「つくね小隊、応答せよ、」(30)
金長方、総勢400匹。
金長を筆頭に、
小鷹
熊鷹
庚申新八
臨江寺のお松
衛門三郎
田浦の太左衛門
一本松のお竹
数々のたぬきたちが集まっております。
対する六右衛門方、総勢800匹。
六右衛門を筆頭に、
川島の九右衛門
川島の作右衛門
屋島の八兵衛
多度津の役右衛門
千切山の高坊主
千住太郎。
勝浦川の南、数で劣る金長方、動きはありません。
勝浦川の北、待ち構える六右衛門方。金長軍を数日にわたり待ち構えており、兵たちの緊張や疲労も積もっていたので、六右衛門の許しのもと、酒盛りが始まります。
六右衛門の陣地より、つぎつぎと酒樽が運ばれて来て、たぬきたちは大きくどよめきました。みな武器を置き、腹の太鼓を叩き、歌って踊り、椀に注いだ酒をあおります。
そうやって徐々に夜が更けて、やがて朝になろうかという時のこと。
「ほれ、六右衛門さまからの最後のただ酒だ!」
徳利が、兵たちに届けられます。飲み疲れ、踊り疲れたたぬきたち。最後の酒を受け取ります。
「金長といえど、こっちは800だぞ。もう来ねぇんじゃねえか?」
「だいたいよ、小松島のたぬきを一匹殺されたくらいで、こんな戦を始めるなんて、あいつらも正気じゃないぜ」
「え?俺は六右衛門さまから仕掛けてるって聞いたぜ?」
「え?そうなの?オレは金長が修行中に鹿の子さんに手を出したってきいた」
一匹のたぬきが徳利を掴み、酒を注ごうとします。
「あれ?」
けれども中には酒が入っておりません。
「…いま持ってきたばかりの徳利、酒がちっとも入ってねえじゃねえかよ…あの運んで来たやつ、自分で全部飲んじまったんじゃねえか?ほら、これも、これも入ってねぇ、これもだ」
皆で徳利を調べると、どの徳利にも酒は入っておりませんでした。
四天王、九右衛門が六右衛門の陣地を訪れています。
「おはようございます。元締め、よくあんなに酒がありましたね」
「ああ。まあ、あれで全部出しちまったがな」
「いま配り歩いてる徳利だけでも、100升ぐらいはあるでしょう」
「……徳利?」
「はい。たったいま、最後の酒だ、って配ってます」
「…おい」
「は、はい…」
「それを配ってるたぬきはどこのどいつだ」
「え…というと…?」
「徳利なんて、戦に持って来させるわけがねぇ…まさか!」
六右衛門は陣地を飛び出しました。
「あーあ、せっかく締めの酒を飲もうと思ったのによ…拍子抜けしたぜ…」
気の抜けたたぬきたち、徳利を転がしながらぼやいています。
「あたいも拍子抜けしたよ、津田のたぬきたちが、こんなにも化け術を見破れないとはね…」
どこからか女の声がしました。
たぬきたちは武器を持ち、あわてて立ち上がりますが、どこにも女のたぬきなどいません。
「空耳か?」と呟くと、
「あんたたちがそう思うんならっ、空耳だろうねっ!!!」
ぼむんっ!!!!!
白い煙とともに、突然武装したたぬきたちが30匹ほど出現しました!
薙刀を持った女のたぬき、お腹を叩きますっ!
「あたいは金長方、臨江寺のお松だよっ!!!さあ!!!!まとめてかかってきなっ!!!!!」
すると方々で、なにかが爆発するような音が響き、白い煙がたちのぼり、津田のたぬきたちの悲鳴が沸き上がります。
なんと、空の徳利は全て、小松島のたぬきたち。
徳利のまま、敵の陣中のど真ん中、酔っ払ったたぬきたちの目の前に、突然出現し、津田のたぬきたちに襲いかかります。
何十匹かの津田のたぬきたちは、武器も持たず、森の中へ逃げ込みました。
「さあ!津田のみなさんよ!庚申新八が来てやったぜ!どいつから串刺しになりてえんだっ!!おめぇたちが来ねぇなら、こっちからいくぜっ!」
庚申新八が槍を振り回し、豪快に叫びます。
「斬られたくないものは、津田に帰れ。そうでない者は、蚊の一匹であろうと、斬る」
田浦の太左衛門、野太い声で津田のたぬきたちに言い放ちました。
「我が名は、藤ノ木寺の小鷹なり!父、大鷹の仇討ちに参った!」
「おらもいる!熊鷹もいる!」
小鷹、熊鷹が叫び、そばにいるお竹は黙って目を伏せています。
徳利を配り歩いていた雑兵のたぬき。
ぼむんっ と、元の姿に戻りました。
髭を生やし、杖を持った衛門三郎です。
「どうやら、上手くいったようじゃなぁ。さあ、戦は、これからだよぉ」
そう呟いた衛門三郎、六右衛門の陣地の方を向きました。
陣地を出た六右衛門大声で叫びます!
「小松島のたぬきたちがまぎれこんでやがる!!!おめぇらっ!気をつけろ!!!」
その瞬間、陣地の方々で白い煙がたちのぼり、津田のたぬきたちが逃げ回り、悲鳴をあげているのが見えました。わけも分からず逃げ惑っています。
「くそっ!!九右衛門!!!さっさと兵の統率をたて直してこいっ!!!」
九右衛門素早くうなづいて、しゅぱんと姿を消し、陣地のなかに舞い降り、叫びます。
「おい!津田のたぬきども!数ではこっちが勝ってんだ!うろたえんじゃねえぞっ!!!」
四天王の九右衛門が現れたことにより、平静をとりもどした津田のたぬきたち。それぞれが冷静になり、武器を握ります。
そこへゆっくりと現れた、1匹のたぬき。
「我こそは、金長方、田浦の太左衛門なり。津田の四天王のひとりとお見受けする。いざ、尋常に勝負いたせっ!」
太左衛門、するりと刀を引き抜きました。
すると九右衛門も、刀を引き抜き、にやりと笑います。
「ほぅ、噂には聞いてるぜ…田浦の太左衛門…北辰一刀流を極めた、たぬきというじゃねえか……噂にたがわぬ、肝の座った身のこなし…たのしみじゃねぇか…」
小松島のたぬきたちと、津田のたぬきたちが武器を交える中、太左衛門と九右衛門、じりじりと円を描きながら、ゆっくりと間合いを詰めております。
これまた遠い場所で、なにかが爆発する音が致しました。しかしこれは、小松島のたぬきではなく、津田のたぬきの仕業のようです。
だむだばばばだばばあああんぅ!
1匹のちいさなたぬきが黒い煙を吹きあげながら、どんどんと大きくなってゆき、足の裏だけで一畳はあろうかという大入道に化けました。
「小松島のたぬきども!よくも謀ってくれおったのぅ!われこそは千切山の高坊主である!!」
酒盛りを進言した高坊主、足をどだんと踏み鳴らすと、数匹のたぬきたちが土埃とともに巻き上げられ、血を吐いて横たわりました。
それを見た津田のたぬきたち、おおおおおおお!と歓声をあげました。
あまりにも大きすぎる高坊主に、恐れをなした小松島のたぬきたち。足ががくがくと震えております。
そこへ、小鷹、熊鷹、お竹がやってまいりました。
「あれはおっとうの仇かな?」
「さあどうだか…本人に聞いてみるほかないだろう。千切山の高坊主とやら!われこそは藤ノ木寺の小鷹なり!父、大鷹の仇はお主かっ!」
小鷹がそう問いかけると、高坊主大きな声で答えます。
「ほぅ!仇討ちかぁ!いいねぇ!いいよぉ!君っ!
でもあいにく、大鷹をやったのはわしではない。が、これは戦だ。君にはなにも恨みはないが、まあ、殺させてもらうよぅ!」
高坊主、大きく足を踏み出して、小鷹熊鷹、お竹を踏み潰そうとします。
小鷹、熊鷹を抱き抱え、後ろに飛びずさります。
砂だらけになった小鷹、叫びます。
「お竹さん!ご無事ですか!!!」
あたりを見渡しますが、お竹の姿はありません。ま、まさか、と小鷹が高坊主の足元を見ます。砂埃が徐々に消えてゆきますが、しかしそこに、お竹の姿はございません。
「小鷹殿、わたくしはここにおります」
背後からお竹の声がしました。
振り向くと、何事もなかったかのように、お竹が片膝をついています。
「大丈夫ですか、小鷹殿、熊鷹殿」
小鷹は熊鷹を立たせ、自分も立ち上がり、埃を払いました。
「はい、大丈夫です。…ですが、あの高坊主とやら、どうやって戦いましょうか…」
小鷹、熊鷹、不安げな顔で、高坊主を見あげました。
まわりでは、津田と小松島のたぬきたちが、武器を交えております。
薙刀を大きく振るっている臨江寺のお松。
1度に何匹も、津田のたぬきたちをなぎ倒し、弾き飛ばしております。
そこへやって参りましたのは、四天王がひとり、屋島の八兵衛。大きな槍を携えております。
「女を殺す趣味はない。お主、ひいてくれぬか」
その八兵衛の声に振り向きざまに薙刀を大振りするお松。
「あ?なんだって?戦いの最中にあたいを口説こうってのかい?それならまず、自己紹介がっ!先でしょうがっ!!!」
お松、薙刀を上から下に振り下ろす!すると、八兵衛、槍を斜めに構えてそれを受けます。
ぐわすごおおおおんんっ!!
すごい打撃音が響きました。八兵衛の下の地面がふたつに裂けるほどの衝撃です。八兵衛、お松の目を見据えて、1歩下がります。
「ほぅ、かなりの手練とお見受けする。ならば、お相手致そう。われこそは四天王がひとり、屋島の八兵衛。お主を殺す者の名である!」
八兵衛、槍を素早くひと突きします。
それを脇腹へかわしたお松、薙刀を八兵衛の喉元へひと突き。すると八兵衛、槍の柄を突き上げて、薙刀の刃先を上に逸らしました。薙刀は八兵衛の頭上の空間をしゅりっ!と突き刺しました。
お松、高らかに笑います。
「津田のたぬきたちは骨がないと思ってたけど、なんだい!ちゃんとできる男がいるじゃないか!あたいは臨江寺のお松だよ!覚えときな!ま!どうせすぐ死んじまうからしょうがないけどねっ!!」
前転をしながら、中空の薙刀を勢いよく振り下ろすお松。八兵衛が左に避けると、薙刀は地面を真っ二つに割りました。
お松は薙刀を支えに、宙に浮いております。すると槍を振り、地面に突き刺さる薙刀を打つ八兵衛。
薙刀1本で体重を支えていたお松は、薙刀を弾かれ地面に体を打ち付けます。
すると倒れたお松の喉元めがけて、八兵衛の突き!その槍の先を、お松は薙刀の刃の腹で受けました!
ぎつちぃぃぃぃんっ!!
青い火花が飛び散ります。
「寝てる女の顔を貫くような殿方は、あんまり良い殿方とは言えないねぇ?えぇ?」
お松、薙刀の腹を押し返し、八兵衛を弾き飛ばします。
顔に手裏剣を受け、倒れる小松島のたぬきたち。そこらじゅうに、手裏剣や苦無のつきささったたぬきの亡骸が転がっております。
「いくら雑魚がやってきてもおなじことなんだよぉ!ほら!もっとこいよぉ!ほらほらほらあ!」
飛び道具を小松島のたぬきたちに投げつけながら笑っているたぬき。
そこに、大槍をもったたぬきが現れました。
「よくもうちの薮たぬきたちをいたぶってくれたな!この庚申新八が仇をとる!」
新八が槍をたぬきに投げ付けました。
するとそのたぬき、空高く飛び上がって、これまたたくさんの手裏剣を新八に投げつけます。
「大事な槍を投げちゃったらだめじゃないかぁ!おもしろい戦い方するなぁ!」
新八は、笑いながら手裏剣を避け、槍の元へ、駆け抜けます。
「槍と飛び道具じゃ、なかなかに分が悪いが、まあ、それもまた楽しい!お前!楽しいな!名を名乗れ!」
着地したたぬき、名を名乗ります。
「四天王のひとり。多度津の役右衛門だ」
「おお!多度津の役右衛門とはお前のことだったか!よし!おしゃべりはいい!さ!やろう!さ!投げてこい!!全部この槍で突き落としてやる!」
役右衛門、にやりと笑ってから、右手を上に上げました。すると役右衛門の背中に後光のように手裏剣が並びます。
「本当に、全部突き落とせるんだろうな?…やれるもんなら…やってみろよっ!」
数十の手裏剣が、一斉に新八に襲いかかります!すると新八、槍をキリのようにぎゅるると回す。すると槍の先端がブレて、いくつかに見え始め、やがて剣山のようにいくつもの槍の先端へと変わってゆきました。
柄は一本、剣先は数百の槍です。
その槍を回転させながら、手裏剣を全て突き落としました。
ぎょじゃじゅちぎょじゃじゅちっちちちん!!!
新八、楽しくてたまらないというように笑い、同じように役右衛門も笑いました。
どどあおおんっ!
どどどどおおおおおんっ!!
だだああああんっ!
「ねえ!どうしましょう!お竹さん!」
「おにい!目にゴミがはいった!ねえ!おにい!」
高坊主が小鷹熊鷹お竹を踏み潰そうと、なんども足を踏み下ろしています。それを避けながら、3匹は駆け回っています。
お竹はまだまだ余裕があるようで、高坊主を見上げながら、息を切らさずに喋ります。
「からだが大きい分、動きは遅いです。そして、足を踏みあげている時は、もう片方の足は踏み上げられない。だから足を踏みあげた瞬間が、やつのスキです。分かりますか?」
小鷹、熊鷹はお竹についていくのがやっとです。熊鷹は目にゴミが入っていて、兄に手を引かれて逃げています。
小鷹は、涼しい美しい顔で走りまわるお竹に見とれていました。
「わ、分かりますか、と言うと…?」
「小鷹殿、熊鷹殿は、跳べますか?」
「え?」
「おにい!目にごみが!」
「やつの首元まで、跳べますか?」
「い、いえ、私達は、無理だと思います…すみません」
「謝らないでください。それでは、わたくしが、やつの首元へ飛びます。しかし、跳ぶということは空中で逃げ場がなくなるということです。一か八かという攻撃です。ですから、お二人は高坊主の隙を作ってください。熊鷹殿、あなたは何に化けるのが1番得意ですか?」
お竹は、熊鷹に問いかけました。すると熊鷹は、砂の入った片目をつむりながら答えました。
その答えに、お竹はにこりと笑ってうなづいて、小声で2匹に作戦を伝えました。2匹は、顔を見合わせ、思い切りうなづきます。
「おおおおおい!仇をとるんじゃねえのかぁ?俺は仇でもなんでもねえけどさぁ、逃げ回ってるだけじゃ仇なんてとれないぞぉ?わかってるよなぁ?」
するとお竹、小鷹と熊鷹を置いて、森の中へ逃げ込みました。
「あらま!くノ一ちゃん、逃げちゃったじゃないの…あらら、おまえたち、捨てられちゃったねぇ、可哀想に…すぐに、殺してあげるからねぇ!」
すると熊鷹が足をくじいて転びました。
「あ!おにい!た!助けて!」
「く!熊鷹ああ!!!!!」
高坊主、倒れた熊鷹めがけて足を踏みおろしました。
ずどおおおおおおおおおおおおおおおん!!!
土煙が巻き上がり、脇にいた小鷹は衝撃で飛び上がりました。
熊鷹の姿はありません。
どうやら、高坊主の足の下のようです…。
高坊主、にやりとしています。
しかしその顔が、徐々に歪んでゆきました。
「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいってええええええええええええええええ!!!!!」
足を抱えて飛び上がりました。
高坊主の足跡の真ん中に、なにかがひとつ転がっています。
茶釜です。高坊主は、それを勢いよく踏んでしまったので、足の裏に激痛が走ったようです。
茶釜は、ぬるぴんっしゅるん と、熊鷹に戻りました。
「おにい!」
熊鷹が小鷹へ合図を送ります。
小鷹、一直線に高坊主の足元へ駆け抜け、刀をしゅぱんと抜き、すぐに鞘に戻しました。水色の斬撃の残像が、高坊主のもう一本の足の腱のそばを走りました。
「ふんぎゃあああああああああああ!!!!」
高坊主、足首から血を吹き出して、どざうざんっ、と膝をつきました。
小鷹が高坊主の足首を切ったのです。
ちゅぴいんっ
するとその瞬間、森の中から、緑の光が二筋、一直線に走りました。
その光は、高坊主の首元をかすめ、白んできた空の真ん中で止まり、ふわりと地面に落ちてゆきます。
緑の光の正体は、お竹の抜いた二振りの小太刀の残像でした。まさに緑のたぬきですね。
高坊主の首が、ゆっくりとズレてゆき、
そして彼の膝の前に、
ぼどあああああああああん
と、落ちました。
高坊主は動かず、大入道に化けたまま膝をつき、大岩のごとく、固まっています。
小鷹、熊鷹は、お竹に走り寄りました。
「お竹さん!さすがです!」
お竹は、さわやかに笑って言いました。
「いいえ。小鷹殿と熊鷹殿のおかげですよ。熊鷹殿、茶釜は化け術の基本中の基本ですが、あのようにしっかりした茶釜に化けられるとは、大鷹さまの血をしっかり引き継いておられるのですね、お見事でしたよ」
お竹は、懐から出した手ぬぐいで、熊鷹の目のごみをとってあげました。
熊鷹は、お竹に覗き込まれて、顔を赤くして固まっており、小鷹は、ずるい、というように、唇を尖らせております。
お竹は、ごみをとりながら、小鷹に言いました。
「小鷹どの、千切山の高坊主を討ったことを大声で叫んでください」
「え?ど、どうやって?」
「“千切山の高坊主、小鷹熊鷹が討ち取ったり!”です」
「え!わ、分かりました!」
小鷹、緊張した面持ちで、大きく息を吸い、叫びました。
「千切山の高坊主!!!!!藤ノ木寺の小鷹、熊鷹!!!そ!そして、一本松のお竹が討ち取ったり!!!!!!!!!!!」
すると、あたり一帯の小松島のたぬきたちからどっと歓声が沸き起こりました。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
士気を上げるには充分すぎるほどの情報です。大鷹の子2匹が、大入道を討ち取ったのですから。
「ちょちょちょっと!わたくしはいいんですっ!わたくしは忍びです!武勲などはありません!」
お竹が照れて顔を真っ赤にして、小鷹に抗議しています。小鷹は、なんだかそれが可愛く見えて、すこし笑って言いました。
「忍びでもなんでも、高坊主はこの3匹で討ち取ったんですから、僕ら兄弟だけの手柄ではありませんよ!っていうか、ほとんどお竹さんの手柄です」
お竹は上目遣いで小鷹を睨み、唇を尖らせて、ありがとうございます。と言いました。小鷹、頭を掻きます。
熊鷹、きょろきょろと2匹の顔を交互に見ています。