#プロなり質問会レポート Vol.2
こんにちは!クライス&カンパニーPMチームの櫻内です。
前回に続き、プロなり質問会の様子をお届けします。
前回の記事は↓こちらからどうぞ。
質問6:Why/Whatに関われていないPMが関わる量をどう増やしていけばよいか
山本:なぜ関われていないかの理由によります。まだ任される程の成果を出していないという場合は、実績や信頼貯金を積んでいくしかないですし、Why/Whatは事業企画サイドが決めている場合には、そちらのMTGにどんどんオーバーラップしていくと良いかと思います。
どんなにオーバーラップしたところで関わるのが無理なのであれば、関われていない原因追及や課題特定から始めるべきです。
ジュニアの方であればあるほど、Why/Whatに関わりたいと仰います。でも、関われない背景は会社により様々です。
それは、経験値の差、信頼貯金の差、話の持っていき方、等々です。
ファシリテーター:転職者ウケの良い募集要項の書き方にも繋がりますが、転職者側も採用企業側も両方でWhy/Whatへの関わり方を明示した方が良いってことですよね。
例えば、僕が転職者だとしたら今関われていることも関われていないことも含めてオープンに話した上で、関わっていきたいという意志を示さないとミスマッチになると感じました。
山本:そうですね。一方で、非常に難しいのがWhy/Whatに関わるポジションでも、誰が応募してくるかによって企業側が期待する役割も変わってくるところです。
求人票で全てを解決するのは難しいので、面接や面談、オファー面談や入社前の期待値調整の場で、しっかり転職者側と採用企業側がすり合わせることが大事です。
ファシリテーター:期待値調整の場でしっかりと話しておかないといけないということですよね。
山本:採用される側も期待値を上げすぎて入社後に大変だったという話もありますし、採用企業側も「これも出来ます、あれも出来ますよ」と言って
入った後に違ったという話も聞きます。
ただ、Why/Whatに関われるかどうかはフェーズにもよると考えています。ひたすらエンプラの要望を聞く時期もありますし、もう一度リビルドしなければならないというときもあります。
PMの仕事でも、常にWhy/Whatがあるわけではないと思います。
転職者側はどういう時だったら関われるのか?今は関われるのか?今後状況は変わるのか?というところまで解像度を上げていかないといけないですね。
質問7:PMが仕事において他の担当者とコラボレーションする上で、どんな仕事をどんな割合でやっているのかを知りたい
ファシリテーター:企業様の事例としてPMと他部署のコラボレーションの割合、PMはここまでやり他の部署はここまでやるといった事例や、要件定義を進める上でこういうことをしている等、具体事例で知りたいという意図で上がっていた質問です。
山本:割合は分かりかねますが、プロなりの33Pのプロダクトマネージャーの業務サイクルという図をベースにお話します。
常に見直すべき土台業務、所謂企画系の業務は、経営者、Cクラス、事業責任者や事業企画の方々と行うことが多いです。
特にフェーズが浅いほどプロダクト戦略は事業戦略と密接に関わってくるため、プロダクトマネージャーだけでは完結しません。かなりの量のコラボレーションが発生します。
僕ら自身はPMではないので、こういった感じで業務ごとの解説なら可能なのですが、この回答で大丈夫ですか?
ファシリテーター:はい。回答が難しい質問だなと輪読会の時にも話していました。
山本:所謂企画系の業務は本当に会社によりけりです。
創業者が引き続き関わっているケース、CPOに移譲されているケース、事業責任者がみているケース等があり、プロダクトサイドががリードするケースもあります。
自分自身の志向と採用企業のフォーメーションのマッチングになります。
ファシリテーター:会社のフェーズによっても大分変わってきますよね。
山本:だいぶ変わると思います。初期であればあるほど企画のフェーズは大きいですし、グロースフェーズではチューニングや改善系が多くなってきます。
そうなると、プロダクトの開発組織やCSとコラボレーションをすることも多くなります。エンプラの仕事が多くなってくるとプロジェクトマネジメントの割合が多くなってきます。
フェーズであったりプロダクトの特性等により大分コラボレーション相手は変わってきます。デザイナーやエンジニアとは常にですが。
ファシリテーター:コラボレーションを現職でどれ位しているかは、転職をする上でのアピールポイントになりますか。
どんなところを伝えていけば良いのでしょうか。
山本:フリータイムの中でコラボレーションについて問われるシーンがあればお話する程度の優先度で良いと思います 。
まず、プロダクトマネージャーとしての実績を語ることが第一優先です。
第一優先を語る上で他の職種の人とどうコラボしたのか、問われたら答えるべきだと思いますし、ご自身の中で成功ポイントがコラボレーションにあると思うのであればそこで話すのが良いです。
大事なのは、多様な人と関わったという種類の多さでもなければ、関わった時間の長さでもなく、どう関わったことでプロダクトのアウトカムに影響したのかということです 。
松永:今の質問にテクニック的なところだけ付け足すと、ご自身のバックグラウンドに無い職種とこんな風に絡んだというエピソードは書いても良いと思います。
エンジニアバックグラウンドであればビジネスサイドの企画の方、ビジネスサイドの方であればエンジニアとこんな風に絡んでいましたと。
山本:大事なのはコラボレーションをするというタスクではなく、それがどうプロダクトの成功に寄与したのか結びつけることです。
質問8:PM領域はこれからも新しいフレームワークが出てきたり、発展し続ける領域なのか
山本:日本でPMは新しい職種で、先行している米国のコピペのようなPMになるとは思っていません。日本的なフレームワークも出てくるでしょうし、発展し続けるだろうなと思っています。
それこそPMMを設けている企業が出てきたのも一つの発展形かもしれません。或いは、テクニカルPMやグロースPM等、細分化されたPMが生まれてきたと思えば、米国ではそんなに細分化しない方が良いという意見も出ていたり等、様々な波があります。
プロジェクトマネジメントはPMBOKなどもあり、Howの部分はフレームワーク化しやすいと思いますが、PMはHowでないところも多様にあり、ビジネス職の要素が半分あるが故にフレームに落とし込めない部分はかなり残ると考えています。
質問9:PMの職務領域はこれからどうなっていくと思うか
ファシリテーター:PMは仕事がありすぎですが、これからもこの広い領域を担当する職種としてあり続けると思いますか。先ほども米国型/日本型の話がありましたし、個人的な見解で構わないのでいかがでしょうか。
山本:狭くなる会社もあれば広い会社もあり、多様化してくると考えています。その一方で、恐らく収斂化されていく、PMってこうだよねという考え方は、当然年数とともに確立されていくと思います。
ファシリテーター:クライスさんは2019年頃からプロダクトマネージャーの採用支援をされてきていますが、この数年で感じられる変化はありますか。
山本:ご支援を始めた頃は、「PMって何?」という会社が多かったです。この時が一番領域が広かった可能性はあります。よく分からないが故に雑用が多かった時期を経て、だんだん狭めてくる企業が増えてきたと感じます。
松永:領域を狭めてくる企業も増えてきた一方で、最近になって「PMってイケてるらしい!」とプロダクトマネージャーを置き始めている企業も増えてきているため、今本当に色々な求人があります。
これまではSaaSプロダクトの会社を中心にプロダクトマネージャーを置き始め、その後toCサービスのWeb ディレクターがPMに変わってきて、最近はレガシーな企業のDX部門でプロダクトマネージャーという求人を出してみようという動きがあります。
ファシリテーター:PMの仕事ありすぎ問題については、これからも広い領域を担当する職種であり続けるでしょう、という見解でしょうか。
山本:あり続けると思います。
日本全国の企業にPMが広がった後はどうなるか、終息に向かうのかもしれないですが、また新しい職種が出てくるような気もしています。
質問10: ホリゾンタルSaaSは本当に最大公約数的にユーザーを決めて決めていっていいのか
ファシリテーター:74P図2-3のバーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの比較表を見て、バーティカルSaaSの顧客数が限定的でホリゾンタルSaaSは割と広いとなっていますが、最大公約数的にユーザーを決めていっていいのかという質問でした。
山本:プロダクト戦略とプロダクトのフェーズによると思います。0→1フェーズでも2パターンあると考えています。
最大公約数のところからユーザーを集めるという会社もあれば、一定様々なニーズを持っているであろう大手からとりかかる会社もあります。マネタイズについても、最初からマネタイズせずフリーミアムでやっていくというモデルもあり、戦略によりけりです。
ですが、ホリゾンタルSaaSは最大公約数的になりやすいモデルだと考えており、それが故に会計SaaSや請求書SaaSの違いが良く分からないということになっているとは思います。特にSMBを狙えば狙うほど。
ただ、SMBを攻めている企業は徐々にエンプラも攻めていきたいという話になってきて、最大公約数的ではないイレギュラーケースも増えてきています。
これは戦略次第であり、PMの範疇を若干超えて事業戦略そのものにも影響している話です。なので、ものすごくビジネス要素が必要になってくる職種です。
やはり経営者やCPO、VPoPやシニアPMはこういった事業戦略も含めて方向性を決めていらっしゃいます。
だからこそ、ビジネス能力が大きなブレイクスルーになるという先ほどの話に繋がっていくんですね。
質問11:PMのフレームワークについて、How以外のフレームワークとはどんなものが想定されるか
※質問11以降は当日ご視聴中の方から頂いたものになります。
山本:恐らくユーザーヒアリングの仕方や、PRDの書き方など作業ベースのものはフレームにというか手順書のようになっていくと思います。ですが、まさに先ほど話した企画領域、事業戦略のフレームは多分無いです。
それを考える時にコンサルファームが使っている3C分析やPEST分析等はありますが、そのまま適用できるものは無いと思います。競合や市場の伸び、TAM等々、本当にその会社の変数によりますのでフレームで考えようがないと考えています。
質問12:プロなりを書くきっかけや背景について
松永:毎月弊社顧問の及川さんと打合せをしている中で、「我々のプレゼンスを高めていくにはどうしたらいいでしょう?」と相談をした時に、「本を書いたらいいんですよ」って言われたんですね 。
なぜ書いたのか?は僕らにしかできないと思ったから書いたというのがあります。プロダクトマネージャーが好きで、プロダクトマネージャーが増えることが日本や社会にとって、とてもいいことだと僕らは信じています。
この気持ちを伝えて同志を増やすという目的もありますし、実際にプロダクトマネージャーを増えたらいいなというこの想いを伝えるのに、手段として本を書くというのが一番良いと思い、筆を執りました。
ファシリテーター:note記事にも記載がありますが、本執筆は大変だったそうですね。
山本:大変ではありました。ですが、本のまえがきにも記載しているので是非参照いただきたいのですが、結構暑苦しい思いでPMの皆さんのことを思っていつも仕事しており、すごく好きでやっています 。
質問13:PMの転職回数について
山本:転職回数が多い方も結構いらっしゃいます。ビジネス要素半分テック要素半分あるような職種で、エンジニアの方は手に職があり頻繁に移られている方も多いと思います。PMの方々もその要素があるが故、今PM不足であるが故に移れてしまうというところはあります。
供給不足であるが故に、転職回数が多かったり在籍期間が短い会社が続いていたりしても移れてしまうというのは、悪い意味で発生してるなと思います。でも、どんどんどんどん選択肢って減っていくんです、ジョブホップをしていくと。どんどんどんどん希望が叶わなくなっていきます。ですので、どこまで理想を追い求めるか、どこまで我慢するのか、とはいえこれもやらなければならないという現実を受け入れるのか等というバランスが、キャリア形成においては重要だと考えています。
質問者さん:キャリア形成は気を付けた方が良いということは、日々仕事をする中で感じています。
山本:何を目的に転職するかをはっきりさせて、それを叶えるために面接面談でどうやってそれを引き出すか等、ご入社前に慎重に見極め、検証するのが大事です。
先ほどのお話でWhy/Whatから関われないという話題がありましたが、「御社はWhy/Whatから関われますか?」と質問をすれば「はい」としか返ってきません。どういう形で意思決定に関わっているのか、PMと事業側で意見が割れた時にはどうしているのか等、そういった解像度で聞いて見極めていくことが重要です。
質問者さん:今私が大事にしてやっている仕事も、他社ではマッチするところはないのではないかと思ってしまいます。
山本:自信を持つことも大事です。「これで私はPMなのか?」と思われている方も多いです。キャリアカウンセリングを通じてそういった方の背中を押すのも僕らの仕事です。「もうバッチリPMですから!」と送り出していきます。
何ができて何ができないかを言語化できている方は、選考企業の印象も良くなる傾向があります。単に成長したいという意志だけではなく、PM業務のこの部分は経験がありできるが、弱い部分はここで、それをこう身に着けようと思っていますと言語化できている方は強いです。反面、少しPM経験を取得しているので成長したいという方は、企業側は成長イメージが持てません。
最後に一言
ファシリテーター:最後に、松永さん・山本さんから一言二言お願いします。
松永: 自分たちが書いた本に質問をもらえるって嬉しいなというのが率直な感想です。あとは様々な場で、採用の話やキャリアの話になることが多いと感じていたので、PMという確立されきっていない職種の中で我々が果たせる役割はとても大きいのだろうなと、改めて身が引き締まる思いでした。
ありがとうございました!
山本:松永と同じく、まずこの場があることがとってもありがたいなと思っています。
僕らにとってはこの本がプロダクトだと思いながら作ったので、このプロダクトが果たしてユーザーである読者の皆さんにどう伝わったかはものすごくびくびくしながらAmazonのレビューを見ている毎日で、こうやって興味を持っていただいたことがすごくありがたいです。
プロダクトマネージャーカンファレンス等にも出ている中で、キャリアの話は視聴数が多く、キャリアはPMに限らず人生に関わるので皆さん本当に気にされているんだなということを僕らは感じています。そういう時に色々な事例を持っていたり、企業さんとの接点があったりする中で、僕らなりにお役に立てることがあるのではないかと思っているので、この本が少しでもキャリアを考える一助になっていたら嬉しいなと思っています。
今日はありがとうございました。
松永:最後に少し宣伝をしておくと、キャリアにお悩みの方は是非クライス&カンパニーにご相談にお越しいただければ、しっかりご支援させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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