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定点観測下のコロナ感染 まとめ(4)

Ⅰ:AK数式による患者数データベース

 まとめ(3)で、2024/2/19~2024/2/25週の鳥取県患者数273を基にして、人口数比で積算した都道府県平均患者数を得たのが始まりでした。更に、定点観測開始から2024/12/29までの鳥取県平均患者数/週を求め、AK数式による定点観測開始以来の平均患者数と定点患者数の二通りのデータベース表1、表2を作成しました。

 鳥取県感染症情報センターには、大変お世話になりました。2024年10月下旬、定点観測開始からの鳥取県の「一定点の平均患者数」を、知りたい旨を同センターに問い合わせました。同センター関係者に、何故鳥取県患者数を知りたいのかと聞かれ、47都道府県の中で人口数が最も少ない鳥取県患者数を、人口数比で積算し、逆算的に全国患者数経過を知りたい当シリーズの主旨を説明しました。応対して頂いた同関係者から、定点観測になってからの鳥取県患者数推移を、丁寧に教えて頂きました。心から感謝しています。

  人口数比で積算した都道府県患者数は、鳥取県より人口の多い都道府県では、定点数の規制を受けない人口数比だけで算定した患者数となり、鳥取県患者数だけが5000定点数枠の枠基準を受けていることになります。不可解な都道府県による患者数減も無くなりますから、平均患者数は当然増えることになります。感染モードの「患者数が人口数比化する」事実を知らなければ思いつかないことでしたが、まとめ(3)で述べた試行錯誤のおかげだったとも思っています。

 二通りのデータベースの定点観測期間は、鳥取県の感染情報センターの患者数設定に従いますと、2023/5/8~2023/12/29の26週、2024/1/1~2024/12/29現在までの52週の計78週となります。定点観測開始から現在までのデータベース全てをサイトに載せるわけにはいきませんので、最初の28~32週の5週間、直近の47~51週の5週間、 計10週の都道府県患者数を掲載し、41週分を渇愛して(表1,2の~部分)、表1の平均患者数推移、表2の定点患者数推移の概略だけを以下に掲載します。

    表1:鳥取県患者数を人口数比で積算した平均患者数   

*鳥取県患者数の定点観測は2023/5/8~2024/12/29の2023年28週目から開始されています。
 *最下段から3行目の赤数字欄が、鳥取県感染情報センターから提供された各週の定点患者数です。
   *全期間最初と直近の5週間の平均患者数が示され、列右端は全週の平均患者数の平均値です。  *赤平均患者数を絶対値とし、各週の人口数比を積算して各都道府県平均患者数となります。

   表2:表1平均患者数をAK数式定点数で除算した定点患者数

*表2の各週の平均患者数をAK数式定点数で除算し、各都道府県定点患者数を求めました。
*列右端は、全週の各都道府県定点患者数の平均値となります。

 平均患者数と定点患者数の2通りデータベースが出来上がって、最初に求めたのは、図1左に示す2023/5/8~2024/11/10週の、赤(定点)と青(平均)の患者数推移でした。鳥取県の一定点の平均患者数から、どの程度の詳細な全国平均患者数経過が得られるのか、つまり使いものになるかならないかを確かめる必要があったからです。

 図1右に、厚労省の平均患者数と定点患者数を参考に載せました。期間を合わせてグラフ化した比較のため載せたものですが、両者とも各変異株による感染増減経過を、ピークを等しくしながらの波形を示しました。AK数式と厚労省の両者に、赤線グラフの定点患者数と青棒グラフの平均患者数が重なって比例しているのを認めます。比較した詳細は、Ⅲ:AK数式データベースの統計処理・都市規模別患者数で述べることになります。

  図1:AK数式による定点観測期の平均患者数と定点患者数経過

*AK数式、厚労省共に、平均患者数と定点患者数の患者数比は等しくなります。
*波形は、左側で辺縁がシャープで、右側はスムージングされたような感じです。

 表2は、表1の各週平均患者数をAK数式定点数で除して、定点患者数データベースとしたものです。平均患者数も定点患者数も、人口数比で彩られますが、オープンデータ時代後半からの患者数の人口数比化という経緯を考えれば、当然と思わないではありません。

 表1、表2の左側に常置した列の人口数、AK数式定点数と、右列端の定点患者数、平均患者数との相関を図2右に示しましたが、比例関係に近い高度な相関関係が認められます。人口数比で積算した表1、表2ですから、人口数と相関するのは当然ですが(図2左、図に右)、過去となったオープンデータ時代の平均患者数との相関(図2、図3の中央)は、日時を違えた別次元の過去の患者数との相関が示され、貴重な結果と思われました。

  図2:平均患者数(表1列右端)と人口数、オープンデータ平均患者数、
          AK数式定点数との相関

*定点数は基本数式の基本を成し、AK数式で得た定点数です。
*左図の定点患者数平均値とは、表1~2の右列端に設けた全期間の平均値を意味します。

  図3:定点患者数(表2の列右端)と人口数、オープンデータ平均患者数、
         AK数式定点数との相関
 

*オープンデータ時代の平均患者数と、上下段の平均患者数平均値、定点患者数平均値は相関します。

 2024/2/19~2024/2/25週のAK数式平均患者数と定点患者数については、信頼性は確認済みですが、表1、2両データベースの全経過の加算平均値であるAK数式の定点患者数、平均患者数の信頼性も、表1、表2左側の人口数、オープンデータ平均患者数、AK数式定点数との相関を示した図2と図3下段で、同様に確認されたことになります。

 図3は、表2の定点患者数が、まとめ(3)で述べた定点患者数に特異な波形を示して相関関係を示しています。図2、3は、表1、2データベースの平均患者数、定点患者数の高度の相関性を示すものと判断されます。

  表1、2は、図2左でその有用性が確認され、他の試算でも有効性を確認しましたので、当シリーズとしては今後の多用に値すると判断しています。本文で多用するのは、両データベースの右列端の全期間にわたる加算平均値となりますので、表1ではAK数式平均患者数、表2ではAK数式定点患者数としてグラフ上で命名しました。

Ⅱ:定点患者数の求め方の相違

 Ⅱ-1:厚労省の基本数式に対する当シリーズの見解

 
厚労省は定点数を明示していません。当シリーズとしては、2024/2/19~2024/2/25の患者数報告で平均患者数を算定し、都道府県が求めた定点患者数(=一定点数の平均患者数)で除したものになります。定点数と定点患者数は、厚労省サイドから提供されたことになりますので、厚労省の平均患者数データベースの作成も可能になりました。

 しかし、その平均患者数は、表1の平均患者数データベースとはかなり異なっていますので、いずれの平均患者数が実用に値するか否かは検証する必要があると思われます。厚労省報告による定点患者数データベースも、本来なら表2の定点患者数データベースと同じ筈ですが、定点数、定点患者数、平均患者数で構成さる基本数式の数値全てが、AK数式基本数式算定数値と異なっていて、それにも関わらず、両者は基本数式の計算式を満たしているのです。
 
 その検討にかなりの日時を要しましたが、結論として、基本数式の定点患者数の求め方に違いがあると推測されました。
 AK数式定点患者数の場合は、=平均患者数/定点数 の分母分子の計算値であるのに対し、厚労省の場合は、一定点数の平均患者数を実測して、定点内の全ての患者数を意味する所謂平均患者数を、 =定点数×一定点患者数の計算値としていることにあると、当シリーズは推測しました。としますと、定点患者数(=一定点数の平均患者数)の算定方法が全く異なることになります。

 少々長くなりますが、当シリーズの厚労省基本数式に対する基本的な見解となりますので、以下に纏めて述べます。

 厚労省の定点数は、2024/2/19~2024/2/25の都道府県平均患者数(理論的には=定点数×定点患者数)を、都道府県が算定した同週の定点患者数(理論的には=一定点の平均患者数)で除したものとなり、厚労省は権威ある公的資料 public data として提供することになります。定点数が定まりますと、厚労省にしてみれば平均患者数=定点数×一定点数の平均患者数(=定点患者数)ですから、定点範囲内の全患者数を意味する平均患者数は、自動的に算定され、わざわざそれを求める手間が省けることになります。定点観測に託す厚労省のそもそもの目的は、そこにあったのかと思えてきますが、そのためには根拠が明らかで正確な定点数とそれに基づく定点患者数算定が前提となります。ところが、定点数を得るために、都道府県が苦労して得た一定点数の平均患者数で平均患者数を除算して定点数を求めようとすると、循環参照を告げられてそこでストップがかかってしまいます。

 定点数の定数化は簡単なことではなく、一筋罠にはいきません。厚労省の定点患者数算定方法は、=平均患者数/定点数に代替する手法の可能性を思わせ、当シリーズとしてはその経緯を興味深く見てきました。けれども、後述する図4の厚労省定点患者数が、表1、2の平均患者数、定点患者数との相関を示さず、人口数や定点患者数、己の分身でもある基本数式の定点数や平均患者数とも相関せず、定点患者数に特異な波形(図3下段)を表すこともないのです。

 都道府県にしてみれば、定点数がなければ定点観測が始まりませんから、厚労省としては、暫定的にしろなんとしても定点数を定め、都道府県に知らしめなければならないのです。定点数の定数化に難儀していた厚労省は、某月某週の平均患者数(あるいはそれに類似した患者数列)の中から、合計値が5000に最も近いものを選び、暫定的にその週の平均患者数を定点数として利用せざるを得なかったのではと当シリーズは推測しています。かなり杜撰な定点数の決め方ですが、常用されて厚労省による基本数式定点数になったと、当シリーズは推測します。けれども、厚労省にすれば、ストップがかかって循環参照となった定点患者数に、その定点数を積算して全国平均患者数を表すことに抵抗があったのではと推測します。
    
 その間の事情は、厚労省が明らかにすれば済むことですが、してもしなくても、厚労省が一定点の平均患者数(=定点患者数)を毎週金曜日に続けざるを得ない背景がその辺りにあったとし、今でもあると当シリーズは推測しています。

 一方、AK数式の場合、定点患者数は、=定点患者数/定点数の単純数式に従う大雑把な計算値であって実測値ではなく、その分母分子が決まれば自ずと得られるものになります。幸いにして定点数が数式によって定数化され、鳥取県患者数を人口数比で積算した平均患者数をその定点数で除して定点患者数としていますから、自然界に意味あって存在するものを直接カウントしたものではありません。
 この定点患者数の求め方のAK数式と厚労省の違いは、以後常に念頭に置く必要があると当シリーズは考えています。

 要約しますと、AK数式による定点患者数は単純な計算値であり、厚労省による定点患者数は厚労省の定めた定点数に基づいた実測値となり、その違いが基本数式の各値を異にする結果を招いたのではと推測されます。
 両者の違いは定点患者数にも反映されますので表にしますと、表3左、表3中央となります。表3右は、表3中央の厚労省定点患者数を降順に並べ替えたものになります。

      表3:AK数式と厚労省の定点患者数データベース比較

*左図はAK数式定点患者数データベース、中央は厚労省定点患者数データベースからの転記。
*AK数式患者数、厚労省患者数データベース(1)は人口数降順、(2)は定点患者数降順となります。
*最下段は、定点数計(左)、定点患者数平均値(中央)、その両者の積算(右)。
*厚労省の定点数は、2024/2/19~2024/2/25の平均患者数を定点患者数で除算したものです。
*厚労省の定点患者数は、定点数、平均患者数のいずれも相関していません。

 AK数式患者数データベースを簡略化した表3左の定点患者数が =平均患者数/定点数による計算値であるのに対し、表中央の厚労省定点患者数は、都道府県による実測値となります。どちらが、目的とする定点患者数に該当するのかが問題になりますが、この問題の解決はそれほど難しいものではなく、Ⅱ-2の基本数式内各項目の相関関係で検討することになります。

 その前に、以前も指摘したことのある厚労省患者数のNHK報告の患者数推移グラフについて述べておきたいと思います。
 表3は、厚労省の一定点数の平均患者数(=定点患者数)が、所謂平均患者数(=全定点範囲の平均患者数)を代弁するものではないことを示しています。当シリーズがこだわるのは、厚労省が報告する、「感染症データと医療。健康情報の新型コロナ「定点把握」データ  過去の参考地と最新データの連続表示」で、「2022年10月から2023年5月7日までの「第8波」を含む感染状況のデータを、「定点把握」で集計し直し、参考値として発表しました(青色の棒グラフ)」と説明していることです。
 厚労省が公開しているサイトで、患者数推移を示すグラフの第8波は平均患者数であり、その後に繋がる黄色の一連の波形は、厚労省による定点患者数となります。この違いを厚労省は銘記すべきと思います。厚労省は、両者を意味あるものとして繋げようしていますが、それは定点患者数と平均患者数とが、意味を全く異にすることを理解していないことを明らかにしています。第8波を「定点把握」で集計し直したとありますが、オープンデータ時代の第8波の平均患者数波形を改竄してまでも、定点観測時代の定点患者数波形に繋げるのは非常識以外の何物でもないと当シリーズは判断します。当然なことですが、多くの都道府県が示す患者数推移波形は、オープンデータ時代の第8波と繋げることを殆どしなくなりました。厚労省サイトの、自説に従わせようとする意図を強く感じ、その幼さに深い失望を覚えます。

 監修としてグラフ内に表記されていた厚生労働省、国立感染研究所の名称が何時の間にか消えています。理由があって消したものと推測しますが、となると、このグラフの発行者は一体何者になるのでしょうか。名前を消したからといって、一定点数の平均患者数の実測を認めてきた過去の監修責任を免れるものではありません。

 表3右の厚労省の定点患者数を、降順にして並べ替えますと、まとめ(1)で述べた如く、上位9位は最多の佐賀県から石川県までが占め、東京都、大阪府、兵庫県の3大都府県は、定点患者数の最も少ない部分に入り、左表とは都道府県構成が全く異なってしまいます。グラフにしますと定点患者数と平均患者数の波形は酷似しますが、厚労省の患者数報告では、その中身が全く別物に変わっていることを常に意識する必要がある、と当シリーズは判断するものです。

 Ⅱ-2:基本数式内各項目の相関関係

 問題は、基本数式内の各項目同士の相関です。
 本来なら、定点数式内の各項目は、どれも積算もしくは除算の関係にありますから、相関性が保たれて然るべきものと当シリーズは判断しています。AK数式の基本数式内の、定点数、定点患者数、平均患者数の各項目同士の相関関係を図3上段、厚労省の基本数式内の同様の相関関係を図3下段の示しますと、AK数式基本数式内ではどの項目同士も相関関係を示しますが、厚労省基本数式内では、定点数と平均患者数とに軽い相関を認めるものの、定点患者数が関与する同士の相関は、どの項目同士でも相関関係を認めなくなってしまうのです。

     図4:AK数式と厚労省の基本数式内各項目の相関関係

*上段はAK数式基本数式、下段は厚労省の基本数式の各項目の相関関係。

 上段が定点患者数が計算波の場合(=AK数式基本数式)であり、下段は厚労省の一定点数の平均患者数(=定点患者数)を実測で求めた場合の基本数式内各項目の相関関係を表します。厚労省の定点数と定点患者数、定点患者数と平均患者数に相関関係が認められないことを示しています。図示していませんが、オープンデータ時代平均患者数とも相関しません。

 厚労省の一定点数の平均患者数(=定点患者数)の実測が、定点患者数としての機能を果たしていないことが推測されます。厚労省の「一定点数の平均患者数(=定点患者数)」の実測は、あたかもコロナとは別のウイルスの属性を求めているかのようです。
 図3下段、図4上段の、定点患者数が関係すると思われる特異な定型曲線は、その波形がAK数式定点数に限られているとなりますと、定点数が計算波であることに関連している可能性があり、更なる検討を要するものと当シリーズは判断しています。

Ⅲ:AK数式データベースの統計処理・都市規模別患者数

   これまでは、表計算的処理を中心に検討してきました。表2、3が得られたので統計的な処理について少しだけ述べさせて頂き、まとめ(4)を終えたいと思います。
 当シリーズは、統計学専門ではありませんから、ここで述べることは、ごく初歩的な統計処理に基づくものであることにご理解頂きたいと思います。けれども、都市規模別患者数については、オープンデータ時代と定点観測期とで異なることは、定点観測の開始以来当シリーズは指摘してきたことでもあるのです。

   患者数が人口比化する感染モードは、オープンデータ時代のオミクロン変異株時代から始まり、同じオミクロン異変株支配による定点観察時代まで維持されていると、当シリーズは判断します。何故なら、定点観測に入ってから、感染状況が急変した事実はありませんから、オミクロン変異株が代替わりしながら支配し続けているものと推測されるからです。この推測に異論があれば、オミクロン株が急変するほどの感染状況を明らかにせねばならないことになります。しかし、そのような感染状況の急変する如き事実経過は無いするのが一般的です。

   誤解を避けるため繰り返し述べさせて頂きますが、感染モードは、感染の広がりが大都市圏から小都市圏に及んだとするもので、大都会での患者数が維持されたまま、感染は地方都市に漫勉なく及んだという意味になります。譬えるならば、水が低きに流れるということかもしれません。従って、平均患者数が、地方の中小都市圏で大都市圏よりも勝ったということではありません。言い方を変えれば、感染の流れは都市規模順中心から人口数中心となり、大都市圏よりも地方都市圏でより加速された患者数増を見るに至ったという、当たり前のことを意味します。

 感染モードは、オープンデータ末期の第8波で最盛期に入りますが、エリス期でもその傾向は若干残ります。その経緯を踏まえ、図7、図8をご覧頂ければと思います。

                 図7:定点観測期の都市規模別の平均患者数推移

*左右グラフとも、ピークは左よりエリス波、ピロラ波、KP.3.3波をとなります。
*AK数式平均患者数と厚労省平均患者数の都市規模患者数比は、左右各波でほぼ等しく、
 *大都市圏患者数比はエリス波で多いものの、漸次中小都市圏の患者数比が多くなります。

   図7左は、定点患者数を計算波として求めた場合の平均患者数推移で、同右は厚労省の一定点数の平均患者数を実測で得た場合の平均患者数推移を表します。全体波形は、左右でかなり異なりますが、大中小都市圏の患者数比が左右でほぼ等しいのに注目されますが、大都市圏患者数が次第に減り、患者数比は漸次縮小します。左右のピロラ波以後の中小都市圏患者数が一定傾向を示すのは、感染モードが安定してきた背景が窺がえます。

   
図8は、定点観測の都市規模別の定点患者数推移を示します。
  左右とも定点患者数波形ですから、定点数が計算波によるものか、一定点数の平均患者数の実測波によるものの、波形の違いが予測されましたが、図8の左右グラフは、大都市圏と小都市圏で患者数が逆転し、AK数式定点数グラフでは大都市圏>中都市圏>小都市圏でしたが、厚労省定点患者数グラフでは、大都市圏<首都試験<小都市圏となります。表4の右表の定点患者数降順を示すグラフとなっています。

                図8:定点観測期の都市規模別の定点患者数推移

*左図の患者数比は大中小都市規模順ですが、右図は小中大の都市規模順となります。
*左図は、定点患者数は計算波によるもので、右図は一定点数の平均患者数の実測によるもの。

   左図は計算波としての定点患者数波形、右図は厚労省が都道府県に命じた一定点数の平均患者数(=定点患者数)の実測値波形を表していることになります。厚労省のエリス波期やピロラ波期の患者数報告で、感染増大期に中小都市圏の患者数が多くを占める傾向があったことを思い出します。図8右のその当時の小都市圏の巨大な波形が、その背景を示していると当シリーズは推測します。実際にそんな現象があったわけではありません。コンピュータが、厚労省のプログラムに正直だっただけの話です。

 定点患者数が計算波であるか実測波であるかの違いが、図8の違いを産み出す背景にあることを理解すべきと当シリーズは考えます。厚労省の定点患者数設定が、統計的結果にも影響することを述べたかった Ⅲ:でしたが、一応その役割は果たせたものと当シリーズは考えています。インフルエンザ流行に、この定点観測仕立てが適用されていると聞いていますが、定点数設定がコロナ感染と異なることを願っています。

 大都市圏患者数が、中小都市圏患者数よりも少ないとする都市伝説信奉者に申し訳ないけれど、図7に従えば、感染モードは小都市圏ほど早い感染衰退を招くことを窺わせ、大都市圏ほど最後までウイルスは居残ることが推測されます。首都東京は、コロナの末路を見届ける役割を果たすことになると推測されますが、それでこそ東京都だと当シリーズは思っています。   

                   2025/1/21 精神科木暮龍雄



    




 

 

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