![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166458823/rectangle_large_type_2_145fba41fbdb0e0dc60b6da697967a01.png?width=1200)
定点観測下のコロナ感染 まとめ(3)
Ⅰ:AK数式による基本数式
表計算シートを引用する機会が増えました。前回シリーズの表2を少しばかり変更し、表1として再掲します。変更は、基本数式の各項の並びを、表計算を考慮して、定点数×定点患者数=平均患者数の項順とし、厚労省数式も同順で並べ変えました。表計算シートは、少しずつですが進歩します。
AK数式3項目とオープンデータ平均患者数項目を含め青領域としたのは、これからの表計算の中心が、厚労省の黒の領域からAK数式の青の領域へ移行することを意味します。
表1:AK数式による基本数式の表計算シート
![](https://assets.st-note.com/img/1734575198-7M3zFOXZtfrniqSLTAs9u4vQ.png?width=1200)
*厚労省、AK数式共に、項目は定点数×定点患者数=平均患者数の項目名順に変更しました.。*表1では、厚労省の各項目は定数化され、鳥取県患者数273に影響されません。
*厚労省の鳥取県患者数273に応じて、AK数式平均患者数、定点患者数が変わります。
A:AK基本数式と厚労省基本数式の相違
AK数式で定点数が得られ、次いで、まとめ(2)で述べたように試行錯誤を経て平均患者数を求めることが出来ました。定点患者数=平均患者数/定点数 に基づいて、定点患者数も自動的に明らかになりました。これで表計算が可能となりましたので、AK数式基本数式の骨格が、より明らかになると思われます。
これからの感染パターンの比較検討に、当シリーズとしては表計算による検討が欠かせないと判断し、項名順も基本数式の定点数×定点患者数=平均患者数の順に変更しました。厚労省数式の項名順も同順にまとめ、AK数式との比較を容易にしました。
遅ればせですが、従来まで表1で”患者数“としてきた項名は、”患者数“が平均患者数と同義なので、比較検討の際に煩わしいので”患者数“は平均患者数に変更しました。
表1の、青色欄のAK数式各項は、鳥取県患者数273を人口数比で積算した都道府県患者数であることを、まとめ(2)で述べました。273の変動は、表計算シートである青色欄のAK数式定点患者数、平均患者数と連動し、各都道府県定点患者数とその合計の全国患者数を最下段に見ることが出来ます。実際の表計算は、表計算ソフトExcelへの転記が必要になります。
表1の、黒色欄の厚労省の基本数式は、 まとめ(1)で不可解な患者数変化で示した図2右を背景に、厚労省の定めた定点数とそれよって得られた定点患者数と平均患者数(=従来の”患者数“)となります。当サイト上の表1では、2024/2/19~2024/2/25の鳥取県患者数の定点患者数、平均患者数の273以外の数値は定数化しましたので、273の変動に連動しないように処理されているのをご了承下さい。表計算 Excel に転記の際にご注意下さい。
表1の平均患者数は、これで厚労省、AK基本数式、オープンデータによる患者数の3通りが揃ったことを示しています。いずれが平均患者数として妥当との評価を得るのかがこれからの検討課題となります。それぞれの平均患者数波形を、同一グラフ上で見ますと図1となります。
図1:三通りの平均患者数の相関図
![](https://assets.st-note.com/img/1734579750-2XdzVJ5wq7Dy0Bj1ReQfHuUM.png)
*AK数式、オープンデータの平均患者数は人口数に従い、厚労省の都道府県平均患者数は、自身が定めた定点数に従っています。
図1相関図の、AK数式(青色実線)とオープンデータ平均患者数(淡黒色実線)は、高度な相関性を示し、もつれあった二つの実線グラフで示されます。この二つの線グラフを散布図にしますと両者は識別されず、一実線としてグラフ上に表示されます(図2左)。
表1の鳥取県患者数237が算定したAK数式平均患者数は、確定値である raw data のオープンデータ平均患者数と相関していますから、定点数と同じように確定値として汎用に応え得るものと判断します。定点患者数も、数式に従えば=平均患者数/定点数ですからその分母分子も確定値ですので、当然、信頼するに耐える確定値と判断しています。
赤の厚労省平均患者数も、厚労省にしてみれば実測値ですから、当然、確定値と主張されるに違いありません。けれども、図2の青と赤の線グラフの違いは歴然としています。何故これほどまで落差が生じたのかは、まとめ(1)の図2をご覧頂ければと考えます。AK数式平均患者数は、「患者数は人口数比化する」ことを基にしていますが、赤の平均患数については厚労省の説明がありません。定点観測開始を契機にして、一夜でAK式平均患者数が厚労省平均患者数に変化するとは考えられませんので、コロナ感染開始以来の一貫した感染様式=大都市圏優位を厚労省は基にすることとの違いが、根底にあるのではと推測します。
図2:AK基本数式と厚労省基本数式の平均患者数
![](https://assets.st-note.com/img/1734580090-ZtT5bRdCh4PcgJ8OxYG1lyEA.png?width=1200)
*厚労省とAK数式の平均患者数は、大都市圏に向かうほど乖離する傾向を認めます。
*厚労省とAK数式の各項比較は、“患者数”時(=平均患者数)を基にしたものです。
厚労省が、「患者数の人口数比化」している現実を認めなければ、オミクロン波以後のコロナ感染は、アルファ波やデルタ波と同じく大都市圏優位に感染拡大し、衰退時も大都市優位に衰退するものと理解されていると推測します。定点観測に入ってから、コロナ感染は衰退期ですから、患者数減も大都市圏優位に明らかになると推測されるのではと推測します。一方中小都市圏では、拡大も衰退も大都市圏に比べれば増減は僅かと推測されておられると思います。その結果、5000定点数応分に、盛衰両期に相応する患者数増減は、大都市圏で多めに見積もられ、中小都市圏で少なめに見積もられた可能性が推測されます。その違いが、図2左の波形の違いを生み出した背景にあると厚労省は主張されるかもしれません。その違いを赤い波形で表すことが出来た根拠を示して頂けると納得しますが、その説明がありません。
それは、まとめ(1)の図2、図3の説明に通じるものと、当シリーズは推測しています。
結局は、定点数が数式化されなければ、都道府県は「一定点の平均患者数」を算定することが出来ません。厚労省にしてみれば、数式化を求める代わりに、何らかの手段で、定点数設定を行なわなければならなくなります。定点数を求める方法として、変数のままの定点数を利用したり、循環参照を上手く処理して定点数を求める等が考えられますが、当シリーズがそれを述べ立てたところで何かの役に立つわけではありません。
見解の違いを論じても、感染様式の正誤の区別は出来ません。けれども、統計的な手法で得た結果の有意性を比較することで、いずれが妥当かの判断は可能と思われます。厚労省基本数式に、各項目が互いに有意に関連する相関性や整合性が認められれば済みますが、そうでなければそこで終わりになる以外にありません。相関性や整合性を確かめるには表計算が用いられ、その結果を受け入れることが求められ、見解の相違もそれに従うことが求められます。
B:互いの相関を否定する厚労省定点患者数
下図3は、厚労省定点患者数と、都道府県人口数、厚労省平均患者数およびオープンデータ平均患者数との相関を求めたものです。
左から「都道府県人口数と厚労省定点患者数」、中央に「厚労省の定点患者数と平均患者数」、右に「厚労省定点患者数とオープンデータ平均患者数」の相関関係を、散布図(上段)及び相関図(下段)で確かめたものです。
上段の3散布図は、プロットのばらつきがどれも広汎で、相関性は3者とも認められないことを示しています。互いの定点患者数は、どれとも相関を拒否し、お互いに無関係を主張しています。
図3:互いの相関を拒否する厚労省基本数式
![](https://assets.st-note.com/img/1734580345-ALQ0Gwm6nTMDORIEi1fr9jSd.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734580396-jSVwYrOvH87pNGo96udLiTUl.png?width=1200)
下段の相関図の定点患者数波形は、厚労省報告の平均患者数データベース(=一定点数の平均患者数ですから本来定点患者データベースとなります)の集計欄でお馴染みの波形を示しています。
特に問題なのは、厚労省の定点患者数と平均患者数に相関性を認めないことです。厚労省定点患者数は、同平均患者数を同定点数で除したものですから、相関性が無いとなると同定点数に問題があることを示しています。厚労省は、同定点数をどのようにして求められたかを、明らかにして頂ければ済むことです。定点数に問題があると、表計算は定点患者数、平均患者数の全てにこの問題が波及することになります
結論を先に述べますと、まとめ(1)の図2右の不可解な患者数を示す都道府県の存在が、原点にあると思われます。統計的にも、表1の東京都の定点数と定点患者数との間に発生している循環参照の可能性、まとめ(2)の図3で示すように、定点数に変数が利用されていることを推測します。循環参照は、東京都以下の定点患者数を定数化してその場をしのぐ対処が可能ですが、当然、その対処は、定点数、平均患者数、オープンデータ平均患者数との相関に厳しい結果をもたらすことになります。
それにしても、厚労省の各種測定値、項目名使用に説明不足を痛感します。特に、まとめ(1)の図2~3の説明が大事ですが、まとめ(2)で示した図2:の人口数と厚労省“患者数“及び定点数波形の相関図の相違に関しては、変数のままである定点数は理解し難く、定点数が定数化されなかった現実のカミングアウトと言われても仕方がありません。これらが、定点数設定に原因があるとなると、相関性拒否のオンパレードは簡単に済む事態ではありません。
図表計算の結果は、厚労省の基本数式の各項目が、互いの相関性、整合性を示すことは出来ず、データのとしての患者数報告の信頼性に問題があることを示していると思われます。当シリーズに問題あれば、指摘して頂ければ検討し、間違っておれば訂正にやぶさかではありません。
Ⅱ:特異な波形のAK数式定点患者数
B:図3の「厚労省」の文言を「AK数式」に変え、対象条件を等しくした散布図と相関図を求めますと、図4となります。図3の散布図及び相関図と比較して、定点患者数を中心にした波形の違いを確認して頂ければと思います。
図4:互いの相関性を受け入れるAK数式の各項目
![](https://assets.st-note.com/img/1734582047-YH7DIxOvEPF2ZAnXQjioq1m6.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734582007-TsO18oDZC4KtEuiWcra0HIh6.png?width=1200)
*AK数式定点患者数波形は、特異な波形ながら、人口数,平均患者数,オープンデータ平均患者数との相関を示しています。
AK数式定点数(図4左)の人口数との相関性に関しては、まとめ(2)のB-2:AK数式定点数の相関性で述べましたので、その信頼性は確認済みとなります。上段の定点患者数波形の信頼性も、都道府県人口数、平均患者数、オープンデータ平均患者数とで共通する曲線散布図波形(C:で後述します)として示され、高度の相関性が推測されます。上段3波形が示す相似性は、AK数式が表す定点患者数の整合性を示すものと推測されます。
下段は、上段散布図を相関図で表したものですが、AK数式化で定数化された定点数によって、定点患者数波形が直線形グラフを示しています。厚労省の定点患者数は、相関性を全て拒否するオンパレードでしたが、AK数式による定点患者数の曲線様散布図では、相関性ありのオンパレードといっても過言ではありません。
もしこの上段波形が定点患者数に特異な波形ならば、厚生省定点患者数でもその片鱗が認められてしかるべきと思われます。けれども、厚労省の定点患者数は、他成分との相関性を殆ど拒否しますので、AK数式の定点患者数とは縁も所縁もないことを図3は示していることになります。
東京都の感染情報センター患者数報告は、定点患者数と平均患者数を同時に示しています。東京都の定点数は既定値419ですから、定点患者数を求めるのは容易ですが、平均患者数が厚生省が決めた定点数によるものであることで問題を抱えます。というのは、東京都の少ない平均患者数に疑念を覚えるからです。東京都には、平均患者数がまとめ(1)の図2右、図3に従ったとあれば、不可解な患者数を示す都道府県を代表して、同図に示される東京都以下の患者数の説明をして頂くと有難いです。
厚労省の定点数設定に始まるデータ間の相関性の喪失は、東京都をして定点数波形という特異な波形の出現を認めなくさせた可能性を、当シリーズは推測します。
このAK数式定点患者数波形の特異な波形は、厚労省による定点患者数(=一定点数の平均患者数)データベースでは、見ることはありません。従って、厚労省定点患者数とAK数式定点患者数は、全く無関係な別物と判断せざるを得なくなります。
AK数式定点患者数が定型化された波形を示し、この波形を示す全てにAK数式定点患者数が関与していることから、定点患者数自体がもたらした可能性が推測されます。定点患者数が計算値であることに関連する可能性が当然推測されますが、計算値だけでは説明できない背景も推測されます。
図4で示された定点患者数波形は、AK数式内の各項目との比較検討に用いられた波形ですから、プロットで示される散布図は謂わば両者の合成図でもあります。一風変わった波形のAK数式定点患者数ですので、他要素の混じらない定点患者数そのものを適切に表す波形が求められる必要があります。
図5:「患者数の人口数比化」と定点患者数
![](https://assets.st-note.com/img/1734582213-J4DEVYFCkuscS6QTLX9f8GeM.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734657521-lyCD2BXMuq6s1QEJjhmKZtw5.png?width=1200)
*中央波形を左波形で割ると、右波形が生じることになります。
*下段の左波形と中央波形は、「患者数の人口数比化」と同義を示すと思われます。
「患者数の人口数比化」を受け入れるとなれば、人口数と測定値である定点数、平均患者数の相関関係が基本数式の根幹になります。その両者に、オープンデータ患者数を追加した人口数との相関関係をグラフ化しますと、図5左、中央、右図となります。図5上段左と中央の、比例関係を思わせる両者のグラフで、表計算による定点患者数を求めますと、特異な曲線波形に一変することになります。
図4の定点患者数波形は、他の項目との相関関係でも多く認められ関連性を広く有していることを示し、波形的にもかなり安定したものと推測されますので、この波形の起源 original があればと思うのは当然で、図5はその
original に該当するものと、当シリーズは推測します。
定点患者数曲線は注目すべきで、今後も検討が必要と思われます。
鳥取県平均患者数273で、2024/2/19~2024/2/25週のAK数式平均患者数が求められたとなりますと、鳥取県患者数推移で、定点観測始まって以来の都道府県平均患者数データベース化が可能ではと推測されます。厚労省の一定点数の平均患者数データベースではなく、「一定点の」カッコ付き無しの都道府県平均患者データベースについて、次回まとめ(4)の主題に予定しています。
2024/12/20 精神科木暮龍雄