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すしざんまいの事件とは?

「すしざんまい」を展開する(株)喜代村が、マレーシアで「Sushi Zanmai」という店名を使用するダイショージャパンに対し、使用差止め請求をした、しかしこれが今回、裁判所で認められなかったという報道がされています。


一体どういう事件でしょう?

日本の「すしざんまい」(喜代村)が、マレーシアでの店名の使用差止めをしたように誤解されていますが、これは全くそうではありません。

まず、喜代村は、「すしざんまい」の登録商標を複数、有しています(以下の登録商標ほか多数)


商標登録5003675号


ところが、ダイショーグループのひとつ(「スーパースシ」という会社)がマレーシアで「Sushi Zanmai」という名称で和食レストランを展開しています。

喜代村は、このマレーシアの「Sushi Zanmai」の使用差止をしたのではありません。

日本の商標権は日本国内しか及びません。

ですから、日本の商標権に基づいて、マレーシアで商標権を行使できません。

今回、この事件で差止め請求をしたのは、ダイショーが、ウエブページに、日本語で日本の取引者、消費者向けにある表示をしたことです。

ダイショーは、マレーシアの寿司店に関して、つぎのような「Sushi Zanmai」の表示とともに、

最高裁ウエブサイトより

「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回 転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています」との説明文を記載しました。

これは、商標の役務(ここでは、飲食物の提供)を広告する、という形での商標の使用に該当する、と喜代村は主張したのです。

一審の東京地裁ではこの主張が認められ、ダイショーのウエブページでのこの表示の使用禁止と、約600万円の損害賠償が命じられました。

しかし、二審の知財高裁では、その判断が覆ったのです(つまり、ウエブページに「Sushi Zanmai」の表示と共に、「手頃な価格で~」と説明することは、商標の使用ではない、と判断されたのだと予想します(判決文が公開されていないので、予想するしかありません)。

つまり、喜代村が逆転敗訴したことになります。

それにしても、「Sushi Zanmai」のようにローマ字にしただけの店名では、たとえマレーシアのように遠く離れていても、日本の商標権を及ぼしたくなりますね。


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