見出し画像

noterが家にやってきたの


ストーブの上にスキレットを置き、緑茶の茶葉を入れ、ゆっくりと焙じる。すると、家中に緑茶の良い香りが漂い始める。

焙じた緑茶の香りを嗅ぐと、リラックスと、集中、そのふたつを両取りしたような状態になる。すっきりリラックスそんな感じ。すっきりらっくす、すっきりす、すっす、す。なんか、す、って感じ。


昼ごろ、姉妹が到着するらしい。
お出迎えのお茶の香りは家中に満たされていて、完璧。

お次は、掃除の最終段階。フローリング用コロコロで、田んぼの水鳥が小魚をついばむように、落ちている床の埃を採集してゆく。玄関、リビング、洗面所、階段。そして2階の宿泊室。

2階から、何気なく外を見る。すると、下の駐車場に、一台の車が停まっていることに気づく。



あわわあ

…あ …来た 




どうやら、車をどこに停めたらよいのかわからないようだ。ふたり、きょろきょろして慌てている。まるで押入れに2つ閉じ込めたルンバのようにね!うぃーんがたんぶーうぃーんがたんぷーうぃーんがたがたがたがたがたがたぷー

1階から、おなじく慌てたお嫁の大声が聴こえてくる。

「来てんで!な、なあ!つつ着いてはるよ!なあ!」

僕は応える。

「車停めるとこ、教えてあげてー」

そして僕はベランダで、フローリングコロコロをもてあそびながら、お嫁と、姉妹のやりとりの様子を眺めた。

そう、ギャングがブランデーグラスを手のひらで揺らしながら、不敵な笑みを浮かべるみたいにね!


お嫁「ど!どうもこんにちわ!あの、どうぞ、ここに停めてください!な、なんか泣けてきますねぇ、やばいですね」

シモーヌ「あああああ!!どうもはじめましてえええ!」

なんてね「どもどもぺこぺこ(笑顔でお辞儀を何度もする)」

先になんてねさんが車を降り、駐車の誘導的なことをしそうな雰囲気を出してから、でもなぜか誘導せずにふんわりと空を見上げる。そして、ブランデーグラス(フローリングコロコロ)をゆらゆらと揺らしている2階の僕と目が合った。

なんてねさんは、ゆっくりニヤリ。僕にゆっくりと会釈をして、「どうも」的なことを言った。僕は、「どうもようこそ」的なことを言う。僕もにやにやしていたに違いない。いや、にやにやどころか、多分、ヨコハマタイヤの看板のタイヤの顔みたいに満面の笑みだったかもしれない。

なんてねさんは、Perfumeの誰かに雰囲気が似ていなくもない。なんかこう、たぶん、似ていなくもないと思う。うん。なんか、あの三人のうちの真ん中っぽい人ににていなくもない気がするのだ。

そして僕は、ブランデーグラスを揺らしながら、優雅に一階へ行き、外へ出る。そして、車から降りるシモーヌさんに近づく。

僕の目の前に、予想よりもずっと小柄な、綿毛状少年女性が、にこにこしている。あ、し、ししシモーヌさんだ。あの声の人だ。

「どうも、ようそこ、はるばる、どうぞこちらへ、どうも」的なことを、僕は言った、かもしれない。

姉妹とは、noteで知り合った。そして、ズームで少し話しただけで、会ったことはない。だから会った時は、なんか、もっとすごく緊張して、高ぶって、興奮するのだと思っていた。けれど、ふたりに会ったときの僕は、なんだかこう



は~いはい
は~いはい
知ってるこの二人~

は~いはい
は~いはい
むか~し会ったよね~

という感じだった。
あ、もしよかったら上のセリフを、童謡「アイアイ」のメロディーにのせてもう一度再生してみてほしい。

なんかもう、ひたすらに、親友たちにただ、10年ぶりに会った感じがしてたまらなかった。ひさしぶりーって感じ。イメージで言うと、なんかこう、すごくお尻の可愛らしい8人のお姫様がいて、そしてそれぞれの国で1年に1度お祭


さっそく、ふたり、こたつに座ってもらい、干し柿をお渡しして、目の前で茶を点てる。久しぶりに抹茶を点てたので、100点満点中4点の出来栄えだった……もしかしたらヤギの小便のほうが美味しかったかもしれない。くそぅ、しくじった。そんなことなら、次はヤギの小便にしよう。ヤギの小便を買ってこよう。

おふたりは、お出しした白い干し柿の見た目と味を絶賛してくれたので、僕は嬉しくなる。そしたら、ラジコンのコレクションを見せびらかすスネ夫のように、干し柿コレクションを見せびらかさあさてはやく餃子を食べにいきましょう!

姉妹にはどこへ行くのかを告げず、僕らは車に乗り、あの店に向かった。

水野うたさんの手紙企画で投稿した中華料理の、あのお店。



僕は、厨房で独り言を言いながら餃子を作っているあなたを見つめました。

あなたは、僕に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、独り言を言っています。

ありがとねぇ、待ってなよぉ、とびきり美味しい餃子を焼くからなぁ、待っててくれよぉ

拝啓 あんこぼーろ著『家政婦は見たなんて言うけど、家政婦も誰かに見られてるんだからな』 p47「餃子手紙」 より

自宅から、車で40分ほど。道中お話をしながらお店に近づいてゆく。

店の看板が見えてくる。
看板には『餃子』の文字。

ここで、何を食べるのかに気づいた姉妹が、阿鼻叫喚の叫び声をあげはじめる。

イメージでいうと、バッタとカマキリをたっくさんあつめて、そしてセミを少々。それらをきれいな飾りのついた可愛らしい紙の箱にいれて、やさしく丁寧に扱い、そしてその箱ごとミキサーにかけたような、そんな叫び声である。大喜びなのである。姉妹大喜びなのである。

車をキュッと停め、車を降りる。財布を取り出す。あれ、なんか、違和感。そっと財布の中を見る。すると、中に40円くらいしかないことに気づいた。僕は、ゆっくりと、泣き崩れた。




餃子飲食の様子や、城下町での様子、温泉の様子などは、おふたりにお任せするとして、わたくしはここから猟犬としての柴犬の交配の歴史について語っていきたいと思います。


やっぱりここで姉妹についてお話をしていきたいと思います。


まず、シモーヌさんとは、note公式のおすすめ記事にあんこ記事が選ばれ、その記事に彼女がコメントをいれてくれたところが最初の出会い。

そして別記事のコメント欄で、思い出の味について二人で語り合っていたら、なんとその思い出の味が、全く同じものだったというミラクルジャクソンフォーぅ。

その味とは、福岡市南区『市民プール』の屋台のわらび餅。ふたりとも、夏休みのそのわらび餅の思い出が、脳のひだにびっしりとタニシの卵のようにつめこまれていてもう、どんどんがばちょって感じなのまったくぅ。

そして、それから数か月後、ドラッグストア昔話を朗読していただき、音声収録の際に、

「とまりにきちゃいな法」

という法律が成立。
そして妹の、なんてねと共に、宿泊が決定したわけなんですねまじミラクルジャクソンふぉーう


シモーヌさんは農家の気立ての良い娘のようにきゅぴきゅぴと動き、お辞儀も、ちゅんっ、と素早い。動きの根底が骨盤の中心にあって、素早く動いていても、落ち着いているようなそんな雰囲気。
藤原竜也と中谷美紀を足して割ってちゅぽっんってして綿毛状少年の雰囲気にしたらばっちり!

なんてねさんは、ゆっくりじんわり、雲のように動く。いや、風船のような感じかな。顎、というか、喉を中心にして動いているような風船のような雰囲気。そこにいるのに、いないような、いないようなのに、しっかりといるような、そんな雰囲気。Perfumeの誰かに似ている感じがする。足音がしない。

なんてねさんは、気になるものがあると、それをじっと凝視する。まるで猫が首をかしげて、窓の外の鳥を見つめるみたいに。

昔の写真機のように、見ているものを心のフィルムにゆっくりと写し撮るような、そんな雰囲気。その時間はもしかしたら「解析」のようなものなのかもしれない。

そして解析が済むと、体が動き出す。
城下町の水路の大きな鯉を眺め、解析が済むと、その大きさに驚き、感動し、その感動が足へゆく。すると足を地団駄を踏むようにして、数秒間の舞を舞う。

解析→思考→表現までのプロセスが、まるで筆に墨汁がじっくり染み渡るような、味のある時間になっている。
自由で素直で嫌味のない人なんです、ねんてねという人は。


そしてシモーヌさんは、我々にも、なんてねさんに対しても優しい雰囲気。ふたりは、姉妹というよりも、戦友的な、なんか親友よりも何段階か上の関係性のように感じた。

シモーヌさんの優しさというか、人に接するときのクッション性みたいなものは、お店の方に対しても発揮される。

店を訪れると、店を最後に出てくるのはシモーヌさん。お店の人と少し会話をして、味についての感想を言って、深くお辞儀をして店を出てくる。まるでもうそれは、お店に食材を納品している業者かってくらいに、深いお辞儀をして出てくる。

これは、長年の女優業のクセなのか、世界各国を旅した属性なのか、ヨガ講師の気質なのか、もともとの性格的なのかわからないけれど、あんまりそういう人を見ないのであんこちゃんカルチャーショックパーティーエイリアン(仮)!って感じ。

そしてシモーヌさんは、お支払いのお金を渡すとき、お金を両手で渡す。人と接するのが丁寧なのだ。

ぬむむぬんぬぬぬぬっうええええエレガントエクセレント!


なんてねさんは、店に入ると、たまに消える。







もしサポートして頂けた暁には、 幸せな酒を買ってあなたの幸せを願って幸せに酒を飲みます。