「『この子は言葉を覚えるのが遅いので…』と母親が子供の通訳を買って出る。すると子供は、自分で話す必要がなくなり、本当に言葉が遅くなるだろう」
優しくするのと甘やかすのは違う
親が子供に苦労をかけまいと子供を助けることがあります。
しかし、それが結果的に子供を甘やかすことになり、子供の教育の妨げとなると言われています。
甘やかす、とは子供が自分で何かを成し遂げるチャンスを奪うことです。
「あなたにはできないでしょ。だから私が代わりにやってあげる」と母が成功と学習のチャンスを奪うのです。
「この子は私がいないと何もできないの…」と子供を自分に依存させ、それにより自分の存在意義と価値を高めます。
結果として子供を「親なしでは何もできない」依存的な子供にしてしまうのです。
私が子育てで実践したこと
私は自分の息子に幼い頃から、自分の利益になることは自ら行動するように言っていました。
具体的には、自分の欲しい物がお店にあるかどうか分からない時は、息子自身が店員さんに「大きな声で尋ねる」ことを実践させていました。
自分で尋ねられないと欲しい物は手に入らないのです。
こんな小さな事でも、実践を重ねていくと成功体験の積み重ねになり、誰にでも臆することなく声をかけらるようになりました。
もちろん、当時はアドラー心理学など知らなかったのですが、結果的に子供が自分で何かを成し遂げるチャンスを与えていたのでした。
もちろん仕事にも当てはまる
部下に苦労をかけないように、と甘やかす上司のもとでは、部下は一人では何もできないようになることでしょう。
それは優しい上司ではなく、甘やかして部下をパラサイト=寄生動物にしてしまう上司なのです。
自分でやった方が早いと、部下に仕事を任せられない上司も同じ結果になりますね。
教育とは相手が一人で課題を解決できるようにすること
一人で課題を解決できるスキルを身につけないと、いくらアドラーが言う課題の分離を理解していても、分離した課題を解決できないという事態になってしまいます。
甘やかされた相手は自力で問題を解決しようという意欲を失います。
その結果、一人で課題を解決する能力も育ちません。
親は子供に、上司は部下に一人で課題を解決するチャンスを与えなければなりません。
親や上司がすべきは子供や部下の課題を肩代わりすることではなく、子供や部下が一人で課題を解決できるよう勇気づけることだけです。
そして、自分の力で人生を生きることができるようになると思います。