パリ13区「Les Olympiades」
パリ13区(原題 « Les Olympiades »)を見てきました。
パリ13区に住む若者たちの恋愛群像劇なのですが、フランス映画らしいエッセンスは散りばめられつつも分かりやすいストーリーと脚本でマス向けな印象を持ちました。昨今大人気のエモい感じです。フランス版純猥談な感じです。
一部にカラーのシーンがありますが、基本的にモノクロ映画です。舞台の特性上、カラーだと情報量が多くなって疲れちゃいそうなので、モノクロであることでカラフルな13区の世界に惑わされず、没入できて良かったなと感じました。
パリ13区は再開発による近代建築とヨーロッパらしい街並みが混在するエリアで、メインキャラクターは台湾系のエミリーと、ボルドー出身のアラサーのノラ、あとカミーユというチンポ男が出てきます。
ストーリーはエミリーとカミーユとの出会いからはじまります。2人のシーンがひと段落したところでノラのパートがはじまるのですが、最初は2人とは全然関係がなさそうな、彼女の大学生活から始まります。33歳で復学したノラは、大学のパーティー(クラブイベント)でハジけようとしてやらかしてしまいます。ストーリーが展開するうちにエミリーとノラの苦しみや心の傷が詳らかになっていくのでフランス映画で眠くなる、ということもなく引き込まれていきます。エミリーとノラのラストの対比もよかった。
エミリーとノラがめっちゃ可愛い。そしてああいう子おる〜って感じのわかりやすいキャラクターしてます。エミリーはちょっとっていうかかなりメンヘラな女の子なんですが、エミリーの家族との関係が見えてくる中でだんだん愛着が湧いてしまいました。ノラはソルボンヌ大学に復学したボルドー出身の女の子です。アラサーでちょっと空気が読めないところがあるものの、めっちゃ美人。それゆえの苦しみなども抱えているのですが、彼女については比較的丁寧に描かれているので、是非映画でみてください。
この映画の愛は、言葉では語られないという印象を持ちました。それがリアルな感じでよかった。セックスしても、愛してるって言ってもらえても、愛されていないと感じることはあるし、その逆で愛しているという言葉がなくてもそこに愛はあるなと感じることもあります。そういう言葉にならない愛情表現、特に愛情がない時の表現がリアルで素敵だったなと思います。18禁映画ですので、セックスシーンや裸体はチョイチョイ出てきますが、全然エッチな感じはしません。心を満たすタイプではないセックスの虚無な感じもいい…
一方で、サブキャラの扱いが中途半端な感じがしました。
ポルノ女優アンバー・スウィート、スタンドアップ芸人志望のカミーユの妹エポニーヌ、エミリーの認知症のおばあちゃんなど濃ゆめのサブキャラに対して、その設定必要やったんかな…と濃ゆいがためにもやっとするところはありました。
アンバースウィートは個人的に超好きなので、もっと掘り下げて欲しかった笑
ちょっとだけラストの話に触れると、エミリーのラストはめっちゃメリバです。ワタシ的にはバッドな感じがしました。映画を観た直後は「は?」って感じでしたが、アレはバッドエンドなんだろうなと思うと、最後のセリフにも納得しました。
めっちゃ遊んできたから感じるところが大きいのかも知れない。他の人がどんなふうに感じるか気になるのですが、あんまりみんなわざわざ見ないかな…と思ってレビューしてみました。よかったら観てください〜!