また振り出し?のコロナ感染
定点観測による患者数報告は22週目を迎えました。報告は、東北、関東の6中小都市圏(秋田県、宮城県、群馬県、栃木県、新潟県、和歌山県)に患者数増加を認めたとしています。変異株エリスの衰亡過程も一段落し、コロナウイルスは新たな変異株興亡の時を迎えたようです。
定点観測は、中小都市圏優位の患者数算定方式ですから、大都市圏が抜けた上記6県の先駆けにさもありなんの感じです。
一方、報告による患者数を都道府県人口数比で補正しますと、患者数増は20都道府県に認め、内訳は東北北海道地方(7道県)、関東地方(7都県)、関西地方(6府県)でした。
人口数比による補正では、大都市圏優位の患者数算定となりますので、関東地方や関西地方の患者数増は分かりますが、東北北海道地方の全道県での患者数増は意外で、注目せざるを得ません。
図1:東北北海道地方、関東地方、関西地方の平均患者数
定点観測(上段)と補正後(下段)の比較
図1は東北北海道地方(左側)、関東地方(中央)、関西地方(右側)の、定点観測による平均患者数(上段)と補正後の患者数(下段)をグラフ化して示したものです。補正値は、かなり抑えられていますので、患者数比と人口数比が等しくなるまでには至っていませんが、下段グラフは補正の必要があったことを感じさせます。
上段の定点観測での波形判断が困難ですが、補正後の波形では右端が微かながら上向きに転じています。今後の波形変化に注目しています。
それにしても、またも振り出しに戻ったコロナ感染です。
感染現況は、譬えれば変異株の溜まり水にどっぷり浸かっている感じですから、暴力的でエネルギーに溢れた変異株が現れて他を圧すれば、そこに新たな感染が生じるのは想像に難くありません。重篤性が低かった(と推定しています)変異株エリス如きならまだしも、2022年9月の東北北海道感染のような重篤性の高い感染も経験していますから、心配は尽きません。
一方、厚労省は7月に25,00万本、9月に10,00万本のワクチンを注文しています。「打ちたい人が滞りなくワクチンを打てるよう今後も確実に供給していきたい」とのことですが、ワクチンとチキンレースのごとき変異株の行方に、不安を感じないではありません。
都道府県人口比を基にした補正が適正であるかは、今後の患者数推移で検証されると思われます。
2023/10/29
精神科 木暮龍雄