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伊勢丹でいちご狩りを

私は祖父を知らない。

私が産まれた時には父方も母方も亡くなっていたからだ。

父方の祖父はいちご農家であった。

祖父は4つ年上の姉にいろんないちごを毎日食べさせていたらしい。

何と羨ましいeverydayいちご狩り!

私はいちごが好きなのである。


伊勢丹の地下一階のショーケースにもいちご大福が並び始めたこの季節。

私の低い鼻でさえ痛くなる外の寒さだが、あたたかな伊勢丹のなかでいちご大福たちを見ると春を感じる。

春を感じたお次は伊勢丹で買えるいちご大福たちを全て連れて帰りたくなる。

これもまた【いちご狩り】である。

まず一番に鈴懸に並ばねばならぬなと思いながら見たショーケースの中のいちご大福たちは、チラリと見ただけでもそれぞれ使用されているいちごの違いが見える。こうしてブランドの違いを楽しむことができるのが百貨店の和菓子売り場の良さである。


そんなことを考えながら伊勢丹の地下一階を徘徊している時にふと思ったことがある。

祖父が生きていた頃は、あまりんといういちごの品種は存在していなかった。おいCベリーも。桃薫も。スカイベリーも。かおり野も。


こんなに美味しいのにこの味を知らないなんて!


会ったこともない祖父に同情すると同時に、長生きすればその分たくさんの品種のいちごに出会えて、いちご大福も………!と考える。

これはいちご大福のためにも長生きせねばならぬ。


私が100歳になった時。

自分の足で歩いて伊勢丹に行って、なんなら裏がいちご色のルブタンを履いちゃったりして、いちご(大福)狩り出来たらいいなと思う。


外はまだ寒い。

あたたかな伊勢丹でいちご狩りを。

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