愛しさを憎しみに殺してもらった
好きな人の命を、自分の手でこの世から消してやろうとする人の気持ちが理解できる。
最初は愛しくて大好きで堪らなかったんだろう。
相手もそれをなんとなく応えてくれていて、不満など何一つなく生きていたんだと思う。
ただ、それが途切れると全てが崩壊する。
優先順位が下がっていることを実感したり、寂しさで頭がぐるぐるしたりする。
そしてまず初めに、希死念慮に襲われる。
ただ、こいつは自分で何かをするわけではなく、こちらにすべてを委ねてくるので血反吐を吐く勢いで無視をする。
そうすると、次はこいつが加害衝動へと姿を変える。
こいつは自分で行動に移す。私が指示すれば、頭の中で何度も行動してくれるし、そのうち何も言わなくても動く。
愛しさが調子に乗ったところを、隙を見せたところを、見逃さず容赦なく刺していく。
「なんで?」という顔をした愛しさの表情に少しの苛立ちと嫌悪感、しかしそれを上回る滑稽さを噛み締めると、心がすっきりする。
頭の中はいつだって自由だ。
現実で行動に移すなんて馬鹿みたいなことは、私はしない。