Contents(体幹の筋)
理学・作業療法士や柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師を目指す学生さんを始めとして、医師・歯科医師を目指す学生さん、そしてすでに現場で働かれている医療従事者の方々にとって筋学は解剖学を学ぶ中でも重要な領域の1つだと考えます。できるだけ見やすい&インプレッシブなスライドに仕上げており、赤文字は試験的に重要なところを示しています。
それぞれの領域ごとに筋の起始・停止・作用・神経支配、栄養動脈をまとめた表を追加しています。筋を栄養する動脈は調べてもなかなか出てこないことも多いですが、ほぼ完全に搭載しています。筋の表はただ単にまとめたものではなく、理学・作業療法師、看護師、柔道整復師、鍼灸師、はり師きゅう師、あん摩マッサージ師の過去全ての国試を分析しさらに解剖学の定期試験で問われやすいポイントを赤で表記しています。もはや全試験対応型の「虎の巻」です。まとめの表は知識の整理や試験直前の復習に、また、試験までもう時間がない!という学生さんの大きな味方になってくれるでしょう。
さらにオフラインでも学習できるようにダウンロード用PDFファイルも用意しました。PDFファイルは体幹の筋の説明スライド19枚、体幹の筋に関する国家試験問題と解説(作業・理学療法士、看護師、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ師の過去問から合計74問)、体幹の筋に関する問題集と解説文、筋のまとめを搭載しています。体幹の筋をマスターしたいあなたへ圧倒的な構成内容でお届けします!
背部の筋(浅層筋:僧帽筋、大・小菱形筋、肩甲挙筋)
体幹の筋では頭部、頸部、背部、胸部、腹部の筋について勉強していきます。背中の浅層の筋から順番にみていきましょう。
[僧帽筋]は僧帽筋の下半分の形が修道士の帽子である頭巾に似ていることからその名が付けられたと言われています。また、英語名のTrapeziusは英語の台形「Trapezoid」に由来します。僧帽筋は後頭骨上項線や外後頭隆起、「うなじ」に存在する項靭帯、胸椎棘突起と幅広い領域から起始し、鎖骨の外側1/3領域や肩甲骨の肩甲棘・肩峰上縁に停止します。肩こりの主要な原因筋となる僧帽筋は、収縮する部位によって肩甲骨に対する作用が変わります。全体が収縮すると肩甲骨を後ろに後退させ、上部が収縮すると肩甲骨は挙上と上方回旋、中部が収縮すると肩甲骨は内転(脊柱に近づく)、下部が収縮すると肩甲骨は下制と上方回旋します。僧帽筋の神経支配は特殊で第11脳神経である副神経と頸神経叢の2重の神経支配を受けます。副神経と頸神経叢の二重の神経支配を受ける筋は、僧帽筋の他に胸鎖乳突筋もありますので合わせて覚えておきましょう。
[大・小菱形筋]は名前の通り「ひし形」の形をしている筋で、頸椎や胸椎棘突起に起始し、下外側方向に走行して肩甲骨の内側縁に停止します。小菱形筋は大菱形筋より上に存在し、大・小菱形筋は肩甲骨の内転作用と挙上作用、下方回旋作用を持ちます。神経支配は肩甲背神経です。
[肩甲挙筋]は頸椎横突起に起始し、肩甲骨上角に停止する筋で、名前の通りで肩甲骨を上にあげる挙上作用を持ちます。肩甲挙筋は大・小菱形筋と同様、肩甲背神によって支配されます。
背部の筋(浅層筋:広背筋、深層第1層:上・下後鋸筋)
[広背筋]は下位胸椎の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第9~12肋骨から起始し、上腕骨小結節稜に停止する筋で、ヒトの筋の中では最も広い面積を持ちます。小結節稜は上腕骨前面にあるため、広背筋の作用は上腕の内転や後方移動(伸展)、内旋作用を持ち、咳などの強制的な呼気の際にも働く筋です。また、上腕骨を介して肩甲骨の下制にも働きます。広背筋の神経支配は胸背神経で、腕神経叢に由来します。
次は深層の筋をみていきます。深層の筋群は第1層、その下の第2層、さらにその下の第3層に存在する筋に分類されます。
[上・下後鋸筋]は深層第1層に存在します。後鋸筋はテープのようにとても薄い筋で、呼吸運動の補助筋として働きます。上後鋸筋と下後鋸筋は互いに直交するように走行し、呼吸に対して反対の作用を持ちます。上後鋸筋は菱形筋の下に存在する筋で、起始停止のイメージを薄い黒色で塗って追加しています。上後鋸筋は頸椎や胸椎の棘突起に起始し、上位肋骨に停止します。それに対して、下後鋸筋は胸椎や腰椎の棘突起に起始して下位肋骨に停止します。ここで着目してほしいポイントはそれぞれの筋の走行の向きです。上後鋸筋と下後鋸筋の走行の向きを点線の矢印で示していますが、上後鋸筋が収縮すると肋骨は上に持ち上がり、逆に下後鋸筋が収縮すると肋骨は下に下がります。呼吸に関係する筋は肋間筋など数多くありますが、上後鋸筋は息を吸う(吸気)運動に、下後鋸筋は息を吐く(呼気)運動に関わる筋となります。支配神経に関しては肋間筋の支配と同様、肋間神経になります。
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