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【スキマ小説】血液型プログラム~政府の陰謀~ショートショート
「血液型で性格が決まるなんてありえないよ」
高校生の剛志はため息交じりに言った。
隣に座る親友の颯太がニヤリと笑う。「でも実際、B型はマイペース、A型は几帳面、O型はおおらかで、AB型は天才肌って言われるだろ?」
「それはただの偶然だよ」
剛志は小さな頃からこの手の話が嫌いだった。血液型の話になるたびに「A型だからきれい好きだね!」「O型なのにリーダー気質じゃないの?」と決めつけられる。それが馬鹿らしくて仕方なかった。
「でもさ、不思議だと思わないか?」
颯太はスマホを取り出しある記事を見せた。
●血液型プログラム:我が国独自の性格形成システム
「……なんだよこれ?」
「1970年代、政府がこっそりやってた研究らしい。」
記事をスクロールするとこう書かれていた。
●各血液型に対する固定観念を徹底的に刷り込むことで、自然とその性格に育つ。例えば「お前はA型だから几帳面だね」と言われ続けた子は、本当に几帳面になる。
「つまり、性格は生まれつきじゃなくて『刷り込み』で作られるってこと?」
「そう。実際にこの国では、このプログラムが教育やメディアを通じて定着しちゃったらしい」
剛志は腕を組んだ。「……ってことは、もし俺がO型として育てられてたら、もっとおおらかになってたかもしれないってこと?」
「その可能性は高いな」
「じゃあ、もし自分の血液型を知らずに育ったら?」
颯太は少し考え「そういうケースの実験もあるぞ」と画面を操作した。
そこにはある興味深い実験の記録があった。
●被験者に血液型を知らせずに育てた結果、統計的に血液型別の性格傾向が現れなかった。
「やっぱりな……」剛志は苦笑した。「性格は血液じゃなくて環境で決まるんだ」
颯太がスマホを閉じふと呟く。
「でもさ、こうやって『A型だから几帳面』って思い込んで生きてきた人が、ある日『実はO型でした』って言われたらどうなるんだろうな!?」
──剛志は少し考えこみ、真剣な顔で言った。
「颯太、ブラハラには気をつけろよ!!」