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コロナ感染者全数把握の見直しは慎重に

 2022年4~6月のオミクロン株感染期を契機にして、第7波の主戦場は、2022/8/23日現在、大都市圏から中小都市圏へ移りつつあると思われます。
 前回載せた「大都市圏(9都道府県)と中小都市圏の(38府県)感染者数」を期間を変えて図1に示しました。前回と変わっているところは、右端の赤地の中小都市圏(38)が青地の大都市圏(9)と肩を並べるまでにスペースを著しく拡大していることです。このことは感染の主戦場が大都市圏から中小都市圏に移行しつつあることを推測させます。

      図1:オミクロン株→第7波・都市規模別の感染者数推移

            ①:データは全て7日間の加算平均処理をしてグラフ化したものです。
②:感染者数は青地+赤地=実線となります。

 2022/8/23に報告された全死亡者数343は、新型コロナ感染始まって以来の高い数値となりました。死亡者数はその後も連日高値を示し、社会的にも驚きと不安をもたらしています。しかしながら、図2を見ると、第7波の大都市圏の死亡者数はオミクロン株期より減少しているのです。一方、中小都市圏の死亡者数はオミクロン株期のそれより2倍近い増え方です。つまり、全死亡者数増は、中小都市圏の死亡者数が背景にあることを推測させます。 
     
      図2:オミクロン株→第7波・都市規模別の死亡者数推移

 図1、図2をまとめて要約しますと、第7波で数字上見られた顕著な全感染者数と全死亡者数の増大は、とりもなおさず中小都市圏での両者の著しい増加に起因していると思われ、感染の主戦場が大都市圏から中小都市圏に移行していることを示していると思われます。今後、この傾向が何時まで続くか分かりませんが、グラフ上からは8月過ぎまではなんとも結論つけがたい現状です。
 図3は、オミクロン株~第7波までの全国的な感染者数、死亡者数推移を示すものです。これだけですと大都市圏を中心とした従来のコロナ感染状況と変わりなく、図3からは中小都市が主戦場となった現状を窺い知ることはできません。図3を基にした対応のみでは、現実と離反した結果を招く恐れを覚えます。 

      図3:オミクロン株→第7波・都市規模別の死亡者数推移

左スケール感染者数、右スケール死亡者数

 7月末に開かれた全国知事会で、感染者全例把握が保健所職員の業務破綻をもたらしているとのことで、その見直しが提言されました。統計業務の一端を担わされて業務に支障があるとの主張は理解するところ多ですが、コロナ感染の主要な場面が中小都市圏に移行しつつある感染現況こそが医療や保健所業務上の多忙を生み出している根本とも思われます。オミクロン末期辺りから何故このような事態(中小都市圏の感染増大)に至ったのかは、詳細を検討中です。
 少なくとも統計作業に関連する分野では、不用意なミスが散見されることは確かですから、コンピュータ操作に手慣れた民間業者、学生等を積極的に臨時雇用する等の対応で凌いで頂ければと思わざるを得ません。今後しばらくは感染の主戦場が予測される中小都市圏ですが、感染者数把握がなされないままの今後の対応に不安を覚えます。
 見直しの提言には慎重に対応して頂ければと思います

                                                              2022/8/25 精神科 木暮龍雄


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