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交錯する場所

目が覚めるとカーテンの奥のかなり高いところから日が差してきた。

一体どのくらい寝たんだろう。

つけたままのコンタクトは乾いて目が痛い。

たった一人で目が覚める。

変わり映えのない、当たり障りない、日常。

嫌なことは嫌。好きなことは好き。我儘に生きてきた結果のような毎日。

嫌なことは嫌なまま、今日もそのまま残ってる。好きなものは好き、今日もまた愛情を注ごうとする。

ただ、空回りするだけなのに、ひたすらに手を伸ばした。

今日の月はなんだか手が届きそうだった。

もちろん届きそうだから、手を伸ばした。
掴めそうだから、手を伸ばす。
ぐーっと伸ばしてみた。やっぱり届かない。

そりゃそうだ。

昼間に見える月は、遥か遠くにあるくせに、近くにいるように見えてしまう。

今までのものを、どこかに置いてきてしまったくらい清々しくて眩しい朝。
時間は12時半を回ったところだが、私が起きたところなんだ、だから朝。

朝起きたら、景色がまるっきり違うんだ。

そこにあった飲み残しの缶と、コンビニ飯の残骸。脱ぎ散らかされた服たちと、相棒を失った靴下が転がってた汚い部屋はもうない。

今日からここは、新しいカーペットになった。

今までのものを一掃して、そしてまた新しい何かに期待して、終わりと始まりが交錯する場所に生きている気がした。

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新しいカーペットの上で、ひとりぐーっと伸びをする。

このくらい伸びをすれば、月に手は届くんだろうか。


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石崎桃花
放浪癖もち飽き性単位諦めがち注意散漫の限界大学生です