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第7波後のコロナ感染状況1
第7波は、当シリーズでは2022/10/09に収束したと判断しています。第7波収束後(以後post第7波)の最初の特筆すべき感染状況といえば、北海道を中心とした東北地方の突然の感染者数、死亡者数の激増だったと私は思っています。外国経由で第8波が侵入した形跡も無かったので、社会的にもあれこれ話題になった記憶があります。先ずは北海道の感染者数、死亡者数異変を、東京都と比較した図1の検討から始めることにします。
図1:post第7波・東京都と北海道の感染者数と死亡者数
![](https://assets.st-note.com/img/1672444225171-lcnFlg4xru.png?width=1200)
東京都(上図)と北海道(下図)の感染状況を比較検討する際には、両者の人口比が北海道1:東京2.5であることを押さえておく必要があります。右側死亡者数スケールは両者で等しいものの、左側の感染者スケールは北海道は東京都の1/2です。
両グラフは、東京都も北海道もそれぞれの感染実態に加え、都市人口依存型感染の浸透もあって、post第7波の感染者数は共に上昇一途です。北海道では、感染者数は横軸スケール48辺りでピーク(2022/11/17頃)に達しますが、東京都は更に上昇を続け、2022年12暮れからの年末年始休暇によって感染者数減少の気配がやっと見えてくるといった状況です。北海道では、感染者数ピーク後一定期間を経て死亡者数が減少するお決まりのパターンを示しますが、東京都での死亡者数はその間も増加を続けています。
グラフ上、両者の感染経緯に共通性がなく、それぞれ独自の感染経過を示しているのを見ますと、感染主体(変異株)が全く異なった両者の背景を推測せざると得ません。
人口2.5倍の東京都を上回る北海道の死亡者数は、現実には東京都の5倍を示すことになり、背景に感染主体である変異株が持つ重篤性(=病原性)に起因する可能性を推測させました。北海道型の感染の広がりを見る必要があり、全域的な死亡率を確認するため、当シリーズ2022/11/17版の「行政ブロック別の人口、感染波、感染者数、感染率感染者死亡率」の第7波に、post第7波の感染状況を加えて検討することにし、表1としました。
表1:第7波収束後の行政ブロック別死亡率
![](https://assets.st-note.com/img/1672358964013-ztydNM2sZZ.png?width=1200)
*第7波後に第7波死亡者数が残るブロックもありましたが、そのまま算定してあります。
*中部と九州では、人口比で中部>九州ですが、感染者数、死亡者数で九州>中部に注意。
表1のポイントは、赤字で囲まれ太字の死亡率枠です。post第7波のみの死亡率を見ても、その期間内の死亡状況の実態を反映しないと判断し、連続波形である第7波との死亡率差でその増減を表しました。
表1右端の死亡率増欄で、東北北海道地方の死亡率激増が明らかなのは当然ですが、データベース上の目算で死亡者数増に注目していた北信越が、東北北海道ブロックに次ぐ2位の増加率となり、順当な結果と納得しています。3位が四国であるのも頷けますが、中国ブロックが死亡率5位とあるのを見ますと、人口の少ない行政ブロックでの高い死亡率傾向が注目されます。
九州は第7波との比較で-0.01%と低値ですが、2022/12/28に全国的に感染者数が増加しているので今後の変化があり得ますが、post第7波までの九州の死亡率が如何に低かったかが分かります。それにしても、東北北海道地方と北信越地方の死亡者数急増が気になります。ここら辺りの変化はグラフ化して、次回の「第7波後のコロナ感染状況2」で後述の予定です。
当シリーズ2022/11/17版の「都市人口依存型に進行するコロナ感染」で、行政ブロック別の感染率について述べ、感染過疎地であった東北、中国、北信越、四国の各ブロックの感染状況の変化を述べてきましたが、post第7波データを新たに追加して、その後の感染状況を見ますと表2となります。
表2:各株(波)と第7波収束後の各ブロック内感染率
![](https://assets.st-note.com/img/1672360684612-O8mLzZe4NU.png?width=1200)
. 感染率は各ブロック人口に対する感染者数比です。
表2のポイントは以下の二点です。
①:デルタ株の上位4行政ブロック(四国、中国、北信越、東北)の感染率は、どれも基準の全国感染率の半分以下であり、下位4行政ブロック(九州、中部、関西、関東)感染率の高さは大都市圏型感染の結果を表していたと思われます。上下位4ブロック間の感染率の差に注目されます。
②:post第7波の感染率は、全ての数値が未だ上昇過程にありますので今後変化する可能性がありますが、基準値である全国感染率5.337%との差が全ブロックで少なくなり、値のばらつきも少なくなっていることが注目されます。統計学的検討に関しては、次なる感染収束後に更なる検討を要すると思われますが、ブロック間のばらつきの少なさへの移行は、大都市圏型感染から都市人口依存型感染に移行しつつある現在を象徴するものと思われます。
表1、表2は、第7波後の感染経過を検討する際に、行政ブロックという単位がかなり効果的に都市人口依存型感染を説明していると思われました。都市人口依存型感染の極限を想定するならば、感染はそれぞれの自治体の人口動態で決まる事態に限りなく近づくことを推測させますが、そんな事態に達するまで現感染が続くとは思えません。あくまでも感染主(ウイルス)次第であって、新たな感染主が浸透してくれば都市人口依存型感染なるものも元の木阿弥となります。
それにしても、現在のコロナ感染は、国内発育株と思われるBF.5型、BA.5.2型、BA.5.2.1型の3タイプが中核であることを、都健康安全研究センターの変異株検査結果集計が示していることに注目しています。3タイプが、時に共存し時に拮抗したりしている感染状況は、他の変異株を寄せ付けない現状があるのではと推測しています。今暫くは、この態勢が続く可能性があるのは、2,022年11月下旬に東北北海道の感染が収束の気配を見せ、その頃から九州地方での感染が再燃し、2022年12月下旬に入ってからは関東地方の感染者数増大の気配が濃厚になっている現状からも推測されます。年明けの感染状況が恐怖です。
2022/12/30
精神科 木暮龍雄