ウエブサイトが似ていたら、著作権侵害?
Q: ウエブサイトの構成が似ていたら著作権侵害でしょうか?
A: 一般的には著作権侵害ではありません。
ウエブサイトに限らず、本の表紙なども「ぱっと見が似ている」という程度では、著作権侵害とは原則、認められません。
時計修理業のウエブサイトが似ている、として著作権侵害が争われた事件がありました。
原告も被告もインターネットを通じた時計修理サービスです。
両サイトの共通点は、
①トップ画像
②困っている例を挙げている
③最下部に、無料見積もりを希望するメール送信用フォームに移動するボタンがある
④業務内容5つ、6つ
⑤取り扱いブランド
⑥概算費用
⑦顧客の感想
⑧よくある質問Q&A
⑨修理依頼の流れ
➉無料見積もりを希望する場合のメール送信用フォーム(末尾)
いわゆる業者さんのウエブサイトとして、よく見る構成です。
裁判所では、
・平易簡潔な表現で、
・項目ごとに見出しを付け、
・サービス内容
・他社との違い、アピールポイント
などを、原告サイトのような構成、順序、表現で記載することは、広く一般的に行われている、
無料見積もり希望メールのフォームに移動するボタンを設け、その後を読まなくても顧客が誘導される方法も一般的に行われている、と判断され、結局は、原告サイトの構成の著作権侵害ではないとされました。
「メール送信フォームに移動するボタンを設ける」という点は、表現ではなく、アイディアです。
著作権法は表現を保護するものであり、アイディアを保護するありません。
このあたりの境目は難しいですが、例えば、移動ボタンを創作性あるアイコンでつくっており、これが模倣されたのであれば、著作権侵害です。
著作権法では、「編集著作物」を保護しています。
編集物で、素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する(著12条)。
事典、新聞、雑誌、電話帳などは編集著作物として保護されるので、記事や事項の配置が同じであれば編集著作物の著作権侵害になります。
しかし、ウエブサイトの構成は、特に同じ業種であれば同じようになってしまうのは致し方なく、しかも、1つ1つの素材のタイトルも似通ったものにならざるを得ません。個々の項目やタイトルが独創的である新聞、雑誌とは同一視できません。
「FAQ」「お問い合わせフォーム」「会社概要」などはどのウエブサイトであっても記載する必要があるからです。
しかし、規約文言については、複製(つまり著作権侵害)と認められました(平成25年(ワ)第28434号、東京地裁)。
この点は後日お話しします。