ブルース名盤紹介6 THE COMPLETE RECORDINGS /ROBERT JOHNSON
ブルース名盤紹介、第6弾です。
今回はいよいよ
ロバートジョンソンについて
書きます。
残されたのは、
たった2枚の写真と、
29曲(41テイク)のみ。
凄まじいギターテクニックで
聴衆を魅了し続けたと同時に、
放浪と女に明け暮れる日々。
人妻を寝取った恨みから
毒を盛られ、
27歳という若さで
この世を去るという最期。
そんな生き方そのものが
伝説的なブルースマン、
それが、ロバート・ジョンソンです。
なんと
「十字路(クロスロード)
で悪魔に魂を売って、
ギターの技術を手に入れた。」
と言う伝説まで残されています。
そうした伝説に
信憑性を持たせてしまう程、
彼の奏でる音楽は深く、
また、不気味なまでの陰影と、
強さを持っていました。
彼の人生を、
幼少期からざっとまとめます。
スペンサー家で育った、
ロバート・ジョンソンは、
元々ロバート・スペンサーという名で、
継父の元で幼少期を過ごしていました。
初めて楽器を手にしたのは10代半ばの事。
それはジューズ・ハープという楽器と、
ハーモニカでした。
やがてロバートは、
本当の父ノア・ジョンソンの
存在を知ります。
それからは、
彼はスペンサーという姓ではなく
実父の姓から、
ロバート・ジョンソン、
と名乗るようになりました。
ロバートは、
10代後半でギターを始め、
ウィリー・ブラウンや、
デルタ・ブルースの巨人、
チャーリー・パットン、
サン・ハウス等から学び、
ギターの腕を磨きます。
その後、実の父に会う為、
ミシシッピ州ヘイズルハーストへ向かい、
そこで、アイク・ジナナンと言う
ブルースマンから、音楽を学びました。
その頃からロバートは、
自らの作品をノートに書きため、
近くの森で一人、創作に励みます。
やがて、夢に見た
自作の録音する機会を得ることに成功。
「テラプレイン・ブルース」を発売し、
同曲は彼のベストセラーに。
その後も何曲も録音を残しました。
しかし、事件が起こります。
あるクラブで、
サニーボーイ・ウィリアムソン2世と
共演した際、妻を寝取られて逆恨みした男が、
誰かに仕込ませてた毒入りの
ウィスキーを、ロバートに渡します。
サニーボーイが制止したものの、
ロバートはその毒をのんでしまい、
命を落とします。
享年27歳でした。
話がそれますが、
27歳で天逝したミュージシャンは
他にも
・ジミ・ヘンドリックス
・ジム・モリソン
・ジャニス・ジョプリン
・ブライアン・ジョーンズ
・カート・コバーン
等、天才がひしめいています。
さて、ここまで読んで、
生き方そのものが
これ程、物語性のあるミュージシャンは
他に中々いないのではないでしょうか。
そして何より、彼の遺した音楽が、
比類なき深さを持っている事。
録音史の最初期にのこされた
彼の作品群は、
古典ブルースのCDとしては、
現在も多く聴かれ続けています。
それでは
彼の全録音を収録した、
”The Complete Recordings”の
聴きどころをピックアップします。
まずは冒頭の
“Kind Hearted Woman”
ガラス細工のように繊細で、精巧で、
隅々まで神経を張り巡らせたような
緊張感のある演奏と歌。
次は、クリームの名演で有名な
クロスロードの原曲
“Cross Road Blues”
そして、「悪魔と契約した」
と言う伝説を信じたくなる程
おどろおどろしい
“Hellhound On My Trail”
他のブルースではおよそ聴かれない
センチメンタルな
“Love In Vain”
など、全トラックが必聴。
全てが、何度聴いても、
ため息が出るほど深いです。
CDのブックレットはとても充実していますので、
国内盤を購入して、
読み込んでいただくのがオススメです。