The Burning Question Corner | Meet Puredistance 2023
2023年6月3日に開催されたヤン・エワウト・フォス社長来日イベント、Meet Puredistance 2023では、参加者より「これだけは聞いておきたい」質問が多数飛び出しました。1聞けば10答えるフォス社長。ピュアディスタンスジャパンから「これだけはお伝えしたい」ほとんどロングインタビュー、Q&A7選をお届けします。
Q1 パピリオに席を譲るのがアントニアなのは悩みましたか?すぐに決まりましたか?その理由は?
フォス いや、悩まなかったです。最初からいい選択だと思いました。要は、あまりセールス的に芳しくなかった作品を選んだのですが、一方でお好きな方は本当に大好きな香りです。そういう方は何としてもアントニアを使い続けるでしょうし、エクスクルーシブ感がぐっと上がって、もはやほとんど秘密のコレクションの一部となって、むしろ良い気分ではないかな?アントニアといえば、私の母ですが、とても美しい手芸品を作っていたのですが、殆ど誰も知りませんでした。母の作品は、ごく一部の幸せな人の為にあったのです。
Q2 性別でも性別以外でも、思ってもなかった層に受けたな?!ということはありましたか?
フォス あります。物凄い若い人たち、14歳かそこらの子たちが、ピュアディスタンスの香水のクオリティやスタイルをしっかり評価しているのには驚きました。一方で、私や、大半の人たちがこの香りはこうだろうと普通思っているのとは、あまりにかけ離れた「斜め上の」表現をする人がたまにいて、それにもビックリです。アジア、中東、スラブ諸国、西欧諸国と、文化的背景の違いから来る、香りの受け止め方の違いはありますが、それは別に驚きません。
Q3 他の香水ブランドを試したりすることはありますか?日本に来たから日本のブランドとか。
フォス 殆ど試したことはありませんし、これからも一切試さないと思います。私はいつでも香りの初心者だと思っていて、これからもそうありたいと思っています。他の香りをよく知らない事で、子供のように敏感で、純粋な気持ちで新しい香りを試す事ができます。
新しい香りを試す時、自然や、花や、草の香りが浮かびます。そして美しさやエレガンスな姿を思い描きます。試した香りを分析したり、他の香りと比較したりはしません。
調香師の作った香りが本当に美しいか、私のコンセプトに沿っているか、ピュアディスタンスのDNAを持っているかどうかを、強く「感じる」才能が、他の香りを色々試す事で壊れてしまうと思います。
影響を受けすぎて、自分の主観性を失ってしまうかもしれません。そうすると、頭で考えてしまう事になります。私は、自分の体感と美しいものへの本能を使いたいです。
Q4 普段は、どんな香りを使っているのですか?
フォス 基本的に、私は毎日香水を使う訳ではありません。使うとしたら、私のためにピュアディスタンスで作ったアエノータスが5-6割、あとは私が18歳の時から40年以上愛用しているシャネルのアンテウス。アンテウスは、長い年限で処方変更をしてきて、使い始めた当初の香りと今のアンテウスでは、香りがだいぶ違うけれど、それでもいい香りだと思います。他には、エルメスのオー デ コロン 《オードランジュ ヴェルト》。昔からエルメスで売っている、シンプルなシトラスコロンです。あとこれは香水ではないけれど、家ではモルトンブラウンのオレンジ&ベルガモット・バス&シャワージェルを使っています。
Q5 パピリオの持続時間はどのくらいですか?
フォス パピリオの賦香率は25%ですが、肌に乗せてどのくらい持続するかは、その人の肌との相性に大きく左右されるものです。ピュアディスタンス作品の中で比較すると、パピリオの持続は中~長時間、約6~10時間と考えています。もし、あなたの肌であまり持続しない、と感じるときは、スカーフやシャツなど、布にスプレーしてください。肌の上よりはるかに長持ちします。例えば、私のシグニチャー・セントであるアエノータスは、マフラーにスプレーしたら、2週間以上経ってもまだ香り、そしてその残り香が、たまらなく美しいのです。
Q6 香りを色で感じる共感覚をお持ちだと、以前記事で読んだことがあります。私はぴったりくる香りは、形で感じる方なんですが「色で感じる」とは、どういう感覚なのですか。
フォス まず、私が何か香りを試したときに感じるのはふたつ、色と心を揺さぶられるような感覚(エモーション)です。最も強い印象を得た時に、心が揺さぶられます。私のコンセプトを調香師に伝えて、彼らが制作したサンプルを試すのですが、私自身は原料の事とか一切わかりませんので、その時感じた思いを自分の中でエモーションに翻訳するのです。そして彼らに説明できるメタファー(比喩)を探すようにします。例えば、新作用のサンプルを入手し試香した際、エモーションがハーモニーに感じたときがあります。さながら、オーケストラのように感じたのですが、調香師には「ちょっとこのトランペットみたいな部分が高らかすぎるので、外してもらえないかな」と、オーケストラとしてのハーモニーを整えていくのです。すると調香師は香料のプロですから、私が言わんとするトランペットはどの香料なのか、すぐにわかって、外してくれるわけです。このエモーションを何とか調香師にわかるように翻訳作業を行います。これは、とてもワクワクするプロセスなんですよね。魔法ともいうべきプロセスです。
嗅覚は、人間が得た最も古い感覚です。私たちは、未知のものを嗅覚で判断してきました。感覚というのは、最も定義が難しい物の一つです。
何かを嗅いで、様々な感情が沸き上がってきますが、それは単なる処方を理解するという事ではありません。ここが、香水作りの最も面白いところで、香水はコンピュータでプログラムしてできるものではなく、もはや魔法です。ほとんど夢といってもよいでしょう。人間の持つ最も古い感覚で作る美しい魔法だと思います。
Q7 創作というのは、数を作れば作る程、新しいものを作るにはハードルが上がると思うのですが、どのように乗り越えていらっしゃいますか。
フォス 私は、大変バランスの良い人生をキープしていて、焦らず、じっくり時間をかけて、自分にプレッシャーをかけずに制作しています。1年かかろうと、2年かかろうと、インスパイアされる瞬間が来るまで、1つの作品にじっくり取り組んでいます。これが、大企業だと作り手に〆切ありきでプレッシャーをかけますね、ピュアディスタンスは100%自己資本で運営している独立系企業ですから、私自身完全にフリーな状態です。たとえ制作途中でも、これは違うと思ったら、制作を中止します。これまでに4-5名の調香師との制作を中止し、ゼロから再スタートしました。もちろん制作費用を払ったうえで、敬意を表して中止します。これが、常にクリエイティブであり続けられ、自分のDNAに対し厳格に従った、忠実な作品作りができる理由であり、私に与えられた特権でもあります。私は大金持ちになりたいわけでもないし、物凄い沢山の顧客を獲得したいわけでもない、とにかく「スモール」であり続けようとしています。例えば、1年に数足、特定のお客様にしか作らない靴職人みたいな。そして運もある。運も強いけれど、運をつかんで進む力、私に与えられた特権を生かして良いものを選択し、結果幸せになる力もあると思います。
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