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定点観測下のコロナ感染 まとめ(結論)

定点観測の必要性

    定点観測開始~現在(2023/5/8~2025/1/19)までの、AK数式患者数と厚労省患者数の二通りのコロナ感染全経過データベースが揃いました。それぞれは、更に下位分類の定点患者数と平均患者数別の二通りのデータベースを伴いますので、計四通りのデータベースが揃ったことになります。それぞれは、異なった感染経緯を示しますから、何れが現状を適切に表しているか、当シリーズとしてはそろそろ結論を下す時期を迎えたと思っています。

 定点患者数が、文字通りの一定点数の平均患者数(=定点患者数)を表すならば、定点観測が感染傾向を手早く知る上で有効な指標であるのは間違いない、と当シリーズは思っています。それ故にこそ、定点観測なる感染評価手法が用いられているものと、当シリーズは推測します。定点患者数が、単に定点数と平均患者数を仲立ちするだけの説明に終わった当シリーズのまとめ(4)は、定点観測自体の評価が不十分だった可能性があり、敢えてまとめ(結論)として述べることになりました。

 四通りのデータベースを、ここに並べるわけには行きませんので、各データベースの右端にある(であろうと当シリーズは推測しています)加算平均欄の4通りの「平均患者数」、「定点患者数」を利用して表計算シートを作成しますと、表1となります。加算平均欄は、各データベースの現段階での総括的もしくは結論的意味を表していますので、表1定点観測の完成一歩手前の表計算シートになろうかと思っています。完成した表計算シートとは、AK数式患者数か厚労省患者数のいずれかが脱落した表Xとなる予定です。
 表Xは、コロナ感染で求める定点観測そのものを表すに違いないと、当シリーズは考えています。

      表1:定点観測のAK数式及び厚労省の基本数式

*2023/5/8~2025/1/19のAK数式(中央赤3列)と厚労省(右黒3列)の基本数式を示します。  *厚労省平均患者数の東京都、大阪府、兵庫県の平均患者数減が目立ちますが、増減は他道県でも認め、最下行の合計欄ではAK数式との平均患者数差は、約2000です。

 表1の各項目は、基本数式である 定点数×定点患者数=平均患者数 の順であり、いずれも式の計算結果を満たすものです。

      図1:基本数式内の各項目の相関関係(再掲)

*上段がAK数式、下段が厚労省の、基本数式内の各項目間の相関関係を表します。
*下段の厚労省基本数式は、定点患者数が関与すると相関関係が成り立たないことを示します。
*厚労省定点定点患者数は、都道府県人口数、オープンデータ平均患者数とも相関しません。

 図1は、まとめ(4)の図4再掲です。
 図1下段の基本数式各項が、互いに積算、除算の関係にあるにも関わらず相関関係を示さないのは、それらが互いに無関係でばらばらであることを示す故と推測されます。厚労省の定点患者数設定に問題があることを推測させました。まとめ(4)で、AK数式の定点患者数が、=平均患者数/定点数の分子を分母で除算した計算値であるのに対し、厚労省の定点患者数は、厚労省が自ら設定した一定点数の平均患者数を直接カウントする測定値であることとの違いが背景にあると推測されました。当シリーズとしては、AK数式の定点患者数と厚労省の定点患者数が等しいとする証明をしないまま、厚労省は一方的に等しいと思い込んでの結果の可能性を推測しています。等しければ、その先の話は全く異なっていたに違いないのですが、生憎と図1下段はそんな期待に応えるものではなかったことになります。

 もともと、不可解な患者数増減を示す都道府県が前提にある上に、データの繋ぎ役である定点患者数にそっぽ向かれてその役割を異にされると、厚労省の基本数式は、個々の独立した項目の混合物でしかなくなります。加えて定点数の定数化に難儀しているとあれば、厚労省の基本数式は一体どうなっているのかと思ってしまいます。
 一方、AK数式定点患者数は、=平均患者数/定点数という分子/分母による大雑把な計算値でありながら、個々のデータの繋ぎ役を果たし、図1上段に見る通り、結果的に各項目の相関関係が維持されることを示しています。

 繋ぎ役としての定点患者数の詳細を知るには、不可解な患者数増減の背景を除き、根拠不明な定点数枠を外し、自然な感染モデルで定点患者数が検討される必要があると思われます。まとめ(4)の表1、表2は、そんな定点患者数と平均患者数との関係を知る自然な感染モデルの役割を果たすものと、当シリーズは推測しています。
 厚労省の定点患者数も求め方の問題点は、表計算ではその実体が掴めないので、統計的な結果で評価する以外にないと思い、まとめ(4)のⅢ:AK数式データベースの統計処理・都市規模別患者数で示しましたが、そのままでは、定点観測自体の評価を下げかねない危惧を残しているので、今回のまとめ(結論)となったものです。
 
 4通りのデータベースの加算平均欄を基にして、大中小の都市規模(表1、2の左端列の赤青黒欄)別の患者数平均を求めてグラフ化しますと、図2、図3となります。図2が厚労省の、図3は表1、表2に基づくAK数式による患者数を示します。それぞれの上段が大中小都市規模別の定点観測開始以来の患者数推移を示し、下段が同規模の定点患者数と平均患者数を示します。
 図2、図3共、定点患者数と平均患者数は、スケール欄に示される数値に基づきます。

     図2:厚労省・都市規模別の定点患者数と平均患者数 

     図3:AK数式・都市規模別の定点患者数と平均患者数

 図2、図3をまとめて要約しますと以下になります。
 ①:図2、図3の青棒グラフの定点患者数と平均患者数の感染経過波形が等しいのは、波形を異にする厚労省とAk数式の場合でも、同様に認められること。
 ②:従って、青棒グラフだけでは、大中小の都市規模別患者数経過は知る由もないことになります。
 ③:定点患者数では、平均患者数で少なく算定される中小都市圏患者数が増加する傾向になるのは、厚労省もAK数式も同様に認めること。
 ④:②、③の定点患者巣増加傾向は、②の厚労省の場合は逆数化するほど強烈で特異的ですが、AK数式の定点患者数の場合は、平均患者数時の患者数順は維持されること
 ⑤:厚労省の毎週の患者数報告は、図2下段左側の定点患者数によるもの、となります。

 当シリーズの光学的知識は確かなものではありませんが、譬えれば、定点患者数はAK数式の場合は望遠レンズで、厚労省ではマクロレンズで見ている違いを感じます。定点数にはこの傾向が一般に認められますが、厚労省の場合は、この違いがその特異な定点患者数によって更に強調されている可能性が推測されます。図2下段左側の定点患者数が、大中小の都市規模別患者数によるものではなく、厚労省の定点患者数算定の特異性によるものであることが証明されなければなりません。

 東西日本の定点患者数と平均患者数で両者を比較しますと、図4となります。図2、図3の患者数推移の青棒グラフは念頭に収めて頂くとして省略しましたが、その下段患者数経過グラフを東西日本に変えて並べますと、図4になります。

   図4:厚労省とAK数式の東西日本の定点患者数と平均患者数

*上段左波形は厚労省に定点患者数実測値で、下段左波形はAK数式に基づく計算値によるものを表します。図2と図3下段波形の違いと共通していることに注目されます。

 図4を要約しますと
 ①:厚労省の上段グラフの定点患者数(左)では、東日本と西日本の患者数はほぼ等しいか、時に西日本に多い時も認めます。
 ②:AK数式の下段グラフの定点患者数は、西日本で定点患者数の増加を見ますが、東日本の平均患者数を上回ることはありません。①の定点患者数増は、図2下段左の中小都市圏定点患者数の特異な患者数増と背景は同じです。
 ③:図2下段左の厚労省定点患者数報告にならって、東西日本の定点患者数を報告しますと、患者数は東西日本でほぼ等しいこと(図4上段左)を報告することになります。まさか、そこまではしないと思いますが。

 図2下段左と図4左に示された定点患者数波形に共通した傾向は、都市規模別、東西日本患者数別だけでなく、省略しましたが行政地方別の患者数でも認められました。厚労省の定点患者数算定方法、つまり、一医療機関の定点患者数を、厚労省自身が決めた定点数に従って定点範囲内の患者数から実測するという算定方法に問題があったと、当シリーズは推測しています。定点患者数なるものは、大雑把でも単純明快な基本数式に従い、=平均患者数/定点数の計算値にすべきだったのではと当シリーズは推測します。

 厚労省は、「これは一医療機関の定点患者数です」と断りながら、定点患者数(図2下段左)に定点数を積算した平均患者数(図2下段右)を報告する気は無さそうです。
 結論は、一医療機関の定点患者数領域から脱することが出来ない、厚労省の現状となります。厚労省報告が、定点観測の恩恵に預かることは当分無かろうと思わざるを得ません。図2、3、4の右側の平均患者数は手が届きそうな近くにあるのですが。
 表Xは、表1の右3列を除いたものと、当シリーズは判断しています。

                   205/2/1 精神科木暮龍雄

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