LEONE #25 〜どうかレオネとお呼びください〜 一章 第1話 2/2
「登録番号AAA-019879834、カッセル・プライム級、登録者ビル・クライド」
「はい、はい」
スピーカーから響き渡った清らかな女性の声に、クライドはそわそわとした答えを返して、何回かキーボードを叩いた。
間もなくピビッという音とともに、旧式のファクシミリが真っ白なレシートを吐き出した。同時にモニターに表示された数字が急速に減り、やがて0まで落ちた。直後、もう一度お上品な声が響いた。
「料金の支払いが完了しました。B-6番ゲート、当該艦船の利用を許可します。ご利用ありがとうございます」
「クフフフフ……」
クライドは泣き声なのか、呻き声をなのかわからない奇怪な音を出して、キーボードの上に崩れ落ちた。
そんな彼の肩を軽く叩きながら現れたのは、もちろんセロン・レオネだった。
「着いたか?」
「……はぁいい……着きましたよぉ……」
クライドは力のない声で一言を付け加えた。
「私の口座残高を最後の最後まで使い切ってですね……」
「ふん」
セロン・レオネは鼻で笑って腕を組んだ。
クライドが泣き声でつぶやいてる姿を無視して、彼女はスクリーンに映った惑星だけに向いていた。ほんのりと赤い光に染められた小規模の惑星だった。どこかで見たようだが、名前までは思い浮かばなかった。
ただ、あまり愉快な感じではなかったので、セロンは少し目を細めた。
その間、さらに軽快になった女性の声が、スピーカーから聞こえてきた。
「ロマンと冒険の惑星、『ペイV』へようこそ!」
著者プロフィール チャン(CHYANG)。1990年、韓国、ソウル生まれ。大学在学中にこの作品を執筆。韓国ネット小説界で話題になる。
「公演、展示、フォーラムなど…忙しい人生を送りながら、暇を見つけて書いたのが『LEONE 〜どうか、レオネとお呼びください〜』です。私好みの想像の世界がこの中に込められています。読んでいただける皆様にも、どうか楽しい旅の時間にできたら嬉しいです。ありがとうございます」
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