新たなコロナ感染の可能性
人口数比で補正した全国患者数を、データベースとして表1に掲載しました。赤い数字の感染者数欄で、表にある都道府県は8行政ブロックを北から順に区分してあります。
表1:補正による全国コロナ患者数
2023/5/19~2023/9/10
図1:表1を基にした都道府県別人口数と補正後の平均患者数
煩雑になるので省略しましたが、定点観測による生データの感染者数は、2023/9/9の当シリーズをご覧頂ければと思います。
図1をみますと、オープンデータで見慣れたオミクロン株第7~8波時期の人口数比化した感染者数推移とまではいきませんが、そこに近づいた波形を感じています。補正は「定点観測」の各ブロックの最小感染者数県(表1の赤い数字)が基本になりますので、大都市圏(図1左1列から9列まで)の補正がどうしても甘くなります。東京都や神奈川県の患者数はもっと多い筈ですので若干の調整をしましたが、それでも人口数比を満たすには及びませんでした。地方特性もありますから調整は最小限とし、その他の道府県に微調整はありません。
図2に、8行政ブロックの患者数を、定点観測下(左側)と補正した患者数(右側)とを比較しました。補正は主として大都市圏数、次いで中都市圏の患者数が見直されますので、当然スケールも左右で異なってきます。
図2:定点観測下と補正後の8行政ブロックの平均患者数
定点観測下 補正後
両者の波形は、補正でがかなり異なってきました。左図から、時系列9を境にした新たな感染の可能性を推測しましたが、その可能性は右図の補正後では一見したところ認められなくなりました。同図で補正されたのは、主として西日本の九州、四国、関西の各地方、東日本の北海道と東京都であることをグラフ上から確認出来ます。けれども、このグラフからはまとまった感染の流れを見出すことは出来ないと判断しました。
かくて、各ブロックの、補正後の都道府県ごとの患者数波形の確認が必要となりました。図3に、東北北海道地方から九州地方にかけての、補正によるそれぞれの都道府県患者数の波形変化(右側)を定点観測下(左側)と比較して示しました。
図3:定点観測下と補正後の行政ブロックの平均患者数
定点観測下 補正後
図3の、「定点観測」と補正後の各ブロック別の都道府県患者数を比較したグラフを要約しますと以下の2点に集約されます。
①:補正後の東北北海道地方、関東地方、北信越地方の都道県患者数から、2023/8/3~2023/8/10の時系列9以降の患者数増が顕著であること
②:時系列9以前に、関西地方、中国地方、九州地方で補正後の府県患者数が急増している時期がありますが、以後は漸減傾向にあることです。
図3右側の、北海道、東京都の患者数急増は、新たな感染を疑うに充分な波形と思われます。更に、患者数は少ないけれども、北信越の新潟県、長野県の患者数増は、以前の東北北海道感染時にも見られた傾向なので気になります。あと2~3回の患者数報告で凡そのことは分かる気がします。
図1、図3を合わせると、補正が十分だったとは思われないものの、必要不可欠だったことを示していると判断しています。
それにしても、時系列9以前に、現在の東京都並みかそれ以上の患者数が推測される大阪府、福岡県では、実際の府県患者数値はどんな経過だったのか知りたいものです。「定点観測」があるじゃないかとの任せきりは気になります。一般に飽きた感が社会的に無きにしも非ずのコロナ感染ですから、手間暇かけるまでもなかろうと思わぬではありません。東京都医師会長は、感染者数15000/日の激増をタイミングよく世に知らしめてくれました。
2023/9/18
精神科 木暮龍雄