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猫になりたい すまして本を読む あなたの足もとでじゃれつきたい 猫になりたい そのページをたどる指先で やさしくのどを撫でてほしい 猫になりたい こんなに寒い冬の日は あなたと一日中くっついていたい 猫になりたい その静かな甘い声で 私の名前を呼んでほしい ねえこっちを向いて こんなにそばにいるのに あなたがとても遠いよ 猫になれば もっとあなたの近くにいられるかしら 猫になりたい ひとり本を読む あなたの邪魔をしても叱られない 猫になりたい きっとやさしく抱き
君は気ままだ そして自由だ 屋根から屋根へ渡り歩くとき 魚を盗んで逃げるとき 君の瞳に移るのは一体何だろう 夜 月を見ながら屋根の上 にゃごにゃごやってるときもある 縁側にひとりちょこんと座って 雲を眺めたときもある 夏目漱石もさぞうらやましかったことだろう 「吾輩は猫である」と言わんばかりに しっぽをぴんとはっておすましで 人間たちを尻目に通ってく なんとうらやましいことだろう 君は気ままだ そして自由だ 私のことなど知らん顔で 屋根で一声にゃーごと鳴いた なんとうら