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#23年のポップカルチャー23選 10位~1位

第10位 DYGL LIVE TOUR 2023 1月28日 at NAVARO
いつもNAVAROでのライブの前にはメンバーが店頭に顔を出してくれるDYGL。でも、これまでなかなかタイミング合わず、今年やっと観ることができました。愛聴していた前年に出された4THアルバムTHIRSTをひっさげてのツアー。繊細なメロディーと複雑な曲展開が魅力のアルバムの曲も、緩急つけたプレイでバッチリ仕上がっていて、海外のツアーも長くこなすタフなライブバンドの姿が最高でした。ひとつだけ残念だったのがホーンの入る、PALE FOUNTAINSのようで大好きな青春ネオアコTHE PHILOSOPHY OF THE EARTHが聴けなかったこと。ホーン抜きでもいいので次回は是非とも。

ライブが素晴らしかったのはもちろんMCではPEANUTS RECORDSのことも話してくれてとても嬉しかった。他にもジェンダーや社会問題についても声をあげてくれていて、言わなくてもわかるだろ、と若い時に冷めた態度でいた僕らのせいでこんな暗い日本になった面もあり、いろいろと反省してしまいました。昔から音楽を聴いていると、ついついいろいろなバンドからの音の影響をあげてしまうけど、正しくオルタナやインディーミュージックのDIYという精神性まで受け継いでいる頼もしいバンドの姿がそこにありました。

第9位 BEEF/ビーフ ~逆上~ (Netflix)
工事業者のダニーと起業家の女性エイミーというアジア系アメリカ人2人が、ホームセンターで車がぶつかりそうになり、あおり運転のやりあいをすることから物語はスタート。あおり運転では収まらず、自分の人生の上手くいかなさを元々関係のない相手のせいと錯覚するように、怒りと悪意をブレイキングバッドさせ周りを巻き込んでいくブラックコメディー。ネットでの怒りや悪意を興味本位で見て、気持ちが悪いのに離れらなくなるような感じで、怖いもの見たさで一気見しました。

現代アメリカが舞台ですが、音楽はBJORKやINCUBUSなど90'Sオルタナやラウドロックが効果的に使われています。コメディー度数が高い序盤から徐々にドラマチックに盛り上がる展開は、ドラマ内でも印象的に使われるSMASHING PUMPKINSの音楽のようでグッときます。現代社会への問題提起とおしゃれさのバランスが今っぽいしA24ぽい、今年見たNetflixドラマで一番ハマりました。

第8位 山田太一未発表シナリオ集 「ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉」
この本についてはインスタでもXでも何度もポストしたので、最後に内容について少しだけ。ネタバレってほどではないですが、未読の方はご注意を。

この本の発売からひと月たったころ山田太一の訃報が届いた。ご冥福をお祈りします、というのは心の底からの思いですが、不謹慎だけれどなんか山田太一のドラマのようで、出来過ぎているとも感じてしまった。「ふぞろいの林檎たち」、数年後に新シーズンがはじまると、あたりまえのように人が死んでいたり、離婚していたりする。それがあたりまの人生だよと教えるように。この未発表のVでもあたりまえのように、今まで描かれていなかった岩田健一(時任三郎)の父親が登場し、しかもハイライトといえる場面で確執が語られた。そのシーンがとてもよくて、二人のそれまでの人生をよく知っていたかのように感情移入して涙が止まらなかった。本当に凄すぎる脚本家でした。

第7位 持田保 「あなたの聴かない世界 スピリチュアル・ミュージックの歴史とリスニングガイド」
シティほにゃららとか二匹目三匹目のドジョウ狙いのディスクガイトや音楽本が乱発されるなか、「INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE!!!」に続く超オリジナリティーあふれまくりの持田保氏の書籍第二弾が発売されました。スピリチュアリズムの夜明けからサマー・オブ・ラブ、NEW WAVE秘密結社、ドラッグを絡めたテクノ以降まで年代を追ってスピリチュアル・ミュージックの歴史をたどり、それと並行して音源が紹介されています。どうやって調べたんだ、と驚くべき知識量で展開される歴史パートは、知らないことばかりで面白くて引き込まれます。そして音源紹介は史実に基づくものはもちろん、信じるか信じないかはあなた次第な想像によるものまで、マニアックな内容を流れるようなポップな文体で分かりやすくまとめてあり、その文才に憧れてしまいます。

教師ガチャはハズレばかりで、恩師と呼べるのは持田さんくらいです。「書いてないより何か書いてあるほうが絶対売れるから、何でもいいからコメントをつけてください」という教えは今も守っています。

第6位 MESHELL NDEGEOCELLO / THE OMNICHORD REAL BOOK
年間ベストアルバムはこの作品と早々に決まりましたが、コメントを書くのは1番苦戦しました。

名門BLUE NOTE移籍第一弾。参考にとレビューとかちょっと見てみても、鈴木楽器のビンテージ楽器オムニコード(来年復刻するみたいです)と父親のリアルブック(ジャズスタンダードの楽譜)からインスピレーションを得たこと、それと参加者と、サウンドについてはジャズに加えてアフロビートやソウル、R&Bを取り入れた独自のもの、とかありきたりなことしかみんな書いてないんですよね。水のように身体に染み込むし、何回聴いても新しい発見がある、とか自分も陳腐な言い回しをしてしまうので、そんなコメントだとみんな聴く気も起きませんよね。ごめんなさい。でもかと言って難解な作品というわけでもなく、ありきたりでもない不思議な音楽で、何故か虜になってしまいました。

とりあえず来年の目標は語彙力アップということで、今回はお茶を濁させてください。

第5位 ORIGINAL LOVE MUSIC, DANCE & LOVE TOUR 6月10日 at Zepp Fukuoka
田島貴男のひとりソウルショウやフェスではライブを観たことあったけど、何気なく単独ライブははじめて。前作BLESS YOU!と去年リリースされた最新作MUSIC, DANCE & LOVEをとても気に入っていたので、どうしてもバンドセットで見たくなり福岡まで足を運びました。物凄いものを観て唖然としながらも、肉体的なサウンドで身体が勝手に動き出す不思議な感覚。田島貴男は人はどれだけファンキーにどれだけズルムケになれるのかを実験する探究者のよう。初期のイメージからすると意外に感じられたプロテストソングもグサリと胸に刺さり感動しました。

新作に限らずアルバムではホーンが印象的なので、福岡公演にはホーン隊がいなかったのが残念でした。ツアー最終日の東京公演はホーン隊も入り、その模様がYouTubeにあがっているのですが、とてもよいけど生で観たのとは全然違っていて、やっぱり生のライブが1番というのを再確認しました。スチャダラパー、EGO-WRAPPIN'に続いて、観れる限りは単独ライブに通おうと誓った23年の夏でした。

第4位 この動画は再生できません
かが屋の2人が扮する、心霊ドキュメンタリーDVD制作チームのライターと編集マンが、送られてきた動画の謎を編集室から解き明かす安楽椅子探偵もの。かと、思いきや・・・

このドラマはとにかくネタバレ無しで見たほうが面白いので野暮なことは書きませんが、シーズン2の最終回をリアルタイムで見れ超興奮できたのはとても幸運だったし、これからも自慢していこうと思います。来年の劇場版も非常に楽しみ。

「ちょっと思い出しただけ」、「オッドタクシー」、そして「この動画は再生できません」という自分の好み。結局96年にてつ君にすすめられた「ユージュアル・サスペクツ」の呪縛がまだ解けてないだなのかも、と思いつつも当店マキシマムレコメンドとさせていただきます。

第 3位
CHAI ジャジャーン TOUR 3月10日 at FUKUOKA BEAT STATION
CHAI / CHAI

2023年頭のEP「ジャジャーン」リリースと3月のジャパンツアー、そして4THアルバムの「CHAI」リリースからのワールドツアー、メンバーYUUKIのブランドYMYMや個展をはじめとした個人活動、そしてあのちゃんと共演したテレビ出演などバンドの勢いそのままに精力的だった2023年のCHAI。チャーミングさと、ユーモアと、アイデアの豊富さと、知性、そして友情。10代の時にBEASTIE BOYSに夢中になったような気分でCHAIにも夢中になっています。今10代でCHAIに夢中になっているみなさんのこれからの音楽人生はきっと明るいものでしょう。年明けに予定されているジャパンツアーもチケット取って準備万端です。

第2位
くるりのえいが
ドキュメント サニーデイ・サービス
劇場版 優しいスピッツ A SECRET SESSION IN OBIHIRO

くるり、サニーデイ・サービス、スピッツという90年代から活動を続ける(スピッツはメジャーデビューが91年)ベテランバンド3組のドキュメンタリー映画が公開され、運よく3本とも劇場で見ることができました。

「くるりのえいが」はまず映画製作の話しがあり、02年に脱退したドラムの森信行を迎えオリジナルメンバーで新作をつくる様子を撮っていけばドキュメンタリーとして成立するのではないかと、岸田繁と佐藤征史の2人が考えたところからスタートしたそう。熱心なファンではないので、3人の関係など詳しくなく序盤はなかなか映画の中に入りこめませんでしたが、中盤ジャムセッションからはじまり出来上がったCALIFORNIA COCONUTSがかなりの名曲で、アレがマジでこうなっちゃうの?というバンドマジックを見せられ興奮し、そこからはグイグイ引き込まれました。この映画のセッションから出来上がった新作アルバム「感覚は道標」は、映画を見る前と見た後では全く違って聴こえて、ずっと好きになりました。

「ドキュメント サニーデイ・サービス」はデビュー前から現在までの活動をまわりの人たちの証言や映像で振り返り、それと並行して現在のツアーの様子がはさみこまれていきます。学生でバンドを組んでメジャーデビューしてそれからインディー活動をし、解散し、再結成し、メンバーと死別する波乱万丈なバンド活動は、観ているこちらも一緒に青春を送っているような気分にさせられます。現在のツアーは図らずもコロナ禍と重なってしまい、ライブができなくなっていく辛さ苦悩がリアルに映像化されていました。それはミュージシャンではない僕らも味わった辛い気持ちで、10年、20年たって振り返ってみても貴重なドキュメントになっていると思います。過去から現在まで様々なことを経験してタフになったバンドのライブシーンは胸を打つものがありました。

フェイバリット映画「ちょっと思い出しただけ」の松居大悟が監督だったので見にいった「劇場版 優しいスピッツ A SECRET SESSION IN OBIHIRO」。北海道・帯広の国指定重要文化財・旧双葉幼稚園園舎という歴史ある建物の中での無観客ライブ。冷たい空気まで伝わるような建物の雰囲気とストイックな演奏がマッチしていて、とても贅沢な気分になりました。無観客ということもあり曲間のMCのメンバーのやり取りは、1番メジャーなスピッツが意外にも3バンドのなかで1番青春感が出ていてちょっと驚きました。それは「くれなずめ」にも通じる男子ならではのわちゃわちゃした青春感で、それがナチュラルでとてもよく、そのあたりは監督の手腕なのかなと。元々WOWWOWで放送され、劇場版にはアフタートークがあるのですが、草野マサムネの「僕がスピッツのファンなら聖地巡礼していると思う」という言葉で、この映画の素晴らしさが伝わることでしょう。

ちょっとしたきっかけで出会ったメンバーと長い時間をともにして名曲をつくりだしていくバンドって、本当に不思議な生命体だと改めて思いました。能天気にSNSで「出会いに感謝」を連発している人たちには「まだやってるの?」と心の中で突っ込んでいるシニカルな自分も、「縁は異なもの味なもの」や「人との出会いが旅だから」など先達が残した名言には大きく膝を打ちました。

結局今年1度もPEANUTS RECORDSに足を運ばなかったな、というみなさんとも来年は良き縁がありますように。

第1位 ニューヨーク
ひとり会議(©みうらじゅん)しつつ、大晦日まで毎日カウントダウンしていた #23年のポップカルチャー23選 ですがなんか物足りないな、というみなさんも多いかと思います。20年からはじめた #最年長ニューヨーカー の活動(ただテレビやYouTubeを見てXに感想をポストするだけ)に多くの時間を割くため、ほかのインプットが全然足りてないからなんですよ。なので1位は「令和5年のニューヨークBEST 20」で〆させてもらいます。詳細なコメントはコチラ↓からどうぞ。

第1位 単独ライブ「虫の息」
第2位 真べぇVSケツ
第3位 嶋佐軍団
第4位 TKOとの絡み
第5位 ニューヨークバンド
第6位 コーンポタージュ兄弟 (ラヴィット!10月5日)
第7位 ニューヨークジャック 7月13日 ゲスト : お見送り芸人しんいち
第8位 ニューヨークジャック 10月5日 ゲスト : GLAY TAKURO
第9位 OWARAI Bros. Vol.7
第10位 アヤツリ・スクワッド
第11位 UNDER 5 AWARD 2023
第12位 トークィーンズ 9月14日
第13位 HOT LIMIT 3分クッキング
第14位 東京15期未解決事件
第15位 かわいいな問題  (オンラインサロン動画 8月1日)
第16位 芸人トーク ゲスト : マリーマリー
第17位 明石家さんま オールニッポンお願い!リクエスト~シーズン・イン・ザ・サンマー! 8月23日
第18位 ニューヨークのニュー青春TV
第19位 きしたかの高野より早くキレろ選手権
第20位 ドキュメンタル 13

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PEANUTS RECORDS
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