新たな方法でコロナ患者数推移を検討
一日ごとのコロナ感染患者数が知りたければ、定点観測下の「一医療機関の平均患者数」報告しかありませんから、その報告の不備を指摘するならば患者数の実態を知る代わりの方法を考えなければなりません。
図1は、再掲ですがオープンデータ終了直前の2023/2/9~2023/5/8の平均感染者数推移(左図)と、期間をほぼ合わせた定点観測開始後の2023/5/19~2023/9/3の平均患者数推移(右図)をグラフ化し比較検討に供したものです。オープンデータによる左図の都道府県別感染者数グラフは、新たな変異株による感染がない限り変わりようはなく、その波形は一層人口数波形に近似していくものと推測されます。
図1:オープンデータ終了前3ケ月と定点観測の現在までの患者数推移
左図の赤折れ線グラフの感染者数が、人口数比に限りなく近づくとあれば、感染者数も一定の割合(=人口数比)に従っていくことを推測させます。つまり、緩やかな曲線を描く人口数が何らかの数式で表すことが出来るならば(とても当シリーズPCの及ぶところではありませんが)、某都道府県の前後の感染者数は、人口数比でおよその値を知ることが可能になると思われます。このことは、行政ブロックの関東ブロックを例にしますと、患者数が最小の群馬県を基点にすれば、人口数比でその他の県は勿論、東京都の感染者数も割り出すことが可能になります。そして、その他のブロックも同じ手順で患者数を求め、それぞれのブロックを足し併せれば、全国の患者数推移を知ることが可能になると思われます。表計算ソフトは、こんな常同的作業を容易にしてくれます。
各行政ブロックの基点となる患者数最小の県は、定点観測では小都市圏に分厚い定点数配置されていますので、大都市圏に比べればその患者数ははるかに正確な数値であることが期待され、利用価値もあろうというものです。
細かな作業過程は省略しますが、図2左は、その結果得られた全国人口数と患者数推移とを合わせたグラフになります。患者数が、aboutながら人口数比に準じて増減する傾向を認めます。少なくとも、図1右のような、人口数比とは無関係な波形ではなくなります。正確な数値で導き出された波形でないのは残念ですが、感染傾向を把握することは可能と思われました。
図2右は、以上の方法で得た都市規模別の患者数です。大都市圏(上段)で多く、小都市圏(下段)では少ない、ごく当たり前で自然な現実をグラフは示しています。
図2:人口数で補正した定点観測下の患者数推移
同図では、全国平均で患者数増(灰色棒グラフ)を認めますが、小都市圏での患者数(黒の線グラフ)が減り始め、大都市圏での患者数(青の線グラフ)が増えている傾向を示していますので、その背景について更なる検討を要すると思われます。
この問題は、東北北海道地方に新たなコロナ感染の可能性についてと関連しますので、2023/9/15予定の2023/9/4~2023/9/10の「一医療機関の平均患者数」報告を見て、8行政ブロック、更に各ブロックの都道府県患者数の検討の上述べることにします。
2023/9/14
精神科 木暮龍雄