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割引券に美術品を掲載するのは?

美術展の展示作品を著作者(画家)の許諾なく画集として出版することは、もちろん著作権侵害です。

以前に紹介したこの事件で、割引引き換え券やチケットへの絵画の掲載も著作権侵害とされました。

掲載したのは、美術館と共同で美術展を開催した被告です。

「美術展の関係者なのだからよいのでは?」
「割引引換券にも展示作品を掲載できないなんて!」

と思われるでしょうが、無断掲載には変わりないです。

引用では?

割引引換券に展示された絵を掲載することは、引用とはいえないでしょうか?

引用ではないと判断されました(平成6(ワ)18591、東京地裁)。

引用というためには、引用する側が「主」、引用される側が「従」であることが必要です。

しかし、入場券と割引引換券には、コレクションの名称、画家名、展覧会開催の事実が記載されているに過ぎず、意見を述べた部分がなく、つまり創作性がなかったので、引用とは認められませんでした。

引用というためには、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」と定められており(著32条)、入場券への美術

品の掲載はこれに該当しないとされました。


美術館が展示した作品を掲載するのは、

「解説若しくは紹介をすることを目的とする」
小冊子発行や上映などに限られています。

つまり、美術品の作品の掲載はあくまでも「観覧者に解説若しくは紹介をすることを目的とする」目的に限定されており、慎重な保護がされています。

入場券や割引引換券への美術品掲載も著作者の許諾が必要であるということです。

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