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セミの声を追いかけて 見知らぬ森ん中 麦藁帽子のつば先は 南の方を指していた 虫かごん中はからっぽで 虫取り網を空高く どんどん奥へと進んで行った 四方八方セミの声 どっちへ進めばいいのやら 森は果てしなく深く 太陽はどこかへ行ってしまった おなかん中はからっぽで 重い足取り引きずって ついたところは広野原 セミはどこかへ消えちゃって 空にはチカチカお星さま 遠くに見えるは小さな明かり 広野原を横切って 心ん中もからっぽに 明かりの方へ進み行く 明かりは一体何だろう セ
青空と風と光と・・・ さうして夏はやつて来た 麗しき少年の日々よ 君の白いうなじを光らせ 駆けて行く あの鬱蒼とした森へと 君の涼やかな瞳が笑ふ時 ・・・それは光に似てゐた 君の白い素足が駆ける時 ・・・それは風に似てゐた そして 君の心はいつも青空だつた 青空と風と光と・・・ ああ 懐かしき友よ 君はまだ恋といふものを知らなかつた ただ風に戯れ 雲を追ひ 自然に耳傾けることが君のすべてだつた あの日少年のまま逝つてしまつた君は 未だ鬱蒼とした夏に眠つてゐる 君を哀しま