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コロナ感染・人口比を巡るせめぎ合い

 オミクロン株から第7波を経て現在に至る感染者数推移に、当シリーズとしては新型コロナ感染の一大変貌を感じます。それは、グラフ上で大都市圏と中小都市圏の感染者数が肩を並べ始めたオミクロン株末期から、第7波にかけて次第に強まりました。参考のため、人口数を併記したアルファ株から第7波後の現在に至るまでの感染者数推移を表1としました。

  表1:大都市圏型と中小都市圏型感染の感染者数推移

人口は2022年総務省によるものです。単位は*1000。                          大都市圏は、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、福岡、北海道の9都道府県     中小都市圏は、大都市圏を除く38府県全て。                        対比は中小都市圏を1とした大都市圏比を表します。                       

 アルファ株、デルタ株では、感染者数比率は大都市圏で圧倒的に高く70~75%を常に占めていました。当シリーズではこの時期の感染様式を都市機能(人の移動、人の密)を背景にした大都市圏型感染と呼んできました。大都市型感染の勢いは、オミクロン型感染末期から勢力を増した中小都市圏感染によって相対的に低下し。翳りを見るに至ります。感染は、都市人口規模に準じた感染者数を示すようになり、その感染様式を当シリーズでは都市人口依存型感染と呼んできました。その傾向は第7波後も続き、感染者数では表1の対比で示す如く大都市圏感染者数と中小圏観戦者数比は1.1:1のほぼ同数にまでなりました。
 グラフにあらわしますと図1となります。

     図1:大都市圏感染と中小都市圏感染の感染者数推移

*第8波に入って大都市圏>中小都市圏ながら、常時ほぼ等高になることに注意。

 淡青色の中小都市圏感染者数が、濃青色領域の大都市圏感染者数領域内に浸透していく経緯が明らかです。表1の対比は、各波ごとの濃青色面:淡青色面比を示します。感染者数すべてをまとめた感染加算経過図では窺い知れない感染の内幕です。
 第7波の前半までは大都市圏型感染が優勢ですが、後半に入って中小都市圏型の勢力が増してグラフ上ではほぼ等高となり、その第7波の前半後半合わせた両者の比は、表1で示す1.3:1となります。第7波後もグラフ上で両者常時ほぼ等高を維持し、対比は1.1:1まで変わります。大都市圏の割合低下が著しいですが、それでも0.1だけ大都市圏型感染が上回るのは、淡青色の上縁を濃青色が僅かながら上回っていることで示されます。

 図からは読み取れませんが、生データでは大都市圏と中小都市圏の感染者数が1.2:1を境にして競い合うのを実感します。1.3:1から1.1:1への変化は、東北地方の感染者数増や大都市圏での総じた感染者数伸び率の相対的低下等が背景にあると思われます。いずれにせよ、新型コロナがお気に召すような都道府県が特にあるわけではなし、また新型コロナを贔屓する都道府県があるわけでもなかろうと思いますので、第8波等の特殊な影響がなければ感染者数比は人口比1.2:1に限りなく近づくことが推測されます。暫くは両者の丈比べが繰り返されるのではと推測しています。

 それにしても、第7波後の感染者数グラフをみると、外国からの侵入型感染は考え難く、国内で成長、分化する変異株をデータベース上での特定が可能かを検討する必要があると思われます。

                     2022/12/7
                     精神科 木暮龍雄




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