多分、日本橋 きっと日本橋
大阪の日本橋あたりを歩いていると
小さなギャラリーがある(はず)
そこで1枚の絵に足をとめた。
細部まで描き込まれた建物と
鮮やかな色彩の見慣れた街東京。
なのに、位置や
普段はない空に浮かぶ気球や花火(だろう)が
不思議な雰囲気をかもしだしている。
近未来にも見えるそれには
画家の名前がなく
代わりに富士フィルムと書いてあった。
今度はなんだかレトロで
小さい頃に遊園地を初めて見た時のような
気持ちになった。
通天閣に登ったばかりの自分が
大阪に来てまさか東京の絵を買うことになるとは
思わなかったが
置いてあったのは東京と
行ったこともないフランスの景色だけだった。
万博に向けて、大阪も発注はしているんですと
店員さんが教えてくれた。
名前も知らない画家の見た
自分の知らない
よく知る景色が
まだ未来にある。
きっとこの絵を見た時と同じで
位置がちょっとチグハグに見えたりして
多分東京で、多分東京じゃないように
大阪の絵も
多分大阪で、多分大阪じゃないんだろうな
自分の位置がいつもわからないのは
頭の中の地図が
いつのまにかこんな風になっているのかもしれない
その日も飲み過ぎて
朝から歩き出して迷子になっていた。
こちらは、東京でもサンセットなんですよ。
別のパターンもありますよ。
あぁ、東京のサンセットか
自分の知ってる東京のサンセットは
なぜか夜にあるけど
帰れそうな気がするだけの
地図みたいな絵を持って帰ることにした。
20km歩いただけで東京にたどり着いたなら
それはそれで素敵なお話。
富士山に東京タワーにスカイツリーに気球
こんなに高い場所があるのに
行く道はわからない
ZAZAと舞台袖と楽屋Aがかいてあったら
良かったのかもしれない
多分、日本橋。きっと日本橋だ。
未来に向かってまた歩き出してみた。