいいだけの話ですから簡単です。(厳密に言えばCO2の重さ2㌧分の浮力を得るためにエアバッグの体積は少し増やさなければなりませんが、海水の密度も1.03くらいあります。)

エアバッグは内圧のCO2と外圧の海水と拮抗しますからボンベのような強靭な素材を使う必要はありません。
素材は耐塩性の合成繊維で充分なはずです。CO2は消火剤として使われるくらいですからもし海中で一部が漏洩するようなことがあっても爆発することもありません。CO2のエアバッグの他にいくつか普通の空気(大気)を充填したバッグを用意し、そのバッグ内の空気を出し入れすることでフロートの浮力や水平は保つことが出来ます。
また、メタン合成に使うCO2については前以てエアバッグにH2を混合して海中保管することもできます。重量比でCO2を11,H2を2の割合で混合しておいて工場船に引き込めば、そのままメタンの原材料になります。この方法は大気中のO2が介在しないので極めて安全な方法です。
なお、CO2をエアバッグに入れて海中に沈めるという方法は他の海域で行うことは不可能ではありませんが、実際的ではありません。エアバッグは予想できる進路で浮遊する物体(本題においてはフロート)下部に固定化され一緒に浮遊する必要があります。海底にバッグを固定するのでは沿岸しか利用できません。また、赤道反流以外の海域で潮流に流される巨大なフロートの位置をコントロールできる技術は現状ありません。水流のない湖沼を利用すれば水中保存は出来ますが、水深の浅い湖沼でこれを大規模に行えば間違いなく環境を破壊します。といって、環境に配慮した小規模施設では実用に役立ちません。     

画像3

                                  ⑥ フロートのコンビナート化によりCO2を貯留するだけでなく、貯留したCO2を原料とする二次製品を作ることでCを固定化する(CO2を分解してしまう)ことも可能です。合成メタンCH4を作るアイディアについてはすでに別のページで紹介していますが、CH4は燃焼させればCO2を排出してしまうので、天然ガスのように新しくCO2を排出するものではないにしても合成メタンでは大気中のCO2の総量を増やさないですむというだけのものになってしまいます。それでも大量に生産できるのであれば十分に意味がありますが、陸上では十億㌧単位の大量のCO2を原料として貯蔵することは実際的ではありません。
しかし、フロート上でCO2をCとO2に分解できればCO2は全く別のものになってしまいます。赤道反流上の豊富な熱源と光源である太陽光、そして広い未利用水面スペースを利用して、植物プランクトンに繁殖してもらい供給するCO2を光合成して炭水化物にしてもらうのは非常に有効な方法かと思われますが、化学的な処理にもいろいろな可能性が考えられます。たとえば尿素の製造です。尿素を作る材料はアンモニアとCO2、そして高温高圧ですからフロートですべて自給することが出来ます。                   2NH3 + CO2 → (NH2)2CO + H2O 尿素合成(独立行政法人JOGMEC) 製法的にはフロートからNH3を陸上まで運び、そこでCO2と化合させても同じことですが、NH3を陸上まで運ぶのであればそのまま燃料として使ってしまった方がずっと合理的です。フロート上で一定規模の量産需要があればフロート上で尿素まで作ってしまったほうがコスト的に有利かと思われます。尿素にすれば一般の貨物船で常温常圧で運べることから太平洋沿岸の需要地に直接届けることが出来ます。      
⑦ 本構想は全体の事業主体として中国を想定しています。現状でも中国の電力不足は日本と違って深刻ですし、これからも電力需要は天井知らずに伸びるものと予測されているからです。中国なら自然エネルギーと原発のどちらがいいか?という設問が成り立ちません。両方とも必要に決まっているからです。
しかし、外交関係に問題が生じなければ日本から排出される産廃CO2も受け入れることは出来るでしょう。CO2にMADE IN CHINAとかMADE IN JAPANなどという区別はありませんし、CO2排出削減は世界的課題です。
もっとも、フロートが完成しても、CO2を運ぶ態勢が整わないことも充分ありえますが、幸いなことにCO2は取り合えず大気から取り込むことが出来ます。その場合のCO2は産業由来のものか人類の生活によるものか、山火事や火山噴火によるものか判然としませんが、地球上のCO2全体から見ればごく微量であっても減ることは確かです。(もちろん、緑を増やすことが最重要であることは言うまでもありません)    
水中に保管するCO2は別に純度など気にしません。下図のように簡単な設備で大気中で300PPM程度の濃度のCO2を>90%くらいまで濃縮できます。原理は非常に単純です。ただし、運転エネルギーに費用がかかる場所ではコスト的にまったく引き合いません。あくまでも電気代や燃料代が無料同然のフロート上でしか通用しない方法です。また、フロート上で濃縮するCO2はそれを合成メタンの材料にしようと、そのまま貯蔵しようと高い純度を必要としません。不純物があるとすればN2かArですが、O2さえ取り除いておけばCH4合成時に高温高圧になっても爆発したりNOxが生じたりすることはありません。

画像4
大気中からCO2を抽出する方法

①最初にフロート上に設えた空気の取り入れ口から大気を吸い込み、水中を通したパイプの中で水素バーナーを燃焼させて大気中のO2を取り除きます。その際に新しく流入してくるO2と反応してバックファイアを防御する設備を取り付けます。                          ②O2が除去された空気は海水を途中まで満たしたタンクAにノズルを通じて送り出されます。ノズルには無数の小さい穴が空いていて、そこから気泡が発生するようにします。CO2は水に対する溶解度が高く、窒素ガスやアルゴンは低いので、一定時間経過後の水はCO2を多く含むようになります。(CO2の溶解度0.88 N2は0.016 Arは0.0336 それぞれ20℃)タンクの上は大気中のO2を遮断するために密閉し、気泡が出ることで増えた空気は換気弁を使って排出します。                        ③空気を送り続けCO2の溶解限度に近づいたら、タンクAの水をタンクBに移します。タンクBは水温を60℃以上に設定してあるので、CO2はほとんど溶解できなくなります。同時に水中に残存しているN2やArも溶け出しますが、気体としてのCO2の方が圧倒的に重いので、タンクの水面より少し上に取り出しノズルをつければ、含有率90%以上のCO2を取り出すことが出来ます。④このCO2濃度があれば合成メタンを製造する上で何ら問題はありません。窒素ガスも含まれるかもしれませんが、O2は存在しないので高温高圧状態でもNOxは発生しません。貯蔵する上でも同様に何の問題もありません。  ⑤この方法では何の化学変化も起こさず、消耗する部品もありません。必要なのはフロートにはいくらでもあるスペースと電力と熱量だけです。   
⑥フロートが人類の密集するエリアから遠く離れた赤道反流上にあるという特殊条件を加味し、大気中のCO2濃度が320ppm、採取できるCO2は300ppmしかないと仮定します。つまり、3㎥のCO2を獲得するには大気10,000㎥を吸入処理しなければならないということになります。吸入管面積を1㎡、吸入速度(風速)を10m/secとすれば、吸い込む大気は1秒間に10㎥になりますから、1時間で36,000㎥。よってCO2として約10㎥/hが得られます。(たとえ広い敷地があったにしても、フロート以外の場所ではこの段階で送風ファンを回すエネルギーなどが必要になるのでコスト的に成立しません。砂漠上など自然再生エネルギーを利用した発電ができるところならCO2の取り出しは出来ますが、それを貯蔵したり、他の化合物への原料にする実際的な方法がありません。但し、フロートの上であっても10㎥/secの空気を一つのタンクで処理するのではタンクが大きくなり過ぎて実際的ではないので、10個程度のタンクに分岐することが考えられます。             ⑦CO2は非常に重い気体で1㎥あたり約2kgもあります。よって⑥で出来るCO2は20㎏/hということになります。20h/day稼動で400㎏/day,一ヶ月30日で12㌧、12ヶ月で144㌧です。このような生産ラインを10,000本作れば、年間1億4千万㌧のCO2を水中貯留できます。もちろん、10,000本が100,000本になってもかまいません。大気の取入れ口でO2を燃やしてしまえば、あとはフロートの水面下にパイプを通して溶解用のタンクまで運びますが、パイプの長さに制限はありませんから、フロート下の水面を自由に利用できます。CO2は上述のとおり フロート上での合成メタンや他の炭化水素生産の原料、あるいはアンモニアから尿素を製造する際の原料に使用できます。

                                           フロートで生成されるH2とCO2とで作るカーボンニュートラルメタンの生産 ⑧この方法でCO2を取得した場合、その過程で大量の無酸素状態の空気を排出してしまうことになります。そのことで、これといった環境破壊が生じるとも思えませんが、念のために電解槽で発生するO2を配管で誘導して排出する空気に添加した方がいいかもしれません。同様の理由でCO2を取り出した後のタンクの海水も無酸素状態になっているので、前以て外部の海水と撹拌してから放出したほうがいいかもしれません。

太平洋の真ん中から送電線を敷くわけにもいきませんから、フロートで得られる電力はそれを輸送できる形にしなければなりません。そのために行われる方法が太陽光電力を使って水を電気分解し、生産されたH2を燃料として持ち帰るという方法です。ところがH2は理由がいろいろあって天然ガスのように冷却液化して大量に経済的に運ぶのには不向きです。
そんなH2の性質はどこで作ったH2でも同じですから、それをどうやって経済的に運ぶかということは非常に重要な課題であり、いろいろな方法が提案されています。
そんな状況の中で注目されている方法がH2とCO2を反応させてメタン(CH4)を作り、それを液化天然ガス(LNG)のタンカーで運ぶというものです。LNGは産地によって多少組成が異なりますが、大体90~95%がメタンガスですから船の転用は容易ですし、LNGタンカーなら荷下ろしで貯蔵できる港はたくさんありますから改めて専用のインフラを作る必要はありません。合成メタンはH2とCO2から作るので、それを燃やしても天然ガスのように新しくCO2を発生させてしまうものではありません。特に都市ガスにならほとんどそのまま使えるという利点があります。
問題はコストです。フロートでは無料同然のH2が豊富にありますし、広い敷地と無料同然の熱エネルギーもありますから、非常にローコストでメタンを合成できるのですが、このことは絶対的な優位になりません。地中から噴き出している産油国の天然ガスだって原価は無料同然だからです。いくら脱炭素に貢献するとは言っても、購入者が同じメタンガスに高いお金を払うとは思えません。
ただ、フロートで作る合成メタンには切り札があります。それは陸上で排出されたCO2を産廃と捉え有料で引き取り、どうせ空荷でフロートに向かうタンカーに載せて運んでくることです。天然ガスの産出地では要らないCO2を引き取るわけにはいきません。
どこの国でも企業でも排出されるCO2の処分方法については頭を痛めています。考えようによっては、たとえ赤道までの運賃を払ってもそれで片付いて企業イメージが守れるなら安いものです。
けっこうあくどい商売ができるかもしれませんね(笑)
合成メタンの製造についてはページを改めて説明しています。 

⑨アンモニアの製造
自然再生エネルギーで作ったH2を原料にアンモニアを作り、それを燃料にしようという計画があり、日本政府も非常に乗り気になっているようです。
アンモニアの燃料利用について 経済産業省資源エネルギー庁ホームページ アンモニアは主に窒素肥料の原料として世界中で毎年数千万㌧も生産されているので生産や輸送に深刻な問題があるわけではありませんが、NH3の燃料利用についてはいくつかの問題が指摘されています。
その中で大きな問題と言えばNH3合成時の原料であるH2を作るのに従来の水蒸気改質法では大量のCO2を排出してしまうのでCO2の排出削減に役立たないということ、それから重量当たりの熱量が他の燃料に比べて低すぎるということがありますが、少なくともCO2フリーのH2を使えるということで考えれば赤道反流上でのアンモニア製造には可能性があります。
                                 ⓾CO2はメタン製造以外にも使途があります。             1)CO2を電気分解してCOとO2を作る。CO2の電気分解の方法によっては高温だと効率が上がるという報告もあるので、フロート上での処理に適した方法がありそうです。CO2をCとO2に分離するだけでは、たとえフロート上であってもエネルギーがかかりすぎて意味がありません。一方で、COは液化点も低く、水への溶解性も低く運搬には不向きなので、COをフロート上ででのさまざまな化学合成品(例:ギ酸・尿素など)製造に利用します。                         2)「アオコまたはアカシオの光合成を利用したCO2の分解」をするときに、養殖水中のCO2濃度を増加させるのに利用します。別項目に詳細を記してあります。

画像5

Pec-cePとは、太平洋赤道反流と南北赤道海流が作る巨大な循環海流の上に、動力を消費しない浮島のような巨大な浮遊体(フロート)を浮かべてさまざまな利用を考える団体で正式名称は「一般社団法人:赤道で水素を考える会」ですPec-cePはその英語名称Pacific equatorial counter-current energy projectの略称です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?