帰省現象に相乗りする変異株のコロナ感染
年末年始の帰省は、都会から地方へ向かう人の全国的移動ですから、大都市圏では感染者数減、中小都市圏で感染者数増を招くのは当然と思われます。それにしては、一時的な筈の帰省現象が3ケ月に及ぶとは想定外でした。感染の自然な流れに、なんとなく人工的な背景が加わった印象がなきにしもあらずで、波形判断が難しくなり、コロナ感染終末を見届けたい私には帰省現象期間をチェックしながら、感染状況を見守る以外にありません。
オミクロン型コロナ感染が、都市人口依存型感染に究極的には行きつくであろうことを前提にしますと、大都市圏(9)/中小都市圏(38)の感染者数比(以後命名として使用)が1.2:1になることは、都道府県の感染者数比がその人口比とほぼ等しくなった状況を表すと推測されます。私にしてみれば、それは都市人口依存型感染の終着駅を表すと思われます。オーバーヒートした中小都市圏感染者数も帰省現象が過ぎれば、その人口数比1.2:1の1に戻るまでの時を待つことになります。
感染者数比を、オミクロン株期~現在までの感染者数推移(濃淡青面)と感染者数比(赤折れ線)経過をグラフ化しますと図1となります。
図1:オミクロン株感染期・2021/12/1~2023/4/8
感染者数とその感染者数比推移
図1は、青の濃淡色面グラフで示した感染者数経過を背景に、青水平線の都道府県人口数比、赤折れ線の感染者数比の経過を対応させたものです。赤折れ線の感染者数比は、オミクロン株波の終了間際で青水平線を下回り、第7波開始で一旦上回りますが、その後はほぼ人口数比ラインを下回り、post第7波ピーク後は帰省現象で一層の低下を示して現在(グラフ右端)に至ります。図の右post第7波ピーク後の更なる感染者数比ライン低下部分(紫色棒線)が帰省現象期間を示しています。
帰省現象が3ケ月に及んだのは想定外でした。私としては、オーバーヒートした中小都市圏感染が落ち着けば、赤折れ線の感染者数比は、ゆっくりと青水平線の人口数比に近づくものと予測していました。
ところが、グラフ右端に見る赤折れ線の感染者数比の上昇は、帰省現象からの回復にしてはあまりにも急激な上昇で異質な感じです。濃淡青面の感染者数グラフでは、淡青部分の中小都市圏の感染者数が大都市圏を覆い、その背後に隠れた濃淡部分の大都市圏感染者数の変化が掴めません。急激な1.2:1への復帰の可能性や新たな感染が始まった可能性もあり、図1右端の感染者数比が急上昇している部分を切り出して拡大し、図2としました。
図2:図1の右端部分を拡大したもの
赤折れ線の感染者数比が3月中旬から上昇し始めます。一方濃淡青グラフを見ますと大都市圏感染者数が中小都市圏感染者数に迫り、右端で逆転しているのを認めます。右側スケールの1.00は、感染者数比が人口数比と等しくなった時ですから、1ケ月でその感染者数比に到達する急増ぶりは、帰省現象にしては早過ぎる印象が否めません。2023/3/27更新の都安研センターの世界コロナ変異株情報によれば、オミクロン変異株XBB.1.5型が東京都で有病率1位の変異株になりました。
大都市圏(9)の感染者数推移を、東京都と他の8大都市圏を比較した図3を、帰省現象→第9波・都市規模別感染者数の推移に変更します。2022年暮れから2023/4/27までの都市規模別感染者数とその感染者数比(大都市圏/中小都市圏)の経過を示した新たな図3に変更します。論旨の変更はありません。
図3:都市規模別の感染者数と感染者数比の推移
感染者数(濃淡青)は低空飛行を続けていますが、感染者数比は感染者数の青の濃淡が逆転するにつれ上昇し始めます。これに変異株XBB.1.5型感染が加わり感染者数比は一挙に1.2:1を超えました。3月中旬から見られた感染者数比の上昇は、回復する帰省現象に相乗りしたXBB.1.5型変異株が、グラフ上に躍り出る前段階を表しています。
2023/4/4→2023/4/27
精神科 木暮龍雄
図1、3が、余りにも説明不足で不親切なグラフであったことを反省し、変更しました。図2もそれに伴って変更し、図3を新たに追加しました。論旨に変更はありませんので、ご容赦賜れば幸いです。note編集部方々にもご迷惑おかけしました。申し訳ないです。
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