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a dream

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うつし世はゆめ よるの夢こそまこと。
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2023年8月の記事一覧

青空

片手をかざして遠くを見る いつだってこの街は光の渦 目覚めるたびに生まれ変わり すべてが新しくなって行く この両腕に抱えている 悲しい思い出はみんな捨てて 窓を開けて そして飛ばそう あの青く澄んだ高処へと せつない想いを飛ばせば いつかきっと届くはずさ 風が答えを運んでくれるから 今はその笑顔を見せて 青空のようなまぶしい笑顔を 涼しげな風が街を通る どこへ行こうとしているのだろう この窓辺にも風が吹いて やさしく頬を撫でて行った 胸の奥底にしまってある 苦しい出

光はあふれる 白亜の建物の上に 海鳥の白い翼に 青くうねる海原に 光はあふれる 光は波打つ どこまでも続く青い穂波に 涼やかに流れる川面に 青い空と風の中に 光は波打つ 光はうつろう アスファルトの影模様に 縁側で寝そべる猫の背に さやさやとそよぐ樹の葉に 光はうつろう

草原

夏の風が呼んでいる 遙かなる草原の向こうで 草原の緑のさざめきは どこへ導こうとしているのか 誘われるままに 草原をずんずん進んで行くと やがて目も覚めるような黄金郷 神殿に祈りを捧げる人たち 人々は互いに ひとつの道を指さしていた 彼らの待ち望んだ 救世主の来る道を 草原の向こうは 私の知らない世界 行ってはいけないところ 二度と戻らない伝説 夏の風は急ぎ足で 麦わら帽子を奪い去る もうすぐ夏が終わるという 知らせなのだろうか