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第9波(変異株XBB.1.5型)の登場

各波の名称設定に関して 

 2023/4/22,新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省専門家会合の脇田隆字座長、東北大学押谷仁教授ら4人の専門家がまとめた文書によれば、今後、BA.5型変異株によるオミクロン株は第6波、当シリーズでpost第7波とした感染は第8波、XBB.1.5型による新たな感染を第9波と呼称する意向であることをメディアは報道していました。となれば、アルファ波は第4波、デルタ波は第5波となるのでしょう。波名の設定経緯は不詳ですが、マスコミではなく authority が決めたことですから、良し悪しは別にしてこの波名呼称に当シリーズも順ずることになります。ご了解いただきたく思います。

各波経過に見る都道府県の人口数と感染者数比

 第8波は、その波形推移から判断して2023/4/3に収束したと思われます。収束後は、多数のオミクロン変異株がひしめく中、変異株XBB.1.5型が4月中旬に有病率トップとなって先行するに至り、全国感染者数は東京都を筆頭に増加一途の現状です。
 この感染波推移は予想されていたことですが、一旦振り出しに戻った感じです。第6波(オミクロン株)末期に一時的に成立した都市人口依存型感染が、新たな変異株BA.5型(第7波)の登場によって後退し、大都市圏型感染第7波のP1成分を一時的に出現せしめた事態に似ています(図2の右側グラフ3段目の’オミクロン株感染者数グラフ’、4段目グラフ’第7波都市規模別の感染者数’グラフをご参照ください)。 

 現在のコロナ感染に関する私の視点は、次の2点に集約されます。
 ①:第8波で、都道府県の感染者数がその人口数比に相似化することが分かりましたが、第9波でもそれは持続するか否か。
 ②:XBB.1.5型変異型と他の変異株との関係は、競合か並立か。
 
 今日は①に関して検討することにします。
 参考のために、47都道府県の各人口数比を、左から東京都に始まり右端の鳥取県に至る降順を図1に示します。感染者数が人口数比化するということは、都道府県感染者数波形がこの図1グラフに限りなく相似していくことを意味していると思われます。

            図1:47都道府県の人口数比

2022年人口(総務省)を多い順に並べ替えたものです。

 人口数は2022年総務省によるもので、2020~2021年に感染主流となった第4波(アルファ株)、第5波(デルタ株)感染時の人口数とは異なります。人口減は大勢ながらも、2021年と2022年の1年の間に人口数に大差が生じたわけでもないので、グラフ煩雑化を避けるため図1をもって第4波、第5波時の都道府県人口数比とし、各波感染者数経緯を図2に示しました。

 図2左側各グラフは、東京都(左端)から鳥取県(右端)に至るまでの人口数比に順じて、各都道府県の感染者数を示したものです。右側グラフは、各感染波時の感染者数を都市規模の大都市圏(青)と中小都市圏(赤)に分けて図示したものです。

     図2:各感染波時の人口数比(左)と大・中小都市規模比の感染者数(右)  

*期間は各波によって異なります。
*左グラフは期間内の加算実数、右グラフは7日加算平均の感染者数です。

 感染者数を大都市圏(9)と中小都市圏(38)に分けて感染経過を見ることの必要性に関しては、2023/3/2の当シリーズ「感染者数が人口数比化する都道府県のコロナ現況」をご覧頂ければ幸いです。
 第4波から第8波にかけての一連のグラフを見ますと、右側グラフの大都市圏感染者数折れ線グラフ(青)が、中小都市圏感染者数の折れ線グラフ(赤)と並行、且つ等高となるにしたがって、左側の感染者数グラフは図1グラフに相似化する傾向を認めます。
 最下段の第8波の感染者数比グラフ(左側グラフ)は、その上段にある第7波の感染者数グラフに比べれば、視覚的判断ですが図1との相似性は増したと思われます。第8波の大都市圏(9)と中小都市圏(38)の感染者数は、高低の位相差が帰省現象によって途中逆転していることを除けば、ほぼ併行し且つ同高で経過していることが認められます。

 図3に、第8波が未だ収まらない内に置き換わったXBB.1.5型変異株による感染の初期段階をグラフで示しました。2023/12/25からの感染経緯については、前回シリーズの図3を変更して詳細を記しましたのご参照ください。

   図3:第9波の都道府県別感染者数と都市規模別感染者数比

 第9波は、第7波収束後の2023/4/4以降の18日間の経過ですが、右側グラフの大都市圏(9)と中小都市圏(38)の感染者数が一定間隔を置いて共に並行して上昇するのは、XBB.1.5型感染の現状を表していると思われます。しかし、両者の感染者数比(赤折れ線)は一時上昇したものの、その後は1.2:1比前後を保っている現状が窺えます。このことは、感染者数比は、変異株の種に関わらず保たれている可能性があり、となれば都道府県人口比型感染は、変異株の種に関わらず認められる可能性を推測させます。北海道の感染者数増、静岡県や茨城県の感染者数減等は、当該各道県の個別的事情が推測されやや落ち着かない感染者数経緯ですが、XBB.1.5型感染の初期段階に原因する可能性もあり得ますので、今後の経過を見守る必要があると思われます。

 図2の第4波、第5波のグラフを見ますと、感染者数が人口数比に相似するのは大都市圏に限られています。当時は、感染が大都市圏に始まりそして終わるのがコロナ感染と思っていて、やがて地方に感染拡大が及び、都道府県別感染者数がその人口数比に相似してくる推移は想定外のことでした。今や感染の人口数比化は当然と思うに至りましたが、私としては、当然と思った背景の感染経過を知ることでよりコロナ感染の理解が深まると思っています。漫然と各波の波形を並べても、正直な処空しさがないではありません。
 感染者数比は限りなく人口数比に近づくと思います。とは言え各都道府県が持つ歴史、文化、経済、社会構造、地理的条件等を思えば、人口数比が感染者数比と全く等しくなることはあり得ないのも当然です。

 感染者数比が都道府県人口数比化することに私がこだわるのは、感染の成立あるいは広まりをコントロールする因子が、各都道府県で共通するらしいのは何故かと思うからです。その因子とは、オミクロン変異株全体に共有されているかもしれない有害因子によるものか、ワクチンがもたらした実益因子によるものか、それとも夢幻の集団免疫によるものか等を見定めたいからです。一般的に流布しているのはワクチン効果のようですが、そうなればたとえワクチンと変異株多発のチキンレースに拍車がかかろうと、私はあの憂鬱な副作用に耐え6回目ワクチンを受け入れざるを得ないことになります。
 コロナに効く次世代タミフルの出現を切望するこの頃です。

                  2023/4/25
                  精神科 木暮龍雄


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