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劇場版仮面ライダーリバイス バトルファミリア感想(ネタバレあり)
7月22日に公開された『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』。
本編も佳境を迎える中、CMや予告編で素肌にベスト姿の五十嵐兄妹を見せられた時には「本当に大丈夫か?」と思ったものだが、蓋を開けてみれば完成度・志・アクションレベル全てにおいてかなり高水準の作品に仕上がっていた。
そんな劇場版リバイスについて、細かく分割しながらもう一度振り返っていきたいと思う。
(以下、劇場版仮面ライダーリバイス バトルファミリアのネタバレを含みます。)
坂本浩一×ケイン・コスギという正しさ
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今作のアクションシーンは、歴代ライダー映画の中でもトップレベルに良い。
肉体的説得力、独創性、CGとのバランス、どこを取ってもほぼ完璧と言える。
・見た事の無い飛び蹴りの数々
・ヒロミとオルテカの共闘
・生身での戦闘シーン全般
・ケインのアクションシーン全般
・変身演出の派手さ
・ギーツの初陣
・バスでのチェイスシーン
など、パッと思いつくだけでも印象的なアクションが次々と出てくる。
生身での戦闘の多さはもはや坂本作品のお約束ではあるが、メインキャストの身体能力が総じて高い仮面ライダーリバイスにおいてその相乗効果は計り知れない。
そしてそれを更にもう一段階上のレベルまで引き上げたのがケイン・コスギだ。
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彼の身体能力、アクション技術の高さによって物語の説得力は飛躍的に増した。少し動きづらそうな衣装に身を包み、姿勢良く構えるその姿からは明らかに只者ではないオーラが漂っていた。
また、ケイン・コスギの存在は周囲にも確実に良い影響を与えていた。
その最たるものとして坂本監督の"悪癖"とも言える「クライマックスにCGを使いまくる」演出が排除されていた事が挙げられる。
劇場版においてクライマックスに最大の盛り上がりを持ってくる必要があるのは分かる。ただ、その気持ちが強すぎて終盤ただのCGアニメのようになってしまうのは一種の"坂本監督あるある"になりつつあった。
しかし今回はそれが全て省かれ、代わりに終盤の展開には一輝とアヅマの生身戦闘シーン→変身→ライダーキックで決着という非常にシンプルな演出が選ばれた。
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これは現在のCG技術をケイン・コスギのアクション能力が上回っているからに他ならず、監督の演出に変革をもたらした事こそが今作におけるケイン・コスギ最大の功績と言えるのではないだろうか。
交通整理の巧みさ
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劇場版前作となる『ビヨンドジェネレーション』では、クライマックスの戦闘が七箇所に分散した事で場面転換が頻繁に行われ、結果的に「どこで何が起きているのか」が非常に分かりづらくなってしまった。
(ビヨンドジェネレーション感想記事はこちら)
実は今作も、クライマックスの戦闘箇所は以下のように分散されており、更に途中でメンバーの移動もあったりとその構造はかなり複雑だった。
(戦闘箇所)
①一輝vsアヅマ
②大二vsシック(途中で元太、さくら合流)
③バス乗員vsギフジュニア(途中で元太、さくら離脱)
④デッドマンズvsギフジュニア
⑤ヒロミvsギフジュニア
ただ、鑑賞中展開について行けなくなったり、見づらく感じるような事は一度も無かった。
これはバスを使った演出による所が大きい。
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最終決戦開始時、五十嵐家のメンバーは幸実が運転し元太・さくらが乗るバスに一輝と大二がそれぞれ並走する形を取っている。
その後一輝は単独でアヅマと、大二は単独でシックと闘う事になるが、それ以外のメンバーはバスの中で敵を迎え撃つ形となり、追加で現れる助っ人も基本的に全員がバスのいる場所に登場する。
これにより、カットは変わっても一輝と大二以外は全員固まった場所、つまり常にバスの向かう先にいる事となり混乱を招かずに済む。
そもそもバスは乗用車などに比べてカースタントでもスピードが出せず、チェイスシーンにおいてはスピード感やスリルを感じにくい。
しかし今作においては「一般人が多数乗っており、一般人が運転している」という要素を足した事で、車体が少し左右に揺れるだけでも叫びたくなるような緊張感が生まれていた。
過去の劇場版ライダーにおいてもここまでバスを有効活用できた事例は他にないだろう。
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一輝の狂気が良い方向に働いている
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これこそ劇場版リバイス最大の「偉い」ポイントだ。
TV放送されている本編において、ここ最近の一輝の言動はもはや視聴者の理解の範疇を超えており、「皆んなが笑顔になれるように」という動機を除いて我々に共感できる要素は皆無に等しい。
ただ、そんな一輝の狂気にも似た"綺麗事"は、心を無くしたアヅマのような人間には深く突き刺さる。
そもそも何百年・何千年もの時を生きてきたアヅマに対し、「そっか、お前、楽しくなかったんだな」なんて平気で上から目線で物言える人間がマトモなはずがない。
感情を無くしたと語っていたアヅマでさえ「お前に何がわかるんだ?」と言わんばかりに「what?」と返していた。
ただ、真っ直ぐに相手を見つめ「幸せになった人の笑顔が見たいからヒーローをやっている」と言い切る一輝にはアヅマも少なからず動揺した事だろう。
なぜなら、もともとはアヅマも同じような動機で行動していたはずだからだ。
つまり一輝はまだ二十歳そこそこでありながら完全に"アヅマ側"の人間なのだ。
ただ、だからこそアヅマに共鳴し、救う事ができた。
この事から分かる一輝の有効活用法とはズバリ「考える事をやめたヤツにぶつける」事だ。
本編のように「現在進行形で悩んでいる相手(大二)」にぶつけるとノープランが露呈して最悪の結果を招くが、今回のアヅマのようなタイプにはシンプルな正論を言える分めっぽう強い。
今作ではそんな一輝のサイコっぷりがきちんと「長所」として活かされており、単純に「主人公しているな」と感じた。
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仮面ライダーギーツ
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初お披露目となった仮面ライダーギーツだが、本当にカッコ良く演出されており期待値としてはかなり高まった。
上半身と下半身で別モチーフになっているのはダブル感、ベルトに付いたバイクのハンドルを回す動作はアクセル感があり、キザな台詞回しは左翔太郎を思わせるが、カラーリングやデバイスの音声はファイズ的でもあり私のツボに見事にハマった。
ただ、お披露目時と本放送時でキャラ設定が変わったりする事もよくあるので、そのあたりはある程度覚悟しつつ9月を待ちたい。
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正直に言うと、今回の劇場版については「きっとドンブラザーズに食われちゃうんだろうな」と感じていたが、ここまで高い完成度だったとは嬉しい誤算だった。
良い意味で予想を裏切ってくれた製作陣に感謝をしつつ本考察を締めたいと思う。