「踊ってみた」をアップロードするのは?
「踊ってみた」動画をYouTubeにアップロードするのは著作権法上、問題ないでしょうか?
もちろん、自作の曲を自分で演奏し、自分で振り付けしたのであれば問題なし。
しかし、ミュージシャンの楽曲に合わせて踊るとき、3つの点が問題になります。
①楽曲の作詞・作曲者の著作権
→これは、JASRACが管理している楽曲であれば、YouTubeはJASRACと包括的に利用許諾契約を締結しているので、大丈夫です。
YouTubeのほか、ニコニコ動画、TikTokなど多くの動画投稿サービスはJASRACと包括契約しています。以下でご確認下さい。
YouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用 JASRACYouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用について紹介します。 日本音楽著作権協会 JASRAC
②踊るための演奏曲は市販のCDなどを使う場合
レコード会社など音源製作者からの許諾が必要です。これは著作隣接権の許諾です。
レコード会社等の窓口は日本レコード協会の以下をサイトをご覧ください。
③振り付けの著作権
著作権法には「舞踊」は著作物として挙がっています(著10条1項)。
しかし、創作性のない舞踊は著作物としては認められません。
例えば、「Shall we ダンス?」事件では、社交ダンスの振り付けは、著作物とは裁判所では認められませんでした。
この事件は、映画「Shall we ダンス?」のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けを創作した原告が、角川書店(被告)が、この映画のビデオグラムを販売・貸与、テレビ放映するなどの二次利用によって、原告の有するダンスの振り付けに関する著作権(複製権,上映権,公衆送信権及び頒布権)を侵害したと主張して、損害賠償を請求したものです。
原告は二次利用の許諾までは求められていない、ということです。
例えば、この映画の中のある振り付けは、
「クイックステップのありふれた流れとジルバのありふれた流れを組み合わせたにすぎない振り付け」
「クイックステップとジルバを組み合わせること自体もありふれている」
↡
「振り付けを全体としてみても、社交ダンスの振り付けとしての独創性が認められるほどの顕著な特徴があるとはいえない」
つまり著作物とはいえない
と判断されました(平成20(ワ)9300、東京地裁)。
他方で、民謡舞踊が芸術性が高いとして、著作物と認められた例があります(平成11(ネ)358、福岡地裁)。
フィギュアスケート、フラダンス、バレエ、パントマイムなどの独創的な振り付けは著作物です。
つまり、振り付けに著作権があるかどうかは裁判所の判断も分かれるところです。
振付師の許諾を得るといっても難しいので、自作の振り付けをすることをお勧めします。