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映画のテレビ放映にCMを入れるのは?
映画をビデオ化するときに、CMが途中で入って雰囲気が変わっていることはないでしょうか?
もし、監督に無断でCMを入れたら、著作権侵害でしょうか?
これが争われた事件がありました。
ある映画をテレビ放映用にビデオ化するに際し、監督の同意を得ずに、CMを6カ所入れました。これにより、
・印象や雰囲気が変わる
・音楽が中断された
ということで、同一性保持権の侵害になるかが争われました。
裁判所は、「やむを得ない改変」として、同一性保持権の侵害とは認めませんでした。
確かに、CMを入れることを監督が承諾していたという明確な証拠はありませんが、ビデオ化という二次利用については承諾して
たから、当然、CMを入れることについても承諾していたと認定されました。
・監督は、この映画のビデオ化、テレビ放映などの二次的利用を広く承諾していた
その中には、当然、民間放送でのテレビ放映も含まれていた
・テレビ放映の際の6箇所のテレビ・コマーシャルの挿入部分の指定も、慎重な配慮に基づいて行われた
・これらCMの挿入箇所の指定は、監督の了解の範囲内にあるといえる
↡
「やむを得ない改変」に該当すると判断されました(平成7(ネ)3529、東京高裁)。
つまり、監督に承諾を得ずにCMを入れたが、著作権侵害ではないということです。
確かにCMが入ることで、「折角いい所だったのに」と思ったり、「早く次が知りたい」「CMが入ってがっかり」ということがあります。
CM前の話を忘れたり、臨場感がなくなったり、集中も途切れます。
しかし監督がテレビ放映に了解してたということは、当然、CMが入ることは予測できます。テレビ放映=CM挿入です。
むしろ監督がCMの入る箇所を聞いておくべきだったのかも知れません。