ブルース名盤紹介3 Whose Muddy Shoes/Elmore James,John Brim
マディ、ウルフに続く、
モダンブルース第三の男、
今日はエルモア・ジェイムズについて
書きます。
昨日おとといと書いた記事の、
マディ、ウルフの2大巨頭。
この二人の風格は、
まさにボス。
漂うラスボス感は、
小林幸子以上です。
「モダンブルースのラスボスを二人挙げよ。」
そう言われたら、
恐らくほとんどのブルースファンは、
「マディとウルフ」
と答えるでしょう。
では、第三の男は誰になるのか。
バディガイやリトルウォルターは、
サイドメンとして
マディやウルフの録音に参加しているので、
ちょっと違う。
そこで、3人目に誰を挙げるか、
ここは人によって分かれるかもしれません。
私は、
エルモアジェイムズを挙げたいです。
自傷的とも言えるくらいの、
痛ましくさ。
ギリギリのガケっぷち感。
それは、
マディにもウルフにもない
エルモアジェイムズだけの魅力です。
1枚選ぶなら、
やはりチェスレーベルの、
”Whose Muddy Shoes”
をピックアップしたいと思います。
ちなみにこれ、
ジョンブリムというブルースマンとの
カップリングによるアルバムです。
余談ですが、冒頭に収録されている
ジョンブリムの
“Ice Cream Man”は
内田勘太郎さんがライブでカバーしていたり、
ヴァンヘイレンがカバーしたことでも有名。
しかししかし、
2曲目の”Whose Muddy Shoes”
が始まると、
「テミフーウー」
という第一声を聴いただけで、
ブルースマンとしての
「業の深さ」のようなものが、
滲み出てきます。
この「業の深さ」は、
マディにもウルフにもない、
エルモアの魅力。
マディもウルフも
図太い声を出して吠えましたが、
それを支える重心の低さというか、
体格をそなえている感じがします。
それに対しエルモアは、
腹の底からドリルが身体を貫いて
飛び出してくるかのような、
自己破壊的なシャウトをしてきます。
まさに命を削って音を出している。
そんな感じがするんですよね。
忌野清志郎さんや、
アルバム「ロックンロール」の頃の
ジョンレノンにも、
同じような気配を感じます。
1曲あげるとすれば
“Talk To Me Baby”
でしょうか。
「辛抱たまらん!(I can't hold out)」
を連呼しながら、
崖っぷちシャウトを繰り出し、
我慢汁さえにじませるエルモア。
凄まじいです。