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LEONE #30 〜どうかレオネとお呼びください〜 一章 第3話 3/3


「あ、待て。ビル・クライド」

やっと出ようとしていたクライドは、再び保安官の声に足を止めた。クライドはため息をついた。

「なんだ? また」

「最後にもう一つだけ聞きたいことがある」

保安官はフッーと自分の指を吹いてほこりを吹き飛ばした。クライドはため息をつきながら身を振り返った。

「なんだ? 時間ないから早く聞けよ」

「別に重要なことではないけど、確認するためにな。それで、そのご令嬢、どこの御令嬢なのか?」

保安官の話が終わった途端、クライドは脚を蹴る仕草をした。

「なんだ。おい。そんなことを聞くために時間を無駄にしたのか?」

「おいおい、だから言っただろ。ただ確認するだけさ」

「クソ。そう。あの小娘はな。名の知れている名門家の、んと……」

「名の知れている名門家の?」

「……え…あれ?」

ちょっと、そういえば。

クライドの口元がぴくぴくしていた。

(あの小娘の名前……何だっけ?)

彼ができるだけ早いスピードで頭脳を回転させながら、名前を思い出そうと頑張っている間に、いつの間にか保安官は彼のそばに近づき、取り囲んでいた。

クライドがそれに気づいたのと同時に、机に座っていた保安官がもう一度尋ねてきた。

「……で、名の知れている名門家の?」

「……あ、ちょっと待って。んと……その、あれ?」

しばらくの沈黙が流れ、保安官がうなずきながら口を開いた。

「留置場に入れろ」

クライドは再び叫び、暴れながら反抗したが、保安官は今回は少しの視線もそちらの方には向けなかった。

2億GDに目がくらみ、雇用主の名前を一度も聞いていない愚かな雇用人が受ける対価としては、実にふさわしい処罰だった。

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