東京事変が好きすぎる〈椎名林檎編〉
こんにちは。月一投稿を一応目指しています。めだまやきと申します。今回はシリーズ5回目、ついに〈椎名林檎編〉をお送りします。
普段のライブの並び順で向かって左側から、と〈伊澤一葉編〉から始めた個人特集ももう折り返しを過ぎました。5人全員終わったあとは〈共作編〉や〈名ソロフレーズ編〉なども組みたいと思っているので末永くよろしくお願いします。
さて、東京事変のボーカル、椎名林檎は…お馴染みですね。
ボーカル(vox)とありますが、「仏だけ徒歩」などギターを弾く曲も多くあります。また、ドラムやキーボードもできるという、、。
椎名林檎さまはあまりにも有名なので、改めてこうやって書くのはかなり緊張します。結局OTKの推し一人語りなのは変わらないんですけどね、、、
では本題に移ります!!今回も椎名林檎作曲の東京事変の曲から厳選5曲について熱く語ります!いやー、それにしても今回は本当に難しかった。選曲が。いやだって無理ですよ、30曲以上の名曲揃いの中からたった5曲とか。無理無理。本当に美しい歌詞の曲とかももっともっとあるんですけど、「音楽的魅力」という観点で選んだがために泣く泣く別回に回した曲もあります、たくさん。でもいつか絶対取り上げます!!なるべく近いうちに!!
ということで、今回も何卒よろしくお願い致します。
①御祭騒ぎ
ええ、初っ端から飛ばしていきますよ。1stアルバム『教育』10曲目の曲で、解散後の椎名林檎のソロ公演(百鬼夜行)でも披露されています。冒頭、シンセサイザーのような電子音で示される主題はその後ピアノのアルペジオに引き継がれ、ドラム(スネアのカン!がたまらない)とギターが入り、印象的なベースのリフも入り、そして約40秒の長いイントロのあとにやっとボーカルが入ります。しかもやっと入ったボーカルも声が揺らぐような、靄がかかっているような加工がされていて、直接ドカンとは響いてこない。そうしてジリジリとこちらの期待値を上げて上げて、サビの「抜け出そう行かなきゃ」で突き抜けてきます。アウフタクトもなく、拍頭でいきなり叩き起こされます。ピアノのラテン調のリフも、居ても立っても居られない、という感じで、御祭に際して気持ちがはやっているようです。でもやっぱり、この曲の雰囲気を支配しているのはリズム隊ですね。「お祭だ!」と落ち着かない 疾走感のあるベースのリフや、ハイハットとスネアがとびきり忙しいドラムがもう、まじでかっこいい(語彙力)。
ラテンもジャズもロックも全部ひっくるめてポップスにまとまっている一曲。どこかの何かで読んだ、「林檎飴を片手に御祭騒ぎの中を闊歩する」という解説が本当にしっくりきます。オリジナル版はもちろんですが、ベストアルバム『総合』に収録のバージョンは各パートがより鮮明に聴こえるのでおすすめです。
総合版はこちら。↓
②ブラックアウト
こちらは2枚目のアルバム、『大人』から。メンバーが替わり、アルバム制作も椎名林檎主導から伊澤一葉(key.)もアレンジに深く関わるようになったアルバムです。椎名林檎作詞作曲のこの曲も、その例に漏れず、前作『教育』や椎名林檎ソロとは一味違う緻密さとポップさが表れています。
少しスネアが高めにチューニングされている(気がする)ドラムから曲は始まります。3・4裏で入るキックが緩慢になりがちな白玉の音符を引き締めます。Aメロ、「山手線最『終で』」で声の深みが一気に増す感じ、これぞ椎名林檎!と思わず笑みがこぼれます。同一フレーズ内でどうしてあんなに声を自然に変えられるのか、その謎を誰かアマゾンの奥地まで探索に行ってください。絶対に答えは見つからないので帰って来なかったら弔って差し上げます。そしてAメロ中に入るギターのフレーズですが、浮雲さんあなたねえ、普通に弾きますけどこれめちゃくちゃ難しくないですか?ギター素人でもわかりますよこんなん。こんな音がどこに飛ぶか分からないフレーズよくさらっと弾いて普通に聴かせられますね?
(咳払い)Aメロまでで書きすぎました。反省します。
そしてBメロ。ボーカルの音域が少し高くなったのに合わせて、声色もかなり変わります。響きが高め寄りになり、また息をより多く含んだ声ですかね。そしてBメロ後半は、まさかの(?)ボーカルとベースのオクターブのユニゾン!ここはもう解説不要なほどかっこいい!!!好き!!!れ!!
そしてサビです。同じくOTKの人達とカラオケに行き、誰かがこの曲を歌い、私がサビの「もっと酔っていたいの」のハモリをするのが夢です(具体的)。また、東京事変のライブは手旗を振るのが定番ですが、この曲ばかりはハンドクラップをしたい。絶対気持ち良い。そしてやはりここもベースが大変なことになっています。こんなに動くベース、そうはいませんよ??
…え、私こんなに書いたんですか?OTKの趣味語りってやばいですね…そろそろ読者さんに呆れられてそうなのでこの辺にします。2番以降もAメロのキーボードの装飾音符、浮雲のギターソロ、強さの中にか弱さが垣間見えるボーカル、アウトロまで全く落ち着く気のないベース、お得意のクラヴィネット…と、最後まで聞き逃せないポイントが目白押しの曲です。『ブラックアウト』は一般の知名度がそこまで高いわけでもなく、ベストアルバムにも入っていないのですが(!)、私は東京事変の魅力がこれでもかと詰まった一曲だと思います。また椎名林檎印と言いますか、旋律や歌詞に「女の子らしさ」や「日本らしさ」が散りばめられています。この後のアルバム『娯楽』では全て男性メンバーが作曲した曲になるのですが、この曲を『娯楽』の曲と比べると面白いですよ。作曲者の個性をより強く感じられると思います。
…すみません。流石に黙ります。
③勝ち戦
4枚目のアルバム『スポーツ』より。アルバム発売から10年経った2020年にはWOWOWテニスのイメージソングに採用されました。この曲はアルバムの4曲目で、先の読めない展開が特徴の浮雲作曲『シーズンサヨナラ』と、前回の記事で書いた『FOUL』に挟まれています。また、前作『娯楽』の『私生活』と同じ位置にあります。ここからは推測ですが、『私生活』然り、この『勝ち戦』はアグレッシブで目まぐるしい展開の曲が並ぶアルバムの中で箸休め的な役割を持つ曲だと思っています(他のアルバムを調べても、4曲目はバラードや比較的落ち着いた曲が多いようです)。
冒頭、歪ませたスライドギターの「ギュイーーーン」。はいもうかっこいい。勝ち戦どころか優勝。大優勝。歪ませないクリーンな音を好む浮雲もこんなギター弾くんだ…と勝手に感動したのも束の間、やはり弾き方は浮雲感満載。
イントロでこちらはもう十分あったまりました。さあAメロ。『ブラックアウト』はボーカルとベースでしたが、今回はギターとベースのユニゾン!!かっこいい。ドラムも、刄田綴色の代名詞とも言える(?)ハイハットどころか金物がほとんど出てこないのもワクワクします。どうですか、この「ほんとはテンション高いけどまだ温存してる感」!
Aメロが終わるとすぐにサビです。浮雲のオクターブ下ハモリが重厚感と「余裕」を醸し出しています。伴奏も「4→1」へ向かう強い動きが余白のある歌メロに推進力を与えています。
途中、「welcome to my fever today」のあたりで音を左右に振るのも遊び心があって面白いですね。そういう細かいところも好きです。
タイトルは「勝ち戦」とバリバリ日本語ですが、全編英語詞です。歌詞は英語も公式の日本語訳もとってもイケメンです。英語アレルギーでも日本語訳を読めばきっと惚れる…はず。
この曲は全体的に楽譜できっちり決められている部分が少なく、余白が多く残されている気がします。その余白に各メンバーの個性が入ることで、東京事変にしかできない唯一無二の音楽になっている、という印象です。
MVも素敵!なんだか今回の記事はMVの話も多くなりそうな予感です。メンバーがポーズをとったりストレッチをしたりするマネキンチャレンジ風のMVです。この頃の椎名林檎の髪型に憧れて私はショートにしようと思ったとか。
④今夜はから騒ぎ
解散前最後に発表されたミニアルバム『color bars』より。このアルバムは以前の記事でも多く触れていますね。作曲者五者五様の個性が十分に発揮されたアルバムです。とっ散らかってしまいそうなアルバムの方向性を纏め上げているのが、この『今夜はから騒ぎ』。東京事変としても、また椎名林檎としても何度もテーマにしてきた「東京」を歌った曲です。こんな曲調で…といったいった話をしたいところですが、似ている音楽が見当たらず…途中のピアノソロはジャズっぽいですが…巡り巡って結局ポップなんでしょうね。そこが非常に東京事変らしいと思います。
まずはイントロ、問題(?)の「ちゅーるちゅーるちゅーるちゅ」から始まります。浮雲、伊澤一葉のオクターブコーラスです。発売されてからもう10年になるんですけど、イナバさん、ちゃおちゅーるのCMソングはいつになったらこれになるんですか?打ってつけじゃないですか。え、声が色っぽすぎてペットがびっくりしちゃう?そうですか。
イントロが終わると、テンポよりも少し後ろに乗るような、気怠げなボーカルが入ります。鼻声のような、有声音を強調するような歌い方が色気を倍増させます。もう、えっちだなあ林檎さん。
Bメロは浮雲とのデュエットになります。2人の歌の旋律は上行形と下行形、八分音符と四分音符、とお手本のようにきれいに対比された音の並びなんです。なのにすぐに椎名林檎とわかる…やっぱり不思議です。音楽の勉強をしたらわかるんでしょうか…。
サビはよく聴くと不思議なコード進行をしていますね。バッキングがシンプルな分、なかなか着地点の見えない進行が妖しさが引き立ちます。東京事変お得意の「暗躍モノ」ですね。大好物です。
この曲は、『color bars』の他の曲と聴いたからか、どこか安心できる曲です。椎名林檎のバックバンドと言われた初期、メンバー交替を経て喧嘩ばかりだった第二期の初め、それから椎名林檎以外でアルバムを作ったり、ツアーで全国を回って満身創痍のまま次のアルバム制作に取り掛かったり、たくさんの曲を共作したりして、こんなに立派になって、、、と謎の目線からうるっときてしまう(嘘)ような解散前最後の一曲になっています。
言い忘れました。MVもとてもいいです。それぞれが「最も似合うスタイリング」をテーマに、チャイナドレス、チャイナ服、袈裟、軍服、スーツに身を包んだ5人が契約書にサインして人を殺してお金が降ってきて踊って演奏します。これだけだと何が何だか分からないのですが、観たとて何が何だか分からないので安心してご覧ください。
⑤一服
最新アルバム『音楽』の最終曲。エンドロールの役割を担う曲で、「玄人向け」というアルバムの「最後に、それに付き合って下さってどうも有難うっていう思いを込めた」一曲だそうです。
椎名林檎の『丸ノ内サディスティック』で使われたことで有名な「Just the two of us進行」のトラックに乗って、椎名林檎、浮雲、伊澤一葉の3人が入れ替わり立ち替わり、時には重なりながら歌います。どんな曲も分かりやすくお洒落になってしまうため、禁じ手とする人もいる「just the two of us進行」、別名「ジゴロ進行」ですが、椎名林檎はこれを『長く短い祭』や『能動的三分間』などで意図的に使ってきました。この曲の意図は…否、深く考えたらキリがないのでやめておきましょう。
先述しましたがこの曲はトリプルボーカルのため、三者三様の声を贅沢に楽しめます。各ボーカルの使い方は「音域で分けている」そうなので当然といえば当然ですが、三人のスイートスポットと合致したフレーズが聴いていてとても心地良いです。それに歌詞も、『一服』のタイトル通りリスナーを癒してくれるようでニヤニヤしちゃいます(?)。冒頭、浮雲の「勤勉なあなた愛おしいね」だけでご飯5杯くらいいけますし、『某都民』以来とも名高い伊澤一葉のセクシーな低音ボイスもたっぷり楽しめます。終盤の、普段は落ち着かずふらふらゆらゆらしている浮雲の「あ"ぁーーーー」は聞き逃し厳禁です。
常々思っていたのですが、男性陣はプレイだけでなく声もそれぞれ魅力的ですね。浮雲はその佇まいのようにどこか掴み所のない声ですが、倍音が多いのかコーラスとの親和性が高い。伊澤一葉は低い響きが美しく、高音域も喉を絞らない発声で伸びやかに響く。師匠は、公式にボーカルとして入っている曲は発表されていませんが(『生きる』のコーラスくらい?)、アイスクリームのうたを見る限り、かわいい。刄田綴色は、…ああああ、次回に取っておきましょう。
あっトラックの話をしていない!トラックというか伴奏ですかね。この曲には随所にキメのフレーズがあるのですが、そこがいちいちかっこいいんですよねえ。その最たるものが「いいじゃんやっぱ」の「っ」のところで一瞬無音になるところ。初めて聴いた時、そこが好きすぎて何度も何度もリピートしていた初夏の思い出です。
『音楽』ティザー映像のSISのダンスも印象的ですね!ああいう、音に心地良くはまるダンスは見ていてとても楽しいし、曲を聴いているとその動きも一緒に脳内再生されるというか、、あの感じ、、伝われ、、、とにかくダンスっていいですよね(雑まとめ)
えー、以上となります。ていうか書きすぎじゃないですか?今回???好きすぎて?語りすぎちゃった感じ?ですね?あっそうだ、今回ギリギリまで迷った結果十分有名な曲かと思い泣く泣くカットした『女の子は誰でも』という曲があるのですが、もしかしたら今後の記事でも扱う機会がないかもしれないのでこの場で触れておきます。聴いて。男女関係なく。魔法にかけられるから。
記事を書いてみて感じたのですが、椎名林檎作詞作曲のものは「これぞ東京事変!」というような、東京事変としての魅力を最大限に引き出せる曲が多いように感じます。危険なオトナの香りにドキドキする「暗躍モノ」然り、余白のある曲作り然り、ボーカルの使い方然り。椎名林檎は敏腕プロデューサーでもあるのかもしれないですね。
では、なんだかキレイな総括ができたところで。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
※記事内でメンバー名は敬称略とさせていただいたことをご了承ください。