Peak2Peakのデジタル写真講座:第5回 写真にとって「絞り値」とは何か 後半
風景写真や山岳写真を撮影し作品として完成させていく時に必要な思考やテクニックを、毎回お伝えして行きます。今回のテーマは「絞り値」その後半です。
<日中の明るい戸外の明るさ>
写真の明るさを決めるのは、ISO感度、シャッタースピード、絞り値、この三つです。この三項目の関係を理解しなければ、いくら絞り値についてだけ言っても、先へ進むことができません。
前回、レンズの絞り値について、その値がどのような結果をもたらすかについてお話しましたが、被写体の明るさが一定の時、絞り値を変化させると、同じ明るさに写すために「ISO感度」「シャッタースピード」のいずれかまたは両方が変わってきます。これを説明する時、しばしば水道の蛇口を捻ってバケツに水を溜め喩えが使われます。
水道の蛇口の径(大きさ)=絞り値
バケツの大きさ=ISO感度
バケツに水をいっぱいに溜めるに要する時間=シャッタースピード
というわけです。
ここでバケツの大きさが一定(ISO感度が同じ)なら、水道の蛇口が大きい(絞りが開いている=絞り値が小さい)ければ、バケツいっぱいに水を貯める時間は短くてすみます(シャッタースピードが速い)。
逆に、道の蛇口が小さい(絞りが閉じている=絞り値が大きい)ければ、バケツいっぱいに水を貯める時間は長くかかります(シャッタースピードが遅い)。
またバケツが小さければ(ISO感度が高感度なら)、大きなバケツ(ISO感度が低感度)より短い時間でバケツを満たすことができます。しかし、バケツが小さければ、そこに溜まっている水の量は少ない(写真を作るために使うことができる光の量が少ない)ことになります。
被写体の明るさは、たとえば、晴れた日の屋外であれば、全世界共通でほぼ同じ明るさのはずです。なぜなら地球上の主たる光源は太陽だからです。という事は、写真の側から考えると、「晴れた日中の明るい戸外の明るさ」は、普遍的に「ISO感度」「絞り値」「シャッタースピード」のある組み合わせになるという事です。その組み合わせのひとつが、
ISO感度=100 絞り値=8 シャッタースピード=1/250
です。
(上:剱岳別山尾根平蔵の頭付近 ISO=100 F8 1/400 で撮影)
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