コロナ感染・注目の変異株ピロラ
26週目(2023/11/13~2023/11/19)の「定点観測下の一医療機関の平均感染者数」が報告されました。患者数が記入された都道府県地図は、平均患者数1.98の定点観測始まって以来の少数ながら、島根県の最小値1.03と北海道の最高値5.07の間に、47全都道府県がぎっしりと患者数を埋め込んでいます。患者数ゼロを未だ見ませんが、前週より上下する都道府県が多数見られ落ち着かない地図で、人口数比化の底を衝いたのかもしれません。
大流行が危惧される変異株BA.2.86型(通称ピロラ)及びその下位系列について、生物学的領域に関しては、その分野の解説をご覧頂ければと思いますが、感染現況は知っておかねばと思います。
国内では、2023/11/6の国立感染症研究所報告によりますと、2023/1/1以来、変異株BA.2.26.1の67件を筆頭にしてその他17件だったとし、他種変異株との急速な置き換わりは認めないものの、関東、九州に多い傾向が見られたとのことです。
世界的に見ると、変化が出てきたようです。都安研の2023/11/10現在の世界の新型コロナウイルス変異株流行状況は、イギリス、フランス、ベルギー、スウェーデン、デンマーク等のヨーロッパ中心の国々の上位変異株に、ピロラあるいはその下系列が登場したことを報じています。10日前の報告と状況がかなり変わってきました。それらの国々で変異株首位を制するのは時間の問題かもしれません。そうなれば、やがてヨーロッパからアメリカに感染舞台はひろがり、次いでアメリカから日本へと移動するオミクロン株おきまりのコースを辿る可能性があります。
暫くは、上記サイトに注目することになります。こんな予測が外れることを願ってますが、感染は最悪の場合を想定しておく方が、対応に余裕も出ようというものです。
変異型ピロラの日本侵入となりますと、外国からの新たな感染ですから、検疫を経て首都圏及び大都市圏に先ず感染が広まり、やがて地方へと拡散していく様子が目に見えるようです。
都道府県数47の割り振りによる現在の定点観測下では、先ず中小都市圏の感染者が優先的にカウントされるでしょうから、首都圏あるいは大都市圏の変異株ピロラのグラフ上の出現は、2~3週遅れになる可能性があります。現行の「定点観測下の一医療機関の平均患者数」による状況把握に不安を感じるのは当然です。定点を都道府県数47でなく、人口数比で割り充てた定点観測への変更を考えられたら如何でしょう。それとも、現在の定点観測下の一医療機関の平均患者数で押し通すつもりでしょうか。
現定点観測を続けるとあれば、図1左の都市規模別感染者数図は、変異株ピロラにあってもスケール(=高さ)を変えつつエリスと似た波形が推測されます。大都市圏:中都市圏:小都市圏の患者数比は、その都道府県数47中の比を表し、変異株エリス同様、基本的に9:16:22の持続が推測されます。図1右の補正図で比は逆転します。
図1:定点観測下と補正後の都市規模別の平均患者数経過
変異株ピロラは、当シリーズとしては現定点観測が続く限り、図1左右グラフを基本にして観察を続けることになります。変異株ピロラが、日本に侵入してくるまで1~2ケ月の余裕がありそうですが、当シリーズとしては、当方の体調が許す限り、パンデミック終焉を見届けるつもりです。
2023/11/27
精神科 木暮龍雄