自祝生活徒然*一万粒の種をまく@#stayathome
いつか、目の前に田んぼのある家に住みたいなあ。
そんな願いが思いの外、早くやってきた。少しばかり想像していたのとは違う風景だけど・・・。
東京の郊外の住宅地にある我が家。2LDKのテラスハウスの駐車場に、この春、「手作り田んぼ」が出現!コンクリートの上に、底上げして木材でできたプールにシートを引いて、土と水を入れたら、なかなか立派な風情の田んぼに。四隅に切り出してきた竹を立て、結界もしっかり作ると、なんだかとても静謐な空間が生まれた。その中に20枚の育苗パレットを並べた。ほぼ一万粒の種がずらりと並ぶ姿は、美しく、また力強く。パンデミックのピークの時期だっただけに、よりその生命力がこちらに、その存在感を訴える。
最初に種が水に流れてしまったり、根っこが盛り上がって飛び出してしまったり、思いがけない強風にせっかく出てきた双葉が折れてしまったりと、冷や冷やしながらお世話して2週間あまり。結界のお陰様か、鳥たちも(多分)近寄らず、ここまできてる。今、ようやく背丈が5cmほどに育ち、青々と風に揺れている。ちょっと、不揃いだけど。
県をまたいでお米づくりをしている我が家(田んぼは千葉の館山にあり)。これまで苗床はどうしても作ることができなかったので栃木の師匠の田んぼで作ってもらっていた。種まきをして、あとはお預けし、師匠が伝える「一本植え」に最適な「五葉の苗」になるまで育てていただいていた。そして、その立派な苗を、田植えの前に栃木→館山に運び、田植えをしていた。
いつか、自分たちで苗を育ててみたいねえと話していたのがこうして思わぬ形で実現。自祝生活で移動できないからこその妙案が降りてきて、わたしたちなりの楽しいチャレンジ。農は全てのプロセスが、作り手のクリエイティビティと自然とのコラボレーションを発揮する場。いつでも新鮮な体験が待っている。
朝起きて、我らがササニシキ君達(自家採種4代目!)の成長を見られるのは、やっぱり目の前にあるからこその幸せ。田んぼは「足音」を聞かせるのが大事と土地の人に言われたことの意味はこういうこと。作物は子供を育てるが如く、見つめているよと伝えてあげることで応えてくれるもの。まだまだ、上手に育ててあげられないけれども、こうして与えられた「自祝期間」だからこそ、こうして手間をかけられるこの尊い時間。本当にありがたいなあと腹の底から湧いてくる。
ここから田植えまで、約20日。5枚の葉っぱが出るまでスクスクと育ってくれますように。田んぼにスッとたつ、君たちの姿を描いているよ。
【追記】