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あいうえお作文

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#ポエム

憧れ(あいうえお作文)

青い波間に漂う コバルトブルーのきらめき 画用紙に彩られた海は今でも 烈日を待ち焦がれている * 雨の日は部屋の中でひとりきり 孤独を思う存分楽しもう 外国の歌手が歌う レコードに耳を傾けながら * 朝顔の模様の浴衣を着て 今宵君と花火見物 硝子の風鈴リンと揺れて レトロにときめく夕暮れ * 茜色の空の向こうに こだまする君の声 がんばってみるよもう少し レールの先に明日を夢見て * 愛を失うことを恐れない こんな気持ち初めてです がりりとあなたが齧った 檸檬

戸惑い(あいうえお作文)

扉を開けると 眩しい光が飛び込んで来た どよめく喧騒に包まれれば 異国に迷い込んだ気がした * 時計の針がふいに 真夜中を知らせる 堂々巡りの物思いに いたたまれず朝が来る * 友達だと思っていた まさかのあなたからの告白 どっちつかずの距離のまま 今さら恋人になんてなれないよ * 遠くまで来てしまった 町並みも夕闇に沈み どんどん暗くなって行く 石畳の道に途方に暮れる * 登場人物が多過ぎて まったく犯人を特定できず どんでん返しの結末に 未だ真相は謎のまま

ため息(あいうえお作文)

黄昏の街を駆けて行く影法師 目眩にも似た既視感に いつまでも立ち竦んでいた きっと夜はまだ遠い * 退屈な雨の午後 迷宮のような街を眺めていた 陰鬱な気持ちを弄ぶように 霧雨がすべてを隠して行く * 戯れに言葉を紡いで めちゃくちゃに文章を綴る いい加減気付いたらどうだ 厳しい現実というものに * ためらいがちに弾く メンデルスゾーンの夜曲(夢) 祈るようにいつも思っていた 君の笑顔に夢で逢えたらと * 例えばこれが夢で 目覚めればすべてが元に戻っていたらと

喜び(あいうえお作文)

呼んでいるのは誰? ロマンスの予感に震えては 言葉にできない想いに 微妙に心は揺れ続けている * よーいどん! ロケットみたいに飛び出そう 幸運は思いがけずにやって来る ビリケンの髪をさあ素早くつかむんだ! * 夜の帳が降りて 蝋燭の灯りが揺れるとき 恋人たちの愛は燃え盛り 微熱を帯びた夜は更けて行く * 酔ったみたいと ロゼのグラスを傾けて 滑稽なほど笑い転げる ビーナスに乾杯 * 妖精のかけた不思議な魔法 ロマンチックな夕暮れに 胡蝶の群れが飛び立って行く

悲しみ(あいうえお作文)

乾いた大地に 夏の厳しい日差し しおれてしまった花に 水をひとしずく下さい * 空っぽになった部屋で なくした希望を探す 仕方がないと言いながら 耳障りなため息を吐く * 傾いた影を追いかけて 名もない街をさまよう 知らない誰かの影法師 見失った夕暮れ * 欠けて行く月の下で 鳴り響くオルゴール 沈んで行く水底 見えなくなった光 * 重ねた手をわざと放して 泣かせてしまったあの子 幸せにしてやりたかったと 惨めな言い訳をして * 貝殻を耳に押し当て 懐かし

思い出(あいうえお作文)

重い荷物を背負って 物憂い坂を上る 一番好きな歌を でたらめに歌いながら * 押入れの中には 持て余した夢の残骸 潔く捨ててしまえ できそこないのガラクタなんか * 幼い日の夢は 森の中に隠してしまおう いたずらに描いた デッサンとともに * 終わらない旅路の果て 物語は続いて行く いらなくなった愛の 出番は二度と訪れはしない * 恐れなくてもいい もう一度自分を信じて いつでも心は 出口を探している * 丘の上のあの家には もう二度と戻れない いつの日に