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蒼穹はさらに深く 眩い雲はほのかに流れ行く 若木の緑をそよがす風は 初夏の薫りを匂わせながら 見晴るかす彼方へ消えて行く 雲のまにまにのぞく天色に いつか見た白い炎が燃える あれは神々の聖なる篝火 地上を照らすための白色光 この長閑な午後の日の 燦々と輝く光さながら ーー夢を見た 神々の栄光の日々を・・・
露草色の空を のどかな雲が流れて行く いつか見た雲が白い蝶をかたどって 私の頭の上を 風に吹かれて飛んで行く どこへ行くのと手を振ると 今度は白い仔馬となって 東の空へ駆けて行った 新緑の頃の風はいじわるで ひららら 歌いながら通り過ぎて行く ひららら ひららら 翠色の声が響く ひららら ひららら 海へ行こうと私を誘う いつしかそれは 郭公の歌声に変わって 森の奥へと静かに消えて行く かすかに光る宝石は蒼いビードロ 近づくごとに透き通る波の音がする あれは秘め事を隠す